【ネタバレ含】ENDER LILIES: Quietus of the Knights 感想

©BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.

『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』というゲームが、とても面白かったというお話です。

 

 

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少し前に Steam 上で『ENDER LILIES』というゲームが 35% セールをしていたので、購入しました。
ジャンルは "2D ソウルライク メトロイドヴァニア アクションゲーム" とでも言うんでしょうか。

2D 画面で、手強すぎるザコ敵を処理しながら、広大なマップを探索する。

といった感じのゲームです。退廃的な空気なんかもまさしくソウルライクといった感じ。
と偉そうに語ってますが、この手のゲームは本作が初プレイでした。
Steam を眺めてると同ジャンルの作品が近年増えてきてるように感じていて、一作でいいからプレイしてみたいと思ってました。そんな中でセールになってるのを発見し(ウィッシュリストに入ってた)、元々同ジャンルでも一番プレイしたいタイトルではあったので、迷わず購入。
で、見事にその魅力にドはまりし、とりあえず C エンドまでクリア。
New Game + にまで手を出し始めるに至ります。

下書きを書いてる間に New Game+ も C エンドクリアまでいきました。
三周目もやるかも。
三周目もクリアしました。

 

そんなこんなで、久しぶりに個人的に刺さりまくりだった本作。
流石にゲームしっぱなしでは勿体ないと思ったので、つらつらと感想を書き残しておきたいと思います。
例によって例のごとく、以下はネタバレを含むので、自己責任でよろしくお願いします。

といってもアニメの時のような真面目な考察はしていないのですが。
攻略情報を書いてる訳でもないので、肩肘張らずに読んでいただけると幸いです。

 

 

 

 

 

特に良かった点

本作のいいところは本当に挙げればキリがないのですが、その中でも特に良かった点をいくつか。
といっても凡そ他の方のレビューと変わりませんが(それだけいいという証)。

 

難易度

個人的に最も気に入ったのがこれ。難易度設定が本当に絶妙すぎでした。
正直私はアクションが得意ではないのですが、そんな私でも練習すれば突破できるザコ敵、ボス、ギミック。
そしてそれを裏から支えるリトライ性。
絶妙なバランスで構成される、各スキルとレリック(装備品アイテム)たち。

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特にリトライ性は特筆すべきものがありました。
"レストポイントに戻されるだけ" という実質なにもないデスペナ、その上で豊富にあるレストポイント、更に解禁時期の早いファストトラベルと至れり尽くせり。特にデスペナの軽さは特徴的で、よくある経験値やお金の没収等はなく、道中回収したアイテム等もそのまま。加えてギミック解除等の探索結果まで保存される為、祈り(回復手段)やスキルの残り回数が少なくても、そのまま先に進む価値がとても大きいのは良かったです。探索の楽しさに直結したので。

アクション関連ですと、主人公の落下死・マップギミックでの一撃死というのがなかったのも良かったです。敵だけに集中すればいいというのは、アクションが苦手な人間にとってはとてもストレス少なく遊べました。だからこそ数少ない "直接 HP に関与するマップギミック" である「穢れの濃いエリア」へのストレスだけは、本作でもかなりのものでしたが……(冷静になればそこまで慌てるダメージのものではないのですが)。

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あとは探索を終えたフロアの色が変わる点も良かったです。聞いた話では、同ジャンル他作品でデフォ採用されてるようなものではないらしい(?)。個人的には結構必須機能のように感じました。

死にゲーに慣れてる人・超硬派な高難易度アクションを求めてる人にとってはひょっとしたらぬるく感じるのかもしれませんが、私くらいのアクション習熟度のプレイヤーにとっては、本当に快適に楽しく遊べることが出来ました。プレイ体験にストレスを感じた印象がほとんど残ってないのは本当に凄い。

 

グラフィック

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本当に綺麗でした。

私は普段他のゲームだと(PC への負荷も考慮して)モニター最大解像度でプレイすることはほぼないのですが、本作では最初から最後までそれでプレイし続けました(というか今もしています)。それだけ隅から隅まで眺めていたくなるグラフィックです。雰囲気が大切なゲームだからこそ、高い解像度でプレイする意味があるように感じました。2D 故の負荷の軽さもあったのかもしれません。

 

BGM

そして、やっぱり欠かせないのがこれ。曲が本当に良かった。

グラフィックの項目にも書きましたが、本作は雰囲気や没入感がとても大切なゲーム。その世界観の構築に、各楽曲達は一役も二役も買ってました。本当に素晴らしい曲ばかり。

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好きな曲を挙げるとなると本当にキリがないのですが、その中でも特に刺さったものを列挙するなら、ボス戦ですと守り人姉妹・ウルヴ・ユリウス辺り、道中ですと崖の村・魔術協会でしょうか。その中でも特にシーグリッド戦は一番最初に耳にするボス曲ということもあって、かなり魅せられてしまいました。一曲目にこれを聴かせるのは本当に上手い構成だと思います。このゲーム自体を一気に好きになりました。

 

 

思い出とか印象とか

各エリア・ボス・レリックなんかについての思い出とか印象をつらつらと。

 

エリアについて

教会~白の教区

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ゲーム開始直後にいる、一番最初に攻略するエリア。
今後プレイヤーを悩ませ続ける弓持ちスケルトンもここから登場。
先の BGM の項目でも書きましたが、この時点で既に曲がいい。
ステージの退廃的な雰囲気に、もの寂しい曲調がとても合っています。
攻略的なことで言えば、特に癖のあるギミックや敵配置はなかった印象。まぁ最初ですしね。

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ただスタート地点に本作最大の仕掛けを潜ませてるの、本当に大好き。

 

崖の村
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その名の通り、家屋が立ち並ぶエリア。
カラスが登場してきて、弓兵スケルトンとの合せ技でこちらを悩ましてくる。
更に New Game+ だと一度に吐いてくる弾が 2 発になってて、より一層脅威に。
私の場合は先に魔術協会からクリアしていたので、花の魔女イレイェンで対処してました。

肉腫とかフックとか、何かと後半にならないと行けない・取れない場所・物が多かった印象があります。

 

魔術協会

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至る所に水が張り巡らされてるエリア。BGM はどこか怪しさが漂う感じ。
当然、魔術師タイプの穢者が登場。あとは壺に化けたやつや、中型のデカいやつもこの辺から。
イレイェン花の魔女という二大汎用スキルが揃うエリアですが、それまでは崖の村の少年シーグリッドだけで切り抜けなきゃいけないのが、ちとキツかった。逆に言うと、その為に色々と工夫する余地があったのは楽しかったけど。

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水流逆流ギミックは、真相を知った時に胸を打たれました。イレイェンの巨大感情……。

 

カタコンベ

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崖の村の端にあるレストポイントから飛び降りた先に広がる、巨大な地下墓地。
地下墓地っていうとおどろおどろしいものを想像しがちだけど、明かりの色味おかげか、どこか暖かな印象もありました。まぁカタコンベであることは変わりないので、人骨はそこかしこに転がっているんですが。

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巨大な蜘蛛型の穢者や守り人タイプの穢者が出てくるエリアで、探索も戦闘も一段階難しくなった印象。
「敵の攻撃を避けて反撃」というのはこのゲームの基本戦術だけど、それに加えて「当たらない位置から一方的に攻撃」といった小技も必要になってきたり。
各フロアの位置関係もより複雑に絡み合い、全体マップがなかったら絶対に迷ってた自信があります。

 

双子城砦

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対穢者戦線の最前線を担う(担っていた)要塞。設定的には風の白巫女にも泉の白巫女にも因縁深い土地。
全体的に上に長いフロアの多い上、壁捕まりが出来るようになるのはここのボスを倒してからなので、探索に結構苦労したエリア。

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新たに登場するザコ敵はどいつもこいつも殺意高め。透明移動を覚えたカラス、攻撃範囲の広い目玉、斧を投げるタイプのスケルトン、そして竜騎士型の衛兵とワイバーン型の穢者。
竜騎士衛兵は剣を持ってるか槍を持ってるかで攻撃パターンが変わるのですが、特に剣持ちが厄介。初撃で近づき二撃目で離れていくので、追撃がしにくい……。なので花の魔女でとにかく落下死を狙ってました。
ワイバーンは多分本作のザコ敵で最強なんじゃなかろうかっていう。爪や尻尾を使った格闘技は当然として、それ以外にもブレスや毒息なんかも持ってて厄介。更に耐久・スタミナ共に高く、花の魔女ゲルロッドでも一発落下が狙えない……。そして何よりもこいつも "ザコ敵" であることは変わらない → 複数体出てきたり、他の穢者と一緒に出てきたり、っていうのが本当にキツかったです。

 

地下牢獄

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ダークホラーな本作の中でも、ひときわ暗いエリア。
とにかく暗く、初見のフロアで視野外から不意打ちを食らうことも珍しくない。

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新登場の穢者も "そういう" 奴らが多め。一気に距離を詰めてきて攻撃してくる穢者や、一旦消えた後こちらの背後に現れて不意打ちしてくる穢者など。後はスーパーアーマー持ちのトゲトゲもここが初登場(シルヴァチャージや毒などで破壊可能)。

マップ構造としては、一つの大部屋とそこから派生する小部屋 みたいな組み合わせが多かった印象。その為、まず最初にレストポイントを探し出し、そこを中心に探索を繰り返しまくっていました。

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正直個人的に一番嫌いなエリアでした。とにかく暗くて見づらいのがキツかったです。
New Game+ で攻撃頻度の上がったネズミは本当に厄介だった……。

 

果ての王城

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本作の舞台である果ての国、その中心地であろう王城
といっても、当然ながら他のエリア同様の廃墟と化してるのですが。

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お城 というだけあって、出てくる穢者も鎧を着てたり盾を持ってたりするのが多め。故にきちんと隙を突いて攻撃出来ないと、いつまで経ってもザコ戦を突破できなかったり。強制戦闘も多く、とにかく戦闘に骨の折れるエリアという印象があります。

BGM は荘厳な音の中にもどこか寂しさ・もの悲しさを感じさせる曲調であり、この城にいる彼の心情を思わずにはいられないものでした。

 

禁じられた領域~最深

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ラストダンジョン。
不気味な BGM と気持ち悪い背景、点在するスリップダメージゾーン、強すぎるザコ敵が跋扈するエリア。

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今までのエリアにもいた大型の肉塊がとても強力な触手攻撃をしてきたり、かなり出の速い遠距離攻撃をしてくる穢者がいたり、それでいて複数のフロアを経由したギミックがあったりと、ラスダンに相応しい難易度。

正直余り語ることがないんですよね。というのも、とにかくスリップダメージ + 敵の強さがしんどく、探索に手一杯だったので。New Game+ ではまだここまで到達できていないのですが、果たしてどうなるのか。

かなり警戒していたのですが、強制戦闘がなかった分、王城より楽に感じました。

 

ボスについて

守り人シーグリッド

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記念すべき本作最初のボス。
優秀なシスコン姉に対するコンプレックスを抱く、フレイルぶん回しシスター。

前方への速い攻撃、後ろまで届く攻撃、飛び上がってからの振り下ろし等々、オーソドックスな攻撃を仕掛けてくる辺りは流石最初のボスといった感じ。
そんな相手でもアクション苦手マンにとっては難敵で、やっとの思いでゲージを削り切ったかと思いきやまさかの第二形態。この辺も流石チュートリアルボスといった感じ。ただ今にして思えば、ゲージを一新しての形態変化って守り人姉妹穢れの王以外いないんですよね。穢れの王はまぁラスボスだからわかるとして、守り人姉妹だけ特別なのは不思議な感じ。守り人に関する何らかの隠し設定があるんでしょうか。

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ゲーム後半に行けるようになるフロアには彼女の自室と思しき部屋があり、そこには姉からのプレゼントが。
ただ、ちゃんとした羽のある姉から、骨の羽しかない彼女に向けての贈り物が「ジャンプ力強化」の効果持ちって……こういう所で的確に感情をえぐってくるのが『ENDER LILIES』という感じ。貰えるアクションも二段ジャンプの妹に対して、空中滑空の姉だし。

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他にも、ステージボスなのに貰えるスキルはメインスキルじゃなくてサブスキルだったり。
こういう逆方向の特別扱いが色々と感じさせてくれて面白いです。
(他のボス達が軒並み優秀な人材なだけ余計に)

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だからといってシーグリッドが全くの無能だったかというと、そういうわけでもないという。
言葉の端々からは、白巫女を守るという使命に殉じる覚悟を感じますし、
彼女との戦闘場所では生前に葬ったのであろう穢者の屍の山がありますし。

 

老戦士ゲルロッド

先代の騎士長にして頼れるおじいちゃん。

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本作のメインキャラクターは基本 "泉の白巫女世代" なのですが、彼は一代前の "風の白巫女世代" の人間。
ユリウスの前の騎士長でもあったらしいです。
双子城砦建築時に、当時その土地に蔓延っていた穢者達を風の白巫女と協力して浄化したんだとか。
本編で語られるのは基本泉の白巫女世代の話なので、この辺のゲルロッド全盛期の話も気になります。

ボスとしてはオーソドックスな大ぶりパワータイプのキャラ。
とは言うものの歩きが遅いだけで、攻撃速度自体はそこそこあったりします。
リーチもあるので正面から迎え撃つのはやや分が悪い感じ。逆にイレイェンを先に攻略していたり、西の商人を習得済みだったりするとガン刺さりします。
HP を削ると攻撃パターンが変化して、衝撃波を打ってきたり、タックルしてきたり、ジャンプからの落下攻撃をしてきたり。搦め手が少なく、隙を突いて攻撃をする楽しさに溢れたボス戦です。

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城砦の建築、城砦での防衛戦、での防衛戦、白巫女の負担を考えての浄化拒否……。
騎士の誉れに満ちた立派な方という印象を強く受けます。
彼の背中を見ていたからこそ、ユリウスくんの自己嫌悪も大きくなったのかもしれない……。

 

黒の魔女イレイェン

フリーティア様大好き!な天才魔法少女。ゲーム的には序盤の壁だったりします。

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浮遊した状態から 2 種類の火球を打ったり、画面を上下に貫く竜巻を発生させたり。最終形態では画面全体に火球の弾幕を張ってきたり、(弾幕以外の)火球攻撃の後にこちらの背後にワープ → 触手で攻撃してきたり。
特に竜巻が厄介でした。戦闘領域を強制的に二分される為、回避に使えるスペースが少なくなるのが大問題。それに加えて敵は遠距離攻撃主体ですので、竜巻の反対側にいられると反撃もなかなか難しかったり。竜巻自体は回避行動ですり抜けられるのですが、その時にはまた反対側にワープされていたり……。
常に浮遊してるので、落下ダメージ狙いでの花の魔女ゲルロッド主体で攻めるのが安定する気がします。

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キャラクターとしては「フリーティア様大好き!」の一言に尽きます。
ただフリーティア様の周りには色んな人(シルヴァ ウルヴ etc)がいるんですよね……。
非対称な関係性が美しくて切ない……。
彼女自身は早い段階で登場するんですが、彼女の手記はそこからかなり先に進めないと読めないんですよね。なので浄化時のセリフやムービー等の印象が、一周目とそれ以降とで大きく変わる人物の一人だと思います。

 

守り人シルヴァ

妹大好きなお姉ちゃん、ハンマーぶん回しシスター。

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ボスとしては妹の上位互換のような性能。攻撃動作が早く、遠距離でも魔法弾を打ってきたりする。
ゲージを削りきれば第二形態。妹の所でも書いたがケージが新調されるのはラスボスとこの姉妹のみ。
ただ正直第二形態のほうが戦い安かった気がします。形態変化したことで的が大きくなったのと、第一形態のほうがバックステップなどでこまめに動かれて、隙を突くのが難しいからでしょうか。

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浄化することで回避行動がスライディングから滑空に変わり、かつ奥義も解放されます。
この滑空を習得したことで一気に探索できる範囲が広くなった印象があります。ただし、それまでのヘッスラが見られなくなったことだけは残念。

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本作の最重要人物である「泉の白巫女フリーティア」の守り人を務めていただけあって、彼女の手記には物語の根幹に繋がることが多々書かれていたり。ただその情報を掻き消すかの如く、最愛の妹への感情がダダ漏れになってるのがなんとも言えません。かと言って、白巫女の護衛に関しても、決して「妹を守る為」の成り行きだけではなく、ある程度の信念があったように感じるんですよね。特に最後の手記辺りからは。余りにも感情のベクトルが妹に向きすぎているので、彼女のフリーティア様に関する感情や、或いは逆にフリーティア様が彼女をどう思っていたのか、この辺りも気になるところではあります。

 

狂い騎士ウルヴ

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中盤の壁にして、初見攻略における最強のボス。
穢れに侵される前から気性が荒いとか、意思疎通が難しいとか言われてる "狂い騎士"。

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ただまぁ浄化後のムービーとか観ると一気に印象が変わるんですよね。フリーティアとの交流、花畑と白巫女を守るという約束、とても綺麗で物悲しい BGM……。というか浄化時に観る(見せられる)のが、とても楽しそうな記憶ってのが、何となく彼の本質を表してそうな気がするんですよね。"狂い騎士" は、強烈な戦い方と無口が組み合わさった結果なのではないかっていう。

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ボスとしての特徴は、とにかく攻撃が速いことと、第二形態から強力な遠距離攻撃を使ってくるということ。
逆に慣れたら一番戦ってて楽しいボスだと思います。戦闘のスピードが速く、それでいて隙を突きやすい。
New Game+ では 2 回目で突破出来ました。一周目の時点で攻撃スピード・攻撃頻度が既に凄かったので、New Game+ になっても大きなギャップを感じなかったからでしょうか。

 

深淵の番人ヘニール

所謂 "汚れ仕事" を担う組織「暗部」の長を務めていた、闇の仕事人。

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浄化ムービーで描かれてた様に、泉の白巫女とは裏と表で国を支え合ってた関係。
仕事柄残せるはずがないのに、何故か残ってる手記。その内容はユリウスの出自についてのもので、国のことを思いながらも、自分の妹と甥に対しても深い愛情を持ってたことが伺える人物。

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リリィ以外の白巫女達は各地で匿われていたわけですが、その中で最も出口に近付いたのが彼(と暗部の部下)が守る子だった辺り、相当の手練だったのではないでしょうか。しかも禁域に直結してる土地でっていう。

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ボス戦は本作の中でも屈指の特殊戦闘。暗部の長らしく、周囲にザコ敵を引き連れての戦闘です。
とはいうものの、道中にいる同タイプのザコと比べて HP がかなりナーフされており、冷静に裏に回ってコンボを決めれば、楽に処理できるレベル。これがもし執行人タイプではなく、動きの速いアサシンタイプだったら相当キツかった気がしますが。というかどうやらアプデでヘニール自身も相当のナーフを食らったそうで、アプデ以前はかなりの強敵だったらしいです(伝聞)。
ネット上の攻略情報ではザコを無視してヘニールを殴り続ければ良い みたいなのが主流ですが、個人的には余裕があるならある程度ザコも倒してしまったほうが結果的に楽に戦えました。無限湧きですので全滅させることは出来ないのですが、画面内 +α だけでも掃除すればヘニールの攻撃も見極め安かったですし。
ちなみに戦いの記憶や New Game+ の場合、周囲のザコが風化した首飾りの回復リソースになってくれます。

 

騎士長ユリウス

ゲルロッドの後を継いだ騎士長にして、暗部の長の甥であり、王の落胤でもあるという、
因縁と宿命のフルコースのような生い立ちを持つ男。

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王城双子城砦を中心に国中に配備されている鎧騎士達を束ねる男らしく、攻撃モーション中以外に正面から攻撃すると、槍を用いてそれをガードしてくるという特性の持ち主。
得物が槍なだけあって、リーチが長いのも特徴。調子に乗って攻撃を続けているとカウンター気味に振り払ってきたり、距離が空くと突進技を使ってきたり、果ては超射程・多段ヒットのビームをぶっ放してきたりと、騎士長らしい(?)技のバリエーションを誇る。
技の一つ一つに対応を求められる為に戦闘難易度は高くなりがちですが、ウルヴ戦とはまた違った楽しさのあるボス戦でもあります。

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浄化後のムービーから、ウルヴとはまた違った異質さを感じました。
状況説明という点では他のキャラと同じではあるんですが、純度 100% の恨み・憎しみ・怒りをぶつけている様子というのが、彼個人の感情が剥き出しになってる感じがして、より深く・より大きく穢れの影響を受けてしまったのかな、とか思ったり。

来歴が来歴なだけに、本作の中で一番掘り下げ(妄想)しがいのあるキャラクターな気がします。

 

ミーリエル & 異端者ファーデン
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最後の引き金を引いてしまった、異端の天才魔術師とその恋人(諸説あり?)。

彼の行いが結果的に亡国に直結したことは間違いないのですが、白巫女を救いたい思いも本物だったようで、
この辺の煮えきらない感情を抱かせてくるのが実に『ENDER LILIES』らしい。
個人的には、そういう意味で本作を象徴するキャラクターの一人のような気がします。

ボスとして戦うのは、彼の恋人とされるミーリエル
画面左端を占領して動かない大型の敵で、爪を使った攻撃や火球、爆発する肉塊を吐き出したりしてきます。

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特に厄介なのが第二形態以降に使ってくる爪攻撃で、こちらの足元から腕を複数本生やしてくるというもの。攻撃力が高いだけでなく攻撃の持続時間も長いため、普通に地上で回避しようとしても回避しきれずに被弾してしまうというもの。ジャンプ攻撃やジャンプ + 回避で滞空時間を伸ばしながら交わしたり、タイミングよくパリィするのが一般的な対処法なのですが、タイミングに慣れるまでが大変。私自身は最終的にパリィする方向性になりました。

動かないタイプの敵なので、弓使い墓守等の複数の弾を発射するスキルを、全弾当てることが容易。
積極的に近付いて接射していけば奥義ゲージももりもり溜まるので、奥義主体で戦うのも面白いです。

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で、これはもうネット上で散々書かれてることではあるですが、この時戦う巨大な穢者が、本当に彼の恋人の「ミーリエル」のなのか というところ。これ最初に気づいた人凄いなぁって思いますし、ファーデンに対する救いのなさがより一層増す感じがするので、この解釈はとても好きです。

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これまた散々書かれてることですが、イレイェンさんから「クソ」呼ばわりされてるのもいいですよね。
まぁ彼女からしてみたら大切な大切なフリーティア様に何してくれてんじゃって感じでしょうし。

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そんな「クソ」が最後の希望に直結してるという展開、本当に大好きです。

 

穢れの王

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本作のラスボス。

一定周期でザコ(通称お魚)を吐き出してくるのですが、こいつの弾速がとにかく速くて厄介。
逆に穢れの王自身の攻撃はモーションが大きく安地もある為に対処しやすい。
また画面中央から動かないタイプの敵の為、こちらの攻撃も当てやすい。
この辺を総合した結果、ネット上では "周りのザコ(お魚)が本体" とまで言われる始末に。

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とはいえ、安地に気付くまでは結構苦戦しました。
突き刺しは避けやすいんですが、薙ぎ払いが見えにくいんですよね。特にザコの対処をしていると。
最終的にはゲルロッド + 花の魔女というスタミナ削りコンビで安定しました。ゴリゴリ削れて楽しい。
他には二種類の毒やユリウス奥義、シルヴァ奥義などの、広範囲に多段ヒットする攻撃が有効でした。

穢れの王」の初出はどこなのか、というのは本作で一番気になる所ではあります。
直接的なものは戦いで散っていった古き民の怨念なのでしょうが、それを浄化したのが暁の白巫女で、
城砦築城戦では風の白巫女が大量の穢れを浄化して、
城砦防衛戦では泉の白巫女が大量の穢れ(と当時の穢れの王)を浄化して、
って考えると、どうしても最悪の負の連鎖を想像してしまうわけですが。

 

レリックについて

よく使ったレリック、または印象深いレリックについて、つらつらと。

攻撃力 UP 系 & 被ダメカット 系
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最もわかりやすい、ゲームらしいレリック群。
私は特に被ダメカットの方を愛用していました。アクションが下手なので……。
上手い人だと逆に被ダメカットを減らし、攻撃力を上げる方向性でビルドする模様。
効果は重複しますが、逆に必ずしも複数個装備する必要はなくて、残りスロット数に応じて数を細かく変えられるのは良かったです。穢者の指雪花の腕輪は常に装備するけど、残りは細かく付け替えたりするなど。

 

白巫女の像・白巫女の人形・白巫女の耳飾り

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本作の主たる HP 回復手段である祈りの回数を増やすレリック群。
像 → 人形 → 耳飾りの順で手に入り、またこの順番で使用スロット数も減っていくという仕様。
祈りの回数を増やす以外の効果は持ってないため、後から手に入るものが完全な上位互換となってます。
白巫女の像は比較的早くに手に入るものの、スロット 4 は流石に重く、あまり使った記憶がありません……。
白巫女の人形はスロット 3 と重さもそこそこで、耳飾りが手に入るまで愛用していました。
耳飾り入手後は流石にこれ一択。複数装備して更に回数を増やすことも出来ますが、それだと他のレリックがろくに装備出来なくなるため、ほとんどやりませんでした。強いて言うなら最深部にある石版を取りに行く時くらいでしょうか。

 

ニンフェリアの指輪

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個人的に最も外すことの出来ない、最優先レリック。
仕様スロットは 1 で、効果は祈りのモーションを速くするというもの。
ある程度プレイすれば「そもそも回復するタイミングは完全に隙がある時しかない」ということに気付くためこれを装備する必然性は薄れてくのですが、如何せん入手以降ずっと装備してその速さに慣れてしまうので、今更外すのが怖いんですよね。外した所で増えるスロット数は 1 ですし、なら外す必要性もないかなって。

 

血染めのリボン・穢れを帯びた刃物

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取得経験値を増やしてくれるレリック。
当然ながらカンストして以降は全く出番はなくなるのですが、一周目ではそこそこの頻度で付けてました。
ウロウロと探索してるだけで自然とレベリング出来るってのは、探索ゲーとかなり相性が良いと思います。

 

朽ちた王冠

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スタミナゲージの削り値を増やしてくれるレリック。
一周目では上の経験値レリックを優先させていたためボス戦以外では中々付けづらかったのですが、
レベルカンスト後、特に New Game+ ではほとんどずっと付けています。
割合増加?らしいので、元々削り能力が高いスキルとの相性が特に良好とか。
ゲルロッド花の魔女主体で動くなら是非とも付けたい一品です。

 

不死騎士の証・風化した首飾り

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敵に攻撃がヒットするたびに HP を微回復してくれる不死騎士の証と、
敵を一体倒すたびに HP を小回復してくれる風化した首飾り
祈りに頼らない貴重な回復手段なので、どちらもできれば装備しておきたいレリックです。
その性質上、不死騎士の証はボス戦で、風化した首飾りは道中での相性が特によかった感じです。
ウルヴシルヴァのチャージ主体で立ち回る場合は、不死騎士の証も道中で輝いたりします。
逆にヘニール穢れの王の様な取り巻きがいるボス相手だと、風化した首飾りも役立ったり。

 

かつて失ったモノ・穢れの幻影

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どちらもリリィの見た目を変更するレリック。仕様スロットは 0 なので完全に趣味用。
かつて失ったモノはゲーム開始時の全く穢れを受けてない姿に、
穢れの幻影はエンディング B・C でのみ見られる、完全に穢れに侵された姿に変更してくれる。
ちなみに同時装備は不可能で、どちらかしか装備できないです。
どちらも正規で見られる時期はとても限られているので、そういう意味ではとても貴重なレリック。
(ただよくよく考えれば、段階的に穢されていく姿もそれぞれ唯一無二なんですよね。)

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ちなみに A エンドではフリーティア様の幻影が穢れを全て浄化してくれますが、
穢れの幻影を装備しているとそのままの姿(穢れたまま)だったりします。
イベントの効果よりもレリックの効果のほうが優先されてるということでしょうか。

 

フリーティアの指輪

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本作の最重要人物たるフリーティア様の指輪。
仕様スロットは 0 で、ソウルライクには欠かせない「パリィ」を使用可能にしてくれるレリック。
テキストにある通り、"穢れの影響の受けにくさ" をパリィというアクションに落とし込んだんでしょうか。

とまぁ一見なんの変哲もないレリックですが、よくよく考えると結構特殊だなぁ、と思うんですよね。
0 スロットのレリックは他にもありますが、それらはかつて失ったモノの様に基本的に攻略に何も影響を及ぼさないものばかりです。しかし、このレリックだけはノーコスト・ノーリスクで新たなアクションが出来るようにしてくれる……。そこでちょっと思ったのが、なんかこれってボスを倒した時のアクション解禁に似てる気がするんですよね。本作のラスボスの事を考えたら、そういう繋がりもあるのかも……?

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それと置いてあった場所も結構不思議。
崖の村の井戸から連なる、カタコンベへと続く洞穴。
ゲーム的な事情を考慮しなければ、禁域のどこかで寝たきりになってた場所とかに置いて有りそうですが。
あるいは王城内の、フリーティア自身が使っていたと思われる部屋とか。
あるいはどこかの "リリィ" に渡しているとか。
もしくは寝たきりになる前にシルヴァ・イレイェン・ウルヴの誰かが預かっていたとか。
そういうわかりやすいストーリーでなく、カタコンベの間に置かれてあった理由がとても気になります。

 

 

その他思ったこと・気になったところ

続編とか前日譚とか番外編とかがほしい

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まぁ、何はともあれまずはこれです。あの世界のことをもっと知りたい。
本作はストーリーもゲーム部分も大変面白いのですが、Tips 等を読めば読むほど、
作中で描かれてる範囲の狭さを実感してしまいます。

果ての国以外の国の現在・及び過去(vs 古き民の戦い)はどうなってる / だったのか。
果ての国他が攻めて来る前、古き民達の統治・暮らしはどうだったのか。
暁の白巫女の時代はどうだったのか。
風の白巫女・騎士長ゲルロッドの時代(双子城砦築城戦)はどうだったのか。
そして何より、泉の白巫女時代(双子城砦防衛戦)はどうだったのか。
あとは本編が始まる直前の、各地のリリィズと保護者達の生活はどうだったのか。
もちろん、ユリウス・王・ヘニールを巡る物語も気になります。

本当に、語ろうと思えばいくらでも語れるくらい、ポテンシャルを秘めた物語だと思います。

 

結局穢れは残ったまま

本作の A・B エンドはお手本のようなメリーバットエンドだと思うのですが、
いうて C エンドも諸手を挙げてのハッピーエンドではないと思うんですよね。
少なくとも果ての国の統治が始まってからは、穢れに対しては代々引き継いでいくという対症療法しか出来ておらず、C エンド終了時点のリリィ宝具の力で抑えてるだけで、穢れそのものをどうにかするという根本的な解決には至ってないわけですし。

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ただフリーティア様のセリフとか、古き民は普通に暮らしてたっぽいこととか、その辺を踏まえると何か穢れ問題に対する根本的な解決策があるような気がしなくもないんですよね。(白)巫女が老衰で亡くなるまで放置 とかだったら余り救いはありませんが。

ただ現時点で穢れをどうこうできる手段があったとしても、黒騎士さん以外とは別れることになるのか。
それはそれで辛い気がする(が、早めに解放してあげたい気持ちもある)。

 

回収できた穢れの総数

余り攻略寄りのことは書くつもりはないのですが、これはメモがてら残しておこうかと。
ざっとネットで検索した感じでは見当たらなかったので。

道中(デフォルト操作なら) L2 で回収できる残滓の合計が上段。
メインスキル強化に使う「猛る穢れの残滓」
10 * 17 + 30 * 11 + 100 * 5 + 800 * 2 = 2600
サブスキル強化に使う「淀んだ穢れの残滓」
10 * 52 + 30 * 25 + 100 * 12 + 800 * 5 = 6470

下段の数字は、New Game+ を始める直前の一周目データの残滓と、二周目 C エンド直後の残滓の差分です。
私は、二周目に関しては C エンド到達まで一切スキルを強化しなかったので、この数字がそのまま二周目における各残滓の入手総数となります。

よってこの数字と上段の数字との差分を取ることで、二周目道中のザコ敵や木箱等から入手した残滓の数を求めることが出来ます。
ただし私のプレイングは、1 フロアにつき一度はザコ敵を全滅・木箱や壺も全回収というものなので、
極力ザコ戦をスルーする方などと比べるとかなり多い方ではあると思います。

 

vs 黒衣の騎士(古き民の騎士)

黒衣の騎士さんは他のボス・中ボス連中とは違って穢者ではなく、(白)巫女の家系と契約を結んでいるお方。
その為、バトル → 浄化 →共闘というプロセスを踏まず、最初から力になってくれる特別な人物。

ではあるんですが、一方で敵 ver の黒騎士も見てみたくなるんですよね。
人型だから戦闘楽しそうですし、隠しボスとかでちょっと観てみたかったかも。
とはいえ物語の設定的に、本編で力を貸してくれる黒騎士さんが敵に回る展開は中々想像できない……。
となると、無難なのは「古き魂の残滓」の回収時に戦う、とかでしょうか。
それにしたって "穢れの残滓" ではなく "魂の残滓" であることを踏まえると、穢れてるとは思えない……。
穢者じゃなければリリィが戦闘・浄化する理由がないですしね。

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最も自然に物語に組み込めるとしたら、禁域の奥の、石版と残滓があるフロアでしょうか。
古き民にとって最後の戦いの地であり、濃い穢れが蔓延してる場所でもあり。
他のエリアにいる騎士よりも戦う動機づけが楽そうです。

 

アートブックが欲しい

私は先の Steam のセールで購入した口ですので、当然ながら限定予約特典なんぞ持っていません。
ただ、正直ここまでハマるとは思っておらず、今になってめちゃくちゃ欲しくなったという。

いや、電子版が出てるのは知っているんですがね。
ただやっぱりこういう作品だと、物理で欲しい……。
とは言え予約特典をあとから別売りするなんぞ、一般的にはかなり難しいわけで……。
まぁいずれ普通に電子版を購入することになると思います。

 

物語設定をゲームへ落とし込む力

New Game+ をプレイしていて改めて思ったことなんですが、
本作はゲーム的お約束に対する、物語設定面からの解答・理由付けがとても上手かったように感じました。
説得力・納得力があり、これがより一層物語への没入を促しているのかもしれません。

本作における最重要設定である、白巫女の「浄化 = 穢れを引き受ける」という設定。
これを軸に様々なゲームシステムが構築されていた気がします。

古今東西、アクションに限らず RPG 等の他ジャンルにおいても、ボス敵の技や能力を習得できるというゲームシステムは、広く採用されています。本作も同じ仕組みがあるのですが、そこに「浄化」という理由付けを与えてるのは見事だと思いました。
穢れを消滅させるのではなく、その身に引き受けるからこそ自分の力として利用できる というのは綺麗なロジックだと思います。だからこそ、リリィの体は徐々に変貌していき、浄化対象の生前の記憶を垣間見て、倒した時には穢れの塊である "死の雨" が降り注ぐ……この辺りの演出に説得力が出てくるのもその為でしょう。

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ボス・中ボス以外の、ザコ敵などうなのか、という点にも答えを用意してるのは流石だと思いました。
即ち「経験値 = 穢れ」という設定です。スキルとして残るほどの強い穢れではないけども、それでもリリィの中には確実に蓄積されていき、一定数溜まるとリリィの力が増す(= レベルアップ)。ゲームとしてのお約束である "レベルアップと経験値" というシステムをこの様に落とし込んだのは、本当に上手いと思いました。物語への組み込み方がとても自然。

レベルアップの恩恵が攻撃力アップしかないというのも、この点から考えると納得出来ます。
本作におけるレベルアップとは即ち一定量の穢れが集まったことを意味するため、それに由来するスキル等の力が増すということでしょう(黒騎士も強くなるのはご愛嬌)。
本作の HP はお守り(が作る結界)の耐久度 という設定なので、穢れを集めることでそこが強化されるというのはおかしな話ですし、お守りの原石やお守りのかけらによってのみ増強されるというのも設定に沿った仕様と言えます。

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"穢れ" に注目すると、道中の赤い花にも答えが見えてきます。
この花はスキルの使用回数を回復してくれる花なのですが、作中で穢れの王から発生したと語られます。であるなら、花は強い穢れを含んでいるでしょうし、その穢れを利用することでスキル(= 元々は穢者から引き取った力)の使用回数が回復する という仕組みにも説明が付きます。更に、穢れの王に近く、かつ穢れの濃い禁域最深部に多く咲き乱れてることにも納得がいきます。

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となると一つ思い浮かぶのが、白い花はなんなのか という疑問。
ゲーム的には祈りの使用回数を 1 回分回復 or 残り回数が最大値なら現在 HP を直接回復 という効果です。
これを物語設定に当てはめるなら、白巫女やお守りの力を回復させているということでしょうか。
赤い花と対になってると考えると、やはりこちらもフリーティア様由来な気がします。

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思えば A エンドではリリィの浄化をしてくれてるんですよね。その時も大きな白い花がありましたし。
それと A エンドのセリフをよく観てみると、「穢れの花と、浄化された花」と表現されてるんですよね。
"浄化の花と、穢された花" ではないということは、先に穢れの花(赤い花)が発生して、後からフリーティア様(幻影)やリリィズが浄化して回ったということなんでしょうか。ただ穢れの王と直で繋がってる花を浄化するのは、リリィズには荷が重そうではあります(実際本編リリィは出来ないわけですし(※))。

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ただし本編リリィ白巫女としても人間としても全く教育されていないので、その影響も無視できない。
白巫女の力の使い方をきちんと教わっていれば、出来た可能性はある……?

 

城砦付近の崖の亡骸

赤い花・白い花に少し関係してる中で、特に気になるのがこれ。

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双子城砦がそびえ立つ崖の、その側面にある洞穴。
ゲーム的には「破かれた初代王の手記 1・2」「淀んだ穢れの残滓 × 100」がある場所です。

ただ物語的にも結構注目すべき場所な気がするんですよね、ここ。
まずは大きな白い花がある点。先述の考察が正しければ、ここには白巫女がいたということでしょうか。

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次に、この崖の下に「ニンフェリアの指輪」というレリックが落ちてる点。
ニンフェリア暁の白巫女、即ち果ての国にとっての最初の白巫女です。

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最後に、ここで拾える「破かれた初代王の手記」の内容。
それは初代王が戦地で古き民の戦争孤児を拾ったということと、時を経てその子が白巫女と崇められるようになったということが記されています。
この辺りを総合して考えたら、ニンフェリア様の最期も、薄っすらとですが思い浮かんでくる気が。

 

 

さいごに

©BINARY HAZE INTERACTIVE Inc.

書きたいことを書き連ねていたら、余りにも冗長になりすぎてしまいましたが……。
それだけ面白い作品であり、ドハマリしたんだということが伝わればと思います。

現在は三周目をやろうかどうか思案中。
やるとしたら New Game+ ではなく完全新規データで、軽い縛りを入れてみようかなと思ってます。
流石に一撃死みたいなのはやれる気がしないので、黒騎士縛りとか。
或いは逆に一二周目であまり使ってこなかった構成で行くとか。

この記事を書いてる間に三周目もクリアしちゃいました。
主にここで使うスクショを撮る為の周回といった感じで。

 

いやぁ~、本当にこのジャンルの作品に手を出したのは初めてだったのですが、
本当に忘れられない作品になりました。
これを機に同ジャンル他作品もガンガンプレイしていけたらいいなぁ。
……『ENDER LILIES』がだいぶユーザー寄りの仕様 という話だけは聞いているので、
他作品に関しては戦々恐々ではあるのですが。