アイカツオンパレード! 24 話『ともだち!オンパレード!』感想

 

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツオンパレード!』 24 話。
オンパレード編の最後を飾るのは、『フレンズ!』が吹き荒れるスターハーモニー学園が舞台のお話。

 

らきちゃんの転がし方、美月さんやあかりちゃんの使い方、タイトルやタイトルコールの回収 etc... 色んな要素を 20 分の中で破綻しない様に詰めて、その上で質も高くて、本当にいいお話でした。 『アイカツ!』を知り尽くしている大知さんだからこそ成し得た脚本だったと思います。

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ドラマの作り方って視点からすると、良くも悪くも『スターズ!』らしさがありました。 火力の高い各要素を並べるも、その接続の悪さがザラつくというか。 そのザラつきに気を取られるか、火力の高さに焼かれるか。 視聴者によって印象が変わりそうという点まで含めて。

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ぶっちゃけ微妙でした。
今までの 2 話同様『フレンズ!』っぽさは随所にあったものの、果たしてこれで良かったのかどうか。
或いは『フレンズ!』という物語自体がこういう単発の場面では活きにくいモノなのかなー、とも思ったり。

 

 

 

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『フレンズ!』の一番の特徴は何かっていったら、それはやっぱり "2 人" であることだと思う。
"いちごとあおい" から始まった『シリーズ』史に残る "2 人" の文脈で、描けなかった or 最後まで描ききれなかった忘れ物のようなモノ、そこにカメラを向けて徹底的に描いた作品が『アイカツフレンズ!』だと思う。だから、脚本上でも描写上でもそっち方面の文脈は他作品よりも遥かに豊だ。

そんな曖昧な関係性、微妙で絶妙な距離に「フレンズ」という単語を設定した。そんな曖昧な概念でいいのかよ って話だが、いいんだろう。曖昧で難しい関係性だからこそ 50 話かけて描く必要があったのだ。

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なんだけど、それを "アイカツフレンズ!らしさ" として『オンパレード!』に落とし込もうとした時に、一つの問題が出てくる。それは「ぶっちゃけわかりにくい」というコトだ。だからこそ一年以上かけて描いて来たのであって、それを一話に落とし込めって方が無理な話だ。ましてやらきちゃんにはそちら方面の文脈が、(スターハーモニー生なのに)全くない。LMT や PP の絆の深さに憧れる描写もなければ、"フレンズ" を探しにアレコレするなんて話もない。だから、こちら方面でエピソードを膨らまそうとしても無理なわけだ。

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ということで、わかばちゃんに白羽の矢が立つのは当然といえる。「わかばちゃんのフレンズ問題」は『フレンズ!』の忘れ物の一つなるので、それを体よく回収出来るというメリットもある。この時の舞台に上がるのが LMT なのも、"フレンズの凄さ・素晴らしさ" を謳うという場面なのだから当然の話だろう。ここで PP が胸を張って登壇できない所は『ジュエル』の負債とでも言うべきか。

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とはいえ、その "フレンズの凄さ・素晴らしさ" ってのも中々わかりやすく描写出来るものではない。やっぱり先述したように、一話に落とし込むには無理の大きい話なのだ。これが PP や HC や RM(或いは BP やなこニコも含めて)であれば、「フレンズ」という概念をよく理解しているので LMT に感動するってのも無理からぬ話なんだけど、このステージ一発でいちご・あかり・ゆめが LMT の "凄さ" を実感できるのか、っていうと結構厳しい気がする。いやまぁ、"LMT の" 凄さであればまだ理解出来るけども、そこを越えて「フレンズ」に感動出来るかって言うと、結構微妙なラインじゃなかろうかと思ってしまう。その為、LMT のステージ後の怒涛の持ち上げセリフが空々しく聞こえてしまう。

基本的にステージ前の描写は説得力を作り上げていくものに対して、ステージ後の描写はその補完として使われるので(※)、ステージ前描写の少ない LMT はその少ない中に "強い絵" を持ってくる。

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ステージの説得力は、それ以前のエピソードや描写が担保しているというのは以前も書いたことがある。つまり LMT のステージ前に、その説得力を担保してくれる描写・エピソードを置けるのがベストなんだけど、残念ながら今回はそんな尺がない。『フレンズ!』世界のアイドル達であれば、そこの説明をすっ飛ばしても当然理解してくれるが、他作品の子達にそれを求めるのは……ということだ。

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これが例えば、『スターズ!』 86 話のエルザの様な、ステージ前描写がなくともぱっと見で「あ、違うなこれ」て思わせられるような圧倒的表現力があれば、また話は変わってくる(ただアレはアレで、ローラ描写の全てが負けフラグ = エルザの勝ちに繋がる という鏡写し的な描き方になっていたが)。

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……だけど、これはもう完全に個人の好みの話なんだけど、今回の LMT のステージ(『フレンズ!』 72 話 ver)にそこまでの凄みを感じないというのがあって……。

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同じ LMT の同じ曲なら、やっぱり 41 話 ver の方が凄く感じる。ステージに於ける特殊演出はどちらにもあるけど(ミラクルオーラ or ジュエル)、『プライド』のジュエル発光て何か地味というか……。ジュエルが一番光るのは暗めのステージ( + スポットの当たってる)時だけど、そういう演出もないし。何より 41 話のミラクルオーラ顕現時のカメラワーク・演出が好きすぎるので…………。

 

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本編のことに話を戻すが、"2 人" のコト以外に描かれたこととして、"人の輪" 的な道徳物語もあった。これも "2 人"同様、『フレンズ!』物語の大きな特徴だろう。勿論こういう普遍的な道徳話は他 2 作でも普通にあることだが、友希あいねを擁する『フレンズ!』は特にその色が強い。『フレンズ!』本編に於ける人の輪的なものはあくまで副次的なもので、言ってしまえば  "2 人" であること = 他の 100 万人ではなく特別な "あなた" であること を引き立てるのが一番の役割だった。だけど『フレンズ!』は、この副次的なモノに対しても真摯に向き合ってきた(メインの "2 人" を引き立てる為と考えれば当然だけど)。だから『フレンズ!』らしさを出すに当たって、"2 人" よりもこちらにフォーカスを当てるってのは、割と妥当な運びに思える。実際に本編でもそうやった様に、いちごちゃんやゆめちゃん達も参加しやすいし。

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ただまぁ、あいねちゃんが一声かければ最初から皆協力したんじゃねえの とは思うけど。

追記 20/03/23

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こういう時にスマホですぐ調べるみおちゃんが好き。久しくこういう姿を観てなかった気がする。

追記 20/03/23

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ここにノエルちゃんが混ざるの、圧倒的なメタが感じられて、ちょっと面白すぎる。別に不満があるわけじゃないんですが、美月さんとかわかばちゃんとかに比べると圧倒的に不自然なので、凄くシュール。

 

 

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ステージは『プライド』『ひとりじゃない!』『君の Entrance』の 3 曲。
『プライド』については先述のとおり。
『ひとりじゃない!』はやっぱりこういう使い方の方が曲調にあってる気がするんだよなぁ。ブリザードを止めるなんていう重たいモノを背負わせるんじゃなくて、身近なあなた達と手を繋ぐ 的な。人の輪の話をした後だとすんなり入ってくる。
そんで、割と新規コラボを期待してた所だったけど、普通に『君の Entrance』でした。流石に前 2 話と後ろ 1 話にそれぞれ新規抱えてる状態だと、体力が保たなかったか。

 

 

 

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というわけで 24 話の感想でした。
『フレンズ!』の脚本的な特徴は『スターズ!』の逆で、連続性に強く単発火力に弱いという所だと思うんですが、この 2 話はその通りの結果になってしまった感じがしました。
『フレンズ!』の "らしさ" を最大限に発揮させるには、人間関係をじっくりコトコト煮込む必要があると思うので、今回のようなケースだとキツいのかも(PP が主人公なら違う手段が打てたかもしれないけど)。

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空々しく全部セリフで言っちゃう所なんかは、それが一番悪い形で出ちゃったという印象。


オンパレード編の 3 話をまとめて考えた場合、正直進むにつれて尻すぼみしていった感じが凄くしました。
一応『スターズ!』編・『フレンズ!』編の擁護をしておくと、『アイカツ!』編である 22 話でらきちゃんの精神的成長イベントは終えてしまっていて、残りの 2 話では普通にトラブルを処理する形でしかお話を作れなかった という縛りの影響はあったのかなと。

 

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次回はいよいよ最終回?
「別れ」を意識させながら思い出したかのように "なんちゃって SF" を拾いに行ってるわけですが、既に再会が約束されてるようなもんだからなぁ……。
まぁ主に新しいステージについて期待しつつ、待ちたいと思います。