アイカツオンパレード! 18 話『君のエントランス』感想
何だかんだデザイナーとしての階段を一段一弾登ってきた、我らが 5 代目主人公 姫石らき。
そんな彼女に、白鳥ひめ主催の "ブランドを超えたファッションショー" というチャンスにして試練が訪れる。
自ブランドの発表と初めての PR ドレスという絶対にハズせないこのイベントを、彼女はどう乗り切るのか?
ついでに、あの子やあの子やあの人にあのステージもあるよ!
流石にちょっと盛りすぎじゃない!?柿原さん!な 18 話。
端的にいって、過積載で詰め込みすぎなお話である。
ただでさえ単発火力高めな要素を大量にズラリと並べ、それを片っ端からぶち込んでいく絨毯爆撃スタイル。その上で『オンパレード!』の主軸たるらきエピの勝負回をやろうってんだから、まぁ密度は高めになる。火力高い要素を幅広く揃えているため、平均的な満足度は高くなりそうだが、一方で肝心要のらきエピはそれらに結構食われてしまって、期待してた以上には跳ねなかった印象がある。8 話の様にぐっと刺さる様なお話ではなかった為、その点では残念だった。
全体的に面白かったことは間違いないんですけどね。
今回のお話で上手かったのは、その "お祭り感" を別の要素で、即ち「サンメガミ」で補強してた所にある。そしてその(脚本上の)必要性も、"ファン" に絡めることでちゃっかり確保していた点も見逃せない。
アイカツオンパレード! 15 話『ぽわ☆フワ♪ドリーミン』感想 - アニメ雑感記
前回と同じく ”コラボユニットに触れずに本筋を描く” という選択を取ったわけだが、個人的にはかなりの英断に思えた。ただこれは、私の個人的な好みが "オールスター" よりも "らきちゃんの物語" に重きを置いてることが多分に関係していると思う。
アイカツオンパレード! 16 話『輝きのらき』感想 - アニメ雑感記
ここ数話は本筋とオールスター展開の比重について重点的に観てきた。完全にお祭りに振り切った前回はともかく、その前の 15-16 話は本筋のお話とお祭り要素の両立を結構頑張ってる印象を受けた。そしてその頑張りは今回のお話にも感じられたわけだが、にしても詰め込みすぎてた印象を受ける。
らきちゃんが今回挑むのは初の PR ドレスのお披露目と自ブランドの発表だ。風沢・瀬名・虹野 & 七倉 の例を出すまでもなく、それらはデザイナーとブランドに取って一度限りの超重要イベントだ。だから当然、それに付随するエピソードもめちゃくちゃ重要になってくる。
追記 20/02/09
てか今までの 3 着は PR 扱いじゃなかったんかいていう。そしてブランドも未発表だったんかいていう。
ひょっとして今までの 3 着は「自分だけの」じゃないからノーカンてことなんだろうか。ようわからん。
"デザイナー" を主体とする物語って考えれば「ブランド発表」で一話作るというのは当然の発想なんだけど、そこまでらきちゃんに寄せるとは思ってなかったので、全く予想していませんでした。
ということは、今までは "取り敢えずオリジナルドレスを作ってステージしていた新人アイドル" だったのか……。まぁブランド発表済ましていたらもっとみおちゃんに怒られてもおかしくないしな。逆に、そんな微妙な立場であるらきちゃんに衣装を依頼したひびきさん(というかアリシアさん)はすげえな……。
そのエピソードと並行して描かれるのが、そら × 蘭 だったり、小春 × さくや だったり、ひめ × あかり だったり、177 話の『START DASH SENSATION』だったり、ヒカリちゃんの登場だったり、瀬名くんとつばきちゃんの登場だったり、といった要素だ。これらの字面からでも想像できるが、どの要素も "強い"。
一番わかりやすいのはヒカリちゃんで、彼女が画面に少し出てくるだけでネットの実況は一気に沸き立つ。ましてや台詞があれば、だ。ちょっとオールドファンに寄りすぎた視聴姿勢だけども、そう思ってしまうんだから仕方ない。それだけ、今までの視聴体験てのは積み重なるものなのだ。
そしてその "ヒカリショック" さえ吹き飛ばしてしまうのが、あかりちゃんに関するアレコレだ。伏線も何もなしに初手で 177 話の『START DASH SENSATION』のステージで殴りかかってきて、ひめちゃんとの "るかコンビ" での絡み。そして短い尺で最大限の火力を発するかのような瀬名くんのセリフをぶっ込んできて、それで終わりかと思いきやまさかの西園寺つばきちゃんまで登場(セリフあり)。こんなに火力と手数で攻めて来られたら、完全に頭の中がそっちに引っ張られてしまう。
上述の様に、今回はらきちゃんのエピソードもお祭り要素もかなり濃いめ・重め・強めな内容になっていた。だからこそ、正直どちらも消化不良に思えてしまった。ヒカリちゃんやつばきちゃんの出番はあんなものだと思うんだけど、瀬名くんの絡ませ方はもっと色々出来たのではないか とか思わなくもない。らきちゃんの方も、いつの間にかドレスが完成し、いつの間にか最後の 1 ピースに悩む感じになっていた。流石にその最後の 1 ピースを解決する所だけは、それなりの量を描写していたけど(悩んでる所からこれまでの「アイカツ!」に思いを馳せたり、そこから自分の原点を思い出したり)。モチーフを集める所やそこからデザイン画を起こす所、実際に雛形を作ってそれを修正する所、そしてあの形に辿り着く所など、もっともっとそういう製作途中の姿が見てみたかったという思いが強い。
これまでもドレス製作の全行程がしっかりと描かれていたわけではない。描写するのは "悩み" の生じる部分に絞っていて、それ以外はほぼ静止画ダイジェストで飛ばしていた。しかし、今回はその "悩み以前" の描写がいつも以上になかったというのが、どうしても気になってしまった。
"悩み" に至るまでの流れというのは、そら・小春の仕事を見学 → どんなドレスを作ればいいのか → 自分らしいドレス = PR を作りたい → 出来たけど何か足りない というものだ。その中で描かれた作業らしい作業は、モチーフ集めとデザイン文献の勉強くらいで、いつものようにデザイン画を鬼のように描いたり、ハロウィンの時の様に針や布やミシンをいじったりというのはなかった。「これまでに 3 着作った経験値があるから」で納得できなくはないんだけど……。でも、今までのらきエピは、アイドルとしてよりデザイナーとしてのお話に重きを置いていたので、「自分だけの PR ドレスを作る」っていう一大イベントにはそういう細かい所の描写もやって欲しかったな、と思ってしまう。
追記 20/02/10
一応、リボンをつけるときにガッツリ製作描写をやる以上、それ以前の段階で布いじったりすると、描写が被るという問題点はでてくる。それにしたって、今まであったデザイン画を描くシーンなんかがなくなる理由にはならないんだけど。
それはそうと今回感想書いてて気付いたが、やっぱアイドルってよりデザイナーの文脈を大きく踏襲してますよね、らきちゃん。"デザインの原点" は今回わかったけど、なんでアイドル目指したのかとかはわからんままだし。
らきエピもお祭り要素も、両立させるにはかなり重い要素だったな とつくづく思ってしまう。もう完全に好みの話になってしまうけど、12 話(クリスマス)や 17 話(ゴシックウォーズ)なんかはお祭り要素以外ほぼ虚無だったので、どっちかの代わりにこれを 2 話やる選択肢もあったのでは?と思ってしまう。
個人的に今までの『オンパレード!』で一番面白いと思ったのが 7 話なんだけど、7 話をよかった(と感じた)のって、らきちゃんといちごちゃんの 2 人に絞っていたからなんだろうな と思う。結局の所、(個人的には)オールスター展開が足を引っ張ってる感じしかしない……いや、それがなかったら『オンパレード!』ではなくなるんだけども。
そらちゃんの天才性が出ていたのとかは大好きなシーンなんですけどね。やっぱすげぇんだな、風沢……。
あと、らきちゃんのモチーフ集めのやり方がみおちゃん流であったりだとか。
デザインのお話でみおちゃんを絡ませなかったのは、あいねちゃんとの待遇の差が広がるのを防ぐためなんだろうか。ハピネスギフトものお話ももうやっちゃったしね。
小春 × さくや っていう組み合わせも意外性があってよかった。
ひめちゃんは小春・風沢と比べると格上だからか、それらしい描写が多めだった。こういうのも結構好き。
モデルの中だとやはりあかりちゃん。他の 2 人がカットされただけなのかもしれないけど、「素敵なドレスを作ってくれたひめさんに改めて大きな拍手を」でトークを締めていたのが、物凄く踏んだ場数の多さを感じられてよかった。お天気キャスターやってるから、壇上でしっかりと喋るのは得意そうなんだよな。
らきちゃんがブランドを発表するところも好き。後ろのビジョンにロゴは出てるんだけど、それとは別にいつものスケッチブックにロゴ描いて、それを舞台上で見せてるってのがなんとも言えん可愛さがある。ランウェイ歩いてるときに持ってなかったてのはご愛嬌。
ステージパートは『Kira・pata・shining』『START DASH SENSATION』『君の Entrance』の 3 つ。
『Kira・pata』は with 蘭ちゃん ver で、『SDS』は 177 話のもの、当然ながら『君の Entrance』は新規 ver。
『SDS』とかはめっちゃ書きたいこと沢山あるけど、既存ステージなので割愛。
多分『シリーズ』の全ステージの中で一番回数観てるやつだと思う。
そして『君の Entrance』のリルリボンストーリー ver。ドレスの名前からして最終形態感が半端ない。
エフェクト量は普通のステージよりは多め・『ジュエル』系統と比べると少なめという感じ。直接比較するならリボンエメラルドのステージだけど、冷気や暗転や発光演出がない分だけ大人しめに感じる。
(ただこの辺の感覚は『ジュエル』でぶっ壊された感じもあるけど。)
羽やミラクルオーラの様な背中パーツがなかったのには驚いた。その分、後ろのリボンの足がターンやステップの度に揺れて、存在感を出していたと思う。それを補強するかのように、カメラワークも後ろからのアングルが多めに。背中パーツがないことで全体のシルエットがスッキリしているのも、個人的には好み。ステージ自体にエフェクトが乱舞しているので、その分スッキリしたドレスがバランスよく映える。
(太陽やオールジュエリングみたく、ドレス・ステージ共に全振りなのもそれはそれでいいんだけど。)
というわけで、『アイカツオンパレード!』勝負の 18 話でした。
繰り返しになりますが、メインエピソードもそれに付随するお祭り要素もどれもこれもが強く、全体的に密度がとても高いお話だったと思います。それだけに、もっと時間を掛けてじっくり丁寧にやって欲しかった思いがあるのは否めません。
次回は再び虚無のニオイがするバレンタイン回。
「これ潰して 18 話を 2 回に分けてやれよ」みたいなことを思わないようなお話だといいなと思います。
M4 が出てくれるのはとても嬉しいんだけど、今までの例から察するに 3DCG 救済とかなさそうだしなぁ。
More Than True の前例を踏まえるなら、寧ろ何とかして『スターズ!』 43 話の『僕らの奇跡』手描きライブを入れてくるだろうか?バレンタイン回だし。ただ『アリスブルーのキス』と違って普通に作中で披露されていて特殊 ED ではなかったので、『オンパレード!』の ED に採用されるのは考えづらいですが。