アイカツフレンズ! 74 話『時を超えたステージ』感想

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

大詰めも大詰め、最終盤に差し迫った『かがやきのジュエル』。
今回描かれるのは 5 年前果たせなかった LMT とアイビリーブの共演。
ゲージやポイントがあるわけではないので、直接対決ではないけどね。

 

 

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まずは先週に引き続きというか、名ありキャラ総出演とばかりのお祭り模様。
勿論本当に全員いるわけじゃないし、そもそも模様というか文字通りお祭りなわけだけど。

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まぁこういうのを観るとやっぱり消化不良な感じがしてしまう。『スターズ!』の最後で有莉ちゃんやアリスちゃんが NVA に乗船という名のリタイアを果たしたり、ハルカ☆ルカが最後の最後だけ顔だしたりとか、あの辺の感覚に近い。といってもなこニコ・白雪娘・ダブハイの 3 組と涼香ちゃんはゲストキャラ的で元々掘り下げの難しい立ち位置だったからいいけども。

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逆に BP やかがみくんは扱い方によってはもっといい感じに話を広められたんじゃないかなぁ、とか思ったりする。まぁ何だかんだ言っても画面に出てくれただけでもいいことなんですけどね。

 

メインに据えられてるのは LMT とアイビリーブが、ステージに行く前にそれぞれ高め合う様子。ここであんまし露骨なフィジカル臭がしないのは『フレンズ!』らしいと思う。

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アイビリーブはガッツリ山登ってたけども、別にそれがメインであるわけではなく、大切なのは 2 人で言葉を交わすこと。その証拠に山登りシーンも途中で謎空間のイメージに遷移するし。崖登りではなく崖下りをする文脈の使い方は面白いけど、あれもフィジカルトレーニング描写というよりは、2 人の息があっていることを表す目的だったのかなと思う。そう考えると、スノボとスキーをどちらかに統一せずお互いにやりたいことをやりつつ技を合わせてるのがアイビリーブっぽくて面白い。

 

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対する LMT は苦手なものチャレンジ!
苦手なものを克服できれば強くなれるはずっていう、児童向けアニメだからってそこまでやるかというようなロジックだけど、「アイビリーブは 5 年前より成長してるから、飲食する苦手なものの量も増やさねば」という更にもう一段お馬鹿ロジックを積み上げてくるのが妙に好き。

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まぁでも、これ自体は重要ではないのだ。崖登りとかランニングとかトランポリンとかがそれ自体に大した意味がなく "努力すること" のアイコンであるように、苦手なものを通してコミュニケーションを取ることこそが『フレンズ!』にとっては大切なのである。

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だから LMT はかまくらで崩れた表情を見せあったり、アイビリーブは山道・テント・謎空間でベタつきあったり、といった感じでファンや他のアイドル達には見せることのない姿を "2 人だけの閉じた世界" で魅せ合う。『フレンズ!』らしい描写で良かったと思います。最終盤なのでこの辺を変に捻る必要はないし。

 

 

冒頭にちらっと書いたが、今回は別に対決ステージというわけではない。対外的には単に LMT とアイビリーブが 5 年ぶりの共演を果たしたというだけで、本人たちがライバル心を勝手にメラメラ燃やしているだけだ。

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んでその対抗心の燃料となっている描写は、今までちょいちょい挟まれてきた ミライ vs ひびき の対決であったり、LMT / アイビリーブ のそれぞれの再結成回で、ステージを見た後に意味深な表情をしていたり、といったものであるので、まぁそこまで唐突という感じはしない。とはいえ対決要素を切り離し "導くこと" に重きをおいてきた『ジュエル』において、アイビリーブの大トリを外してまでここで対決要素を入れたかった理由はよくわからない。とはいえ "お祭り" だからで押し流せられる範疇でもあるか。

 

51 話でひびきさんが反論もリアクションもしてなかった以上、「LMT の勘違い」や「ラブミーゾーンが無関係」というのもないと思うんだけど、さてはてどうなるか。

アイカツフレンズ! 52 話『かがやきの原石』感想 - アニメ雑感記

「すべてに愛を届ける」というのがカレンさんの目標で、その為には限界を超える / 全力を出す必要があって、でもそうするとその直撃を受けた相手は吹き飛んでしまうというジレンマがカレンさんにはあって。それを支えるミライさんがいて。そしてそれを「トモダチカラ(≒ 愛の力)」でぶち破る PP というのが 41・42 話で描かれていた構図だったと思う。その構図の中心にあったのは "ラブミーゾーンのジレンマ" で、その根拠であり説得力を担保するものが "過去の実例(= アイビリーブの解散)" だったんじゃないんだろうか。なのでそこが "勘違い" で済まされてしまうと、"ジレンマ" の持つ重さが一気に失われる気がするんだよなぁ。

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 LMT とアイビリーブのライバル関係でもう一つ思い出すことがあって、それは 5 年前の DFC における「 "アイビリーブがラブミーゾーンにビビった" と LMT が勘違いした」というやつだ。LMT とアイビリーブの関係が一段落した(であろう)このタイミングで振り返ってみると、まぁ一応勘違い設定に意味を見出すことができる……かなぁ。アイビリーブの敵前逃亡でないとすれば、あの不連勝は置いといてもう一度戦り合いたいってのはわかる気がする。逆に 勘違いでなければ = アイビリーブがビビって逃げた とすれば、ビビらず立ち向かってきた PP を差し置いてアイビリーブに対抗意識を燃やす必然性がないし、逆にその高みまでアイビリーブを引き上げるには 2 クールじゃ確実に足りないとも言える(これを根拠に打ち切りだというのは妄想だが)。個人的な好みでいえば、後者のようにじっくり物事を進めていくやり方のほうが『フレンズ!』らしくて好きではあるけど、"勘違い" 設定が全くの無駄にならなかった点は、まぁ良かったと思います。

 

ステージは『プライド』と『新たなるステージへ』でしたが、まぁ特に語りたいこともないので省略します。

 

ということで『フレンズ!』74 話の感想でした。
対決要素はそこそこ見せつつ、フィジカルよりも関係性を重視してと、今までのお話に嘘をつかず限られた尺でやりたいことをやる、『フレンズ!』らしい筆運びだったように思います。

 

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次回はいよいよジュエリングフェスティバルの大トリ、我らが Pure Palette の出番。
超えるべき目標を気象現象とし、救うべき対象を国家とした、アイカツ!史上最大のインフレを果たした本作ですが、その到達点は如何に。