アイカツ! 102-114 話 感想

アイカツ!』の 102 話 - 114 話の感想です。
いわゆる『あかり GENERATION』の第 1 クールの感想となります。

 

いちごからの禅譲を受けて晴れて主人公となった大空あかりちゃん。
このクールでは、そんなあかりと一緒に物語を走っていく仲間達との出会いだったり、
それぞれの登板回等があったりする。

スミレにはスミレの、ひなきにはひなきの乗り越えるべき問題があって、それが作品を貫通する軸となっているのが『あかり GENERATION』に於ける大きな特色の一つだろう。人見知りであったり、歌へのこだわりであったり、周りに合わせてしまう癖だったり、LoLi GoThiC や ViVid Kiss へのこだわりだったり。抱えている問題は色々あるけど、一言でいうならどちらも "自分" というものを如何に出していくか という点が問われ続けることとなる。まさしく、『オリジナルスター☆彡』の物語だ。
一話ごとに問題を解決していってグイグイ成長していくいちご世代に比べると、成長速度という意味では遅いのかもしれない。しかし、だからこそより丁寧に・より親身に・より寄り添った物語が展開されていく。
そんな中、我らが新主人公である大空あかりは、既にそういったモノが試される試練を 96-97 話でクリアしており、スミレ・ひなきと並び立つような軸にはならない。っていうことで新たに手に入れるのが瀬名くんとの物語だ。天羽先生の弟子という属性が最高すぎて、否が応でも いちご-天羽 を思い出させられ、その憧れを受けての(しかし追いかけはせず自分だけの光を求める)物語を展開していく。

第 1 クールの前書きにしちゃ、ちょっと先のことまで書きすぎた感があるけど、まぁそんな感じです。

あ、時系列上は『大スター宮いちごまつり』もここに含まれるんですが、
アレの感想はまた別の独立した記事に書きたいと思います。

 

 

 

102 話『アイカツしよう☆Ready Go!!』

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

シーズン開幕回 & スミレ登場回。主にあかり・スミレ間の交流がメイン。服部ユウよ、永遠に。
サクッと雨漏りした後で、サクッと新年度の儀式。「これも記念」はやっぱりいいセリフ。
その後はひたすらスミレちゃんとのコミュニケーション。スミレの美人描写は人によっちゃクドく感じるかもしれないが、女児アニメだってこと考えればこのくらいわかりやすい描写は必要だろう。胸を割って話すまでどことなく会話がぎこちないのが、結構リアルで好き。
注目すべきは、あかりと会う以前のスミレのスタンスだろう。SL に入ったはいいが、そこには血で血を洗う競争主義が存在していた。その競い合い、蹴落とす "辛さ" に直面したからこその 1 人でのアイカツ。そこに手を差し伸べる大空あかりという光。超競争主義な SL の中で、落ちてもいいから・一緒にやりたいから という理由でオーディションに誘うってのは、やっぱりちょっと特殊な気がする。そんでもってその楽しさを教え、共有出来る所が素晴らしい。『あかり GEN』の結末を観ても、やっぱり SL の革命者なんだろう。
引っ越し直後と、レッスン中と、オーディション後とで少しずつスミレの態度が軟化していくのもグッド。
新しい年度初めを象徴するかのような、新しい感じの出会いの回だと思います。


103 話『いいこと占い』

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スミレエピソード 第 1 話。スミレちゃん(とあかりちゃん)がいちごの一日マネージャーをする回。
「雨が降るから立ち止まって色々考えられるし、どんな雨も止まない雨はない」
といういいこと占いの結果通り、いちごの体力・集中力・明るさを目の当たりにして、自身についてゆっくり考えるスミレちゃん。この辺は『オリジナルスター☆彡』概念をガッツリ描いてる。
『あかり GEN』メインの 3 人は個別の問題がはっきりとしており、それを一年半かけてじっくり追っていく作風のため、アイドルとしてのキャリアアップというよりは内面での成長に重きを置いている印象がある(今回じっくり観直していく中で印象が変わるかもしれないが)。ただ、一足早く物語を走り始めたあかりだけは別で、もうこの時点で大分頼りがいがある。まだまだ控えめ(穏やか)なスミレを、要所要所でぐいっと引っ張ってくれる様子は頼もしい。アイドルとしての実力はまだまだだが、精神的には(ブートキャンプや夏補講を乗り越えた事もあって)結構成長している状態だ。こうしてみると、2nd から時間をかけて禅譲したのは、精神面で 1st いちごに追いつかせるという意味もあったのかもしれないと感じる。登場時のメンタル弱々なあかりちゃんだと、お話の進め方に大分制約が出てきちゃうし。
あとはやっぱり、いちごから醸し出される "格" の高さだろう。所作というか全体的な雰囲気が(それこそ 1st 時代と比べると)大分落ち着いていて大人っぽくなっている。崖と潜水と降下は出てくるが、それらは今回のメインではなく、あくまでいちごの凄さの一面に過ぎない。レコーディングやラジオや、ロケバス車内の様子に至るまで、いつでもどこでも "星宮いちご" であるいちごの天才性をきちんと描いていた。その上で先を行く者としてスミレに道を示してあげる様子もしっかりと描く。嘗て 3 話で描かれた美月の "凄み" とは確かに違う、けど同様の "凄み" や "格" が感じられる良い描写だったと思う。


104 話『アイカツダッシュ!』

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ひなき参戦回。ポンポンクレープ再び。
登場時の人懐っこさ・ぐいぐい来る感じを見せておきながら、CM 前にちらっと闇を見せるという王道展開。ひなきの抱えるそれは芸歴の長さからくるやつなので、モデルという属性も相まって蘭ちゃんさんと被るところが多い。あちらが刃スタートだったのに対し、こちらは登場時点であかりの光を浴びているという違いが面白い。ただ、それはつまりひなきが救われたり成長したりするのが今回 "ではない" ということを示している。あくまで、マンネリという自分の壁にぶち当たってた所で「星宮いちごです事件」を目撃した過去があるというだけで、結局今回は在り来たりな食レポを改善するまでには至らなかった。逆にそこが成されていたら今回の勝敗は違っていただろうってのは織姫 & ジョニーの講評(フレッシュさがあかりの勝因)でもわかる。この辺を踏まえると、登竜門たるポンポンクレープを題材に選んだのはとても正しい。
この辺の "成長の遅さ" っていうのは前回のスミレも一緒。いちご世代に比べるとかなりのドンガメ進行だが、これが『あかり GENERATION』の作風だし、人によっては魅力に感じられる部分でもある。


105 話『はじけるヒラメキ☆』

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ひなき回その 2。あかりと上手く絡めて、スマートに構成を作ってる印象。
先にあかりのポンポンクレープ撮影が描かれる。ポスターを送ってもらったり、トランポリンで練習したり、お仕事要素を色々と入れてくる。ここ 3 話では初めてだし、その前は TSC だったことを考えると結構久々。
あかりの仕事を受けてのひなきパート。ひなきが空気読みになってしまった原因が語られる。ここでキーになるのがあかりのポスターっていうのがまたスマート。あかりパートとの連動性が出てくるし、その間を繋げたいちごのアドバイスの的確さも伝わる。「お仕事をすることで誰かを元気にすることが出来る」っていうのはアイドルとはなんぞやっていうのを端的に表した言葉であると思うし、いちごまつりに繋がる考え方である。


106 話『アイドル☆ハロウィン』

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ハロウィンのお祭り回。正直これといったドラマがあるわけじゃなく、丁寧に予習復習をする回という感じ。
これでもかと推してくるスミレの美人描写、久々に全員集合ないちご世代、らいちとマスカレード、ユウ & まつり等々の復習要素と、Dreamy Crown という予習要素。後々の展開のことを思えば、スミレの美人推しは予習にも含まれるかも。とまれ、とにかく各キャラが可愛い作画で描かれていて、とてもよく仮装が映える。
スミレの美人推しのおかげで前半だけ観るとスミレ回と思っちゃうんだけど、着地地点はあかりってことを考えると、やっぱ個別の誰かの回ってわけじゃないんだろう。スミレとひなきの仲が、一緒にいるのが当たり前ってくらいにはなってたり、ひなきがちゃんと "新しいこと" に反応していたり、あかりの体力がきちんとついてるってところなんかもいい。ここで一区切りって感じがするお話でした。
「新しい世代が育ってきて、アイカツ!界も盛り上がりそう」というセリフから 107 話に繋ぐのも面白い。

 

107 話『2 人のドリーマー』

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『大空あかりの物語』を語る上で絶対に "ハズせない" 存在、瀬名翼が登場する回。
また 107 話目にして初めていちごが 1 ショットも出てこない回でもある。
お話のテーマとも相まって、世代交代を強く実感させる回となってる。
お話は、あかりがショッピングモールでの単独ライブのオファーを受ける所から始まる。今までのお話をあかり視点で追いかけてみた場合、ポンポンクレープのキャンペーンガールやハロウィンイベントでのステージ等、着々とキャリアを積んでいるのがわかる。その延長として単独オファーはよくわかるし、それがショッピングモールライブってのもほのぼのしていていい。ただそのほのぼのした印象はあくまで視聴者側の論理で、駆け出しアイドル達にとっては勝負の大舞台であり、そういう部分をひなきがフォローしてくれるのもよい。ていうか、この頃はひなきちゃんの芸歴の長さからくる解説が便利だな。経験はないけど知識で補っていたあおいちゃんとは、また違った解説キャラだ。
そして、みんな大好き瀬名翼くんである。『アイカツ!シリーズ』の男性キャラでは、一番メインエピソードに関わり、一番成長したキャラクターな気がする。(そらを除いて)トップデザイナーから認められる形のお話が続いていた "デザイナーとアイドル" という文脈の中で、アイドルと共に成長していくっていうこのスタイルは、個々人の成長を色濃く描いていく『あかり GENERATION』にピッタリと言わざるを得ない。
今回あかりに課される試練が、染料の実の採集というものだが、ここの描かれ方も結構面白い。とにかくトライアル・アンド・エラーの繰り返しで、足と根性と試行回数でゴリ押すのがあかりスタイルなのだ。これが例えばいちごエピソードであれば、もっと大変な場所に生えてるのを 1 回で採りに行く感じかな、とか思う。
この先の物語を考えればあかり - 瀬名という繋がりの最初がこのお話だったのは本当に良かったと思う。


108 話『思いはリンゴにこめて』

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氷上スミレの PR ドレス回。あかりの方でもそうだが、こちらでも独特の文脈が紡がれていく。
PR を手に入れる為の試練は、ユリカの時と同じような感じ。こういう懐かしさをくすぐれるのはシリーズモノの特権であり強みだ。それに関連して、ユリカのメンターっぷりもバリバリに発揮される。
ていうか本当にスミレ文脈だと、ユリカがかっこいいことこの上ない。2 年間で大人気キャラへを育て上げたその文脈は『アイカツ!』にとって貴重な財産であり、それをフルに活かしていくのがスミレの物語だ(歌へのこだわりっていう独自の文脈もあるけど)。そういう描き方をしていく上で大事なのは、やっぱり先代へ負けないようどう存在感を出していくか、ってところだろうが、それはこれから先のお楽しみである。その辺を考えたら、物語の一番最後にああいう役割を持たされたっていうのも、この時点で既に納得できる話でもある。
鏡の前のシーンが大好きだ。「いつかはきっと」というドンガメ的セリフ(歌詞)は実に『あかり GEN』らしいと思う。こういう一歩一歩を大切にしてくれる作品(世代)だ。
別な視点でいえば、ひなきを含めた 3 人組でいることが、この辺では既に板についてきてる。LoLi GoThiC やユリカについて予習するところもそうだし、焼きリンゴのシーンについても一緒。よくいえば安定して生きていて、悪くいえばマンネリが見えてきてるが、だからこそこのタイミングで次回から 2 話続けてアンダルシアの熱い風が吹いてくるわけだ。


109 話『アイカツのアツい風!』

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紅林珠璃ちゃん登場回 & エピソード終了回。
いや、勿論これから先も担当回は何回もやってくる。だけど内に抱えた問題はあかり・スミレ・ひなきと違いこの一話で解決して、『あかり GEN』らしくない運びであり、寧ろそれ以前の『アイカツ!』に近い感じだ。
珠璃が抱えてるのは母親に対するコンプレックス。俗語のマザーコンプレックスとは別で、親の七光りとして見られてしまうことへの嫌悪感と、母親の "本気" に対する劣等感やリスペクトの混ざった "複合感情" としてのコンプレックスだ。ここで七光りへの嫌悪感や母親への劣等感を明確に描くことはせず、母親のトップ女優としての凄みと、それに対する珠璃の畏怖尊敬の描写に終始しているのが『アイカツ!』らしい。負の側面を徹底的に削ぎ落とし、正の面を全面的に押し出していく形だ。
繰り返しになるが、この問題を一話でサクッと片付ける当たりは、『あかり GEN』ではなくいちご世代の感覚に近い。これは(この時点では知る由もないが今後の展開を知ってる視点からすれば)珠璃を狂言回しとして活躍させるようにするためでもある。これから先はサブキャラとして大活躍だからな、珠璃ちゃん。
Soleil も久々に 3 人揃って登場。オーディションに選ばれる側として参加してるあかり達と、(実際に選考を担当してるわけではないが)選ぶ側の人間として参加し トップ女優・紅林可憐と話をしているいちご達との距離感が中々にいい感じで好きだ。駆け出しっ子とトップアイドルの距離という感じ。


110 話『情熱のサングリアロッサ』

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珠璃回 2 話目。
スミレやひなきと違い、珠璃固有の問題(マザコン)は前回既に解決しているので、そこから分離して "アイドル活動!" そのものに真正面からぶつかるっていうのは、やはり『あかり GEN』らしくなくどちらかというといちご世代に近い運び方だ。
今回の珠璃の悩みは満足行く演技が出来ないということ。"凍えた心を溶かす熱い○○(演技・ドレス etc)" ていうのは今回の共通した題材になっていて、寒杉校長・エンシエロ篤・かつての紅林可憐等、凍えていた人たちをどう救ってあげるかというテーマが重複して描かれている。珠璃の踊りがエンシエロを救い、そのエンシエロのドレスが珠璃の演技を変え、寒杉校長の心を溶かす。更にその大本にあるのは、エンシエロのドレスが可憐の演技を変えたという過去であり、こういう重層的・相似的な構造がよく光る回である。
ほんわかポイントとして、あかり達がエンシエロを元気づけようとするシーンがある。スペイン料理を作ったり、(茶番の様な)闘牛ごっこをやってみたり、薔薇を送ったり。最終的には、心には届いたもののその氷を溶かすまでには至らなかった。なんだけど、どんな些細なことであっても出来ることは片っ端からやるという、その姿勢が好きだ。彼女ら 4 人の友情も垣間見える、とても好きなシーンだ。

 

111 話『ディア マイ ファン!』

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あかりとスミレが初めての握手会に臨むお話。
テーマは「握手会」一つだけど、そこを起点に色んな方向に幅広く筆を伸ばしている印象。
今回印象的なのは、らいち & ノエルのクラスメイトで、あかりのファンである東あさひ君だ。オーディションキャラバンから見ているっていうのは、『オンパレード!』時点とかだとかなり周囲にマウント取れるくらいの古参だな……とか思ってしまう。面白かったのは、らいちがドルオタのイロハをあさひ君に叩き込んでいるところ。どことなく、あかりとスミレに握手会についてアドバイスしてるひなきとも被る。
やっぱりこの作品にとって「ファン」というのは何よりも重い存在であり、そこに触れておくことはとても大切なことなのだ。『あかり GEN』も 1 クール目の終わりが見えてくるタイミングなので、今一度そこをおさらい出来る構成である。アイカツシステムによるライブ特有の、モブアバターに注目したっていうのも凄く大きな出来事だ。これまでの 100 話以上で当たり前にいた存在であったが、そんな彼ら / 彼女らにも 1 人 1 人別々の "中の人" がいるということに改めて触れてきた。ある意味、物語世界の大地を形作る彼ら / 彼女らに対する敬意を感じるし、そんな彼ら / 彼女らに誠実に対応するあかりとスミレの株も上がる。このお話は、アイドルのスターダムを登りきったいちご主体では描くことの難しいお話だろう。逆にあおいにファン心理を語らせるのは、その登りきった地位を上手く利用した場面だと思う。「アイドルが好き」という気持ちは、トップアイドルであっても名もなきモブファンであっても同じものなのだ。
握手会に対するお仕事回として見ても面白かった。ひなきとあおいがそれぞれ違うアドバイスをすることで、握手会に対する 2 人のスタンスの違いがわかるし、正解がわからない中でベストを尽くそうとするあかりの姿勢もきちんと描かれていた。一話でその本質に辿り着けてしまうのが星宮いちごなら、暗中模索の試行錯誤を繰り返しながらひたすら "今" に全力を傾き続けるのが大空あかり、ともいえるだろうか。
その他、細かいネタも色々触りたくなるような、本当に幅広いいいお話だったと思います。
あおいちゃんの格上描写もふんだんでよかった。


112 話『GOGO! いちご応援隊』

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第 1 クール終盤に満を持しての Soleil 回 & 映画の番宣。作画も劇場版の影響を受けたのか、綺麗だ。
番宣は番宣なんだけど、きちんとエピソードを練って作ってあるのが素晴らしい。
Soleil 3 人の息のあった様子からの 1 人 1 人でも輝いている というのが話の骨子。それを強調する様に、いつもの 3 人 "らしい" 掛け合いは前半に多めに固められている。それを経ての個人活動のダイジェスト。ダイジェストといっても、止め絵ではなく動きがあり、また BGM もあるのでそこまでないがしろにされてる印象は受けない。寧ろ短い時間に圧縮しながらも、3 人の色んな表情を観ることが出来ていいシーンに思える。3 人仲良しパート→ 3 人それぞれパート→ゲリラライブ と大きく分けて 3 パートあるので、まぁ圧縮するとしたらこの部分になるんだろう。
アイドル活動をしていく上で、各々の得意分野に活動が特化していくのは自然の流れである。そして、その方向性が違えば例え同じユニットの仲間であっても一緒にいられる時間が短くなっていくのは必然だ。だがそれは決して悲しむべきことではない。それぞれのキャリアをそれぞれが積み重ねていくことで、再び 1 つに戻った時により一層の輝きを手に入れられるということ、その為にもその時その時に自分に出来ることを頑張ることが大切だということ。今回描かれていることはこういうことであるが、まさしく『あかり GENERATION』の物語に合致したテーマと言えよう。そのコトをきちんと描いた今回は、番宣でありながらちゃんと『あかり GEN』のエピソードにもなっていて、とてもよかった。


113 話『オシャレ☆ヴィヴィッドガール』

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ひなきの PR ドレス回。ドラマはちゃんとあるんだけど割りと薄味。
KAYOKO に PR ドレスを断られた過去が判明→リベンジという流れから、3 人で今回着る服を探しに行って、いざ KAYOKO の前でお披露目!というタイミングでハプニング、それをひなきの機転(とアイドルの超握力)で突破、無事認められる(PR 贈呈自体は次回)というお話だ。ひなき自身も言ってるように、今回のお話でどうのこうのってわけじゃなく、今まで 3 人で過ごしてきたことによってアイカツ!に対する考え方や姿勢が徐々に変わっていき(或いは戻っていって)、それによって今回のハードルは既に飛び越えられていたという感じになっている。じゃあ今回のお話がダメなのかっていうとそういうわけでもなく、『新条ひなきの物語』全体を考えたらやっぱり重要な回であると思う。結局、ひなきの物語は自分の殻を破って自分を強く押し出していけるかどうか というお話であるため、その一つのチェックポイントとして考えると、初 PR ゲットていうのはやっぱり大きな意味を持ってくる。この行き着く先が、あのダイレクトスプレーペインティングだって考えると、中々感慨深くもなる。
このお話単体で観た場合も、薄味ドラマをカバーするために色々と工夫がなされている。3 人のかわいいの大洪水はその一つだし、他にもおとめやスミレを通して『アイカツ!』全体の PR の文脈を再確認していたり。勿論 PR 回は既にあかりやスミレで終わらせた後ではあるんだが、第 1 クールの締めの時期ということを考えると、復習要素を入れるタイミングとしてもそんなに変ではないように思う。
後はお話全体が次回の準備回ともいえるか。パーティの準備をしたり、ドレスを準備したり。


114 話『ハッピーツリークリスマス☆』

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伝統のクリスマス回。
ただドラマはほぼ何もなく、ひたすらにトンチキと斧を振り回す狂った回(褒め言葉)。
"中山ユナの為にかなりの無理を押し通してでも頑張る星宮いちご" がキモの 12 話と違い、今回の伐採は単なる珠璃の勘違い & 無茶振りというだけで、そこには何のドラマもない(一応 12 話のアレに魅せられたというあか珠璃の思い出が共鳴するというのはあるが)。登山も、斧も、のこぎりも、ダイレクト下山もほぼただの焼き直しっていう感じだし。その一方で面白いのは、四ツ葉さんや瀬名くんがちょいと目立つ所だろうか。四ツ葉さんの設定はどのくらいから埋められたのかは定かじゃないが、今後を知ってると彼のカメラ目線なんかに意味を感じられて面白い。後は押しかけられるだけ押しかけられておいて、結局は鍋ラーメンな瀬名くんとか。話数調整的でもあり、締めでもあり、そんな感じの印象がするお話だ。
『はろー!Winter Love♪』はやっぱりいいですね……本当に好き。