アイカツオンパレード! 15 話『ぽわ☆フワ♪ドリーミン』感想

アイカツオンパレード! 15 話は、"ファン" についてのお話。

引き続き(?)可愛いが溢れてお祭り感の強いお話なんだけど、今までと違って一本の軸が通っていて、
文脈の引っ張り方も上手く、非常にバランスの取れた回だったと思います。

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

でもサムネにはこれを選んでしまう。

 

 

 

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hm-htn.hatenablog.com

お話の舞台は『アイカツフレンズ!』 10 話でも出てきた遊園地・ドリームパークランド。
HC にとってメモリアルな土地だけど、残念ながら今回は出ず。まぁ前回出てたしね。

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その遊園地で行われるぽわプリとフワドリのファン感を、らきちゃんがレポートするというのが今回のお話。

ぶっちゃけ、エピソードそれ自体には(6-8 話のような)強いドラマがあるわけでもなく、今までのお祭り回とそこまで変わらない。それでも今回のお話が今までのお祭り回より光って見えたのは、"ファンの為のアイカツ!" という一つの軸を、お話の最初から最後まで一貫して描けていたからだと思う。 

追記 20/01/21

今回らきちゃんが得た教訓らしきものは、最後のやり取りにあった「アイカツ!は人を笑顔に、元気にする」「元気はあげる側もめちゃ元気になる」ということであり、またそこから「もっと人を笑顔に、元気にしたい」という決意に繋がっている。そして収録シーンでも繰り返し描かれてる通り、"笑顔" はこの番組の(或いは今回のお話全体の)一つのキーワードとなっている。

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前回も一応 "笑顔" や "元気" というテーマがあったので全くの虚無だったわけではない。なんだけど、今回のお話が前回よりも強く突き刺さった(ように個人的には感じた)のは、やはり "ファン" というテーマ自体が持つ文脈の大きさ・強さの影響だろう。「アイドル」が題材である以上そこは避けて通れないモノであるし、まして『アイカツ!シリーズ』では常に強く意識されてきたモノであるわけだし。

過去作アイドル達との交流や彼女たちの活躍に尺が優先されて、その "裏側" を描く暇がない ということだ。裏方のスタッフや "大人" 達、そして何よりファンの存在について思いを巡らせる暇がないっていうのは、『アイカツ!シリーズ』においては大きなマイナスポイントだと思う(その道を突き進んだエルザの終着点を見ても明らかだ)し、それが駆け出し新人アイドルだと尚更だろう。

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『オンパレード!』における "社会との接続" については今までの感想でも度々触れてきた。なので、今回のお話の目的は "ファン" というトピックの下でそこを補強する所にある。なんだけどここで問題になるのは、肝心要の "お祭り感" "オールスター展開" だ。今までは「オールスター祭りに尺が割かれる為、社会との接続が果たせない」という指摘をしてきたが、それは当然ながら逆方向の指摘もあり得るということだ。そこのバランスの取り方はめちゃくちゃ難しいと思うし、実際『オンパレード!』はそこに苦しんでる印象を受ける。
(だから、放送前にはもっとお祭り寄り・オールスター寄りに展開していくもんだと予想していた。)

そういう視点で観ると、今回のお話はその辺の作り方がとても上手かったように感じた。

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今回のお話の特徴として、ぽわプリはぽわプリ、フワドリはフワドリで描写していた点が挙げられる。冒頭で話題に上がった「ぽわフワドリーミン」というコラボユニットが既に組まれているにも関わらず、そちらのお話 & ステージは一切せずに、ぽわプリとフワドリをわけて描いたというのは、まぁそれなりに攻めているように感じる。なぜなら、せっかく作ったコラボユニットを "描かない" で個別に描くということになれば、それは『オンパレード!』序盤の現地アイカツ!の流れに戻るものであり、わざわざ尺を割いて世界線を統合してまで舞台設定し直した意味がなくなるからだ。そしてそれは上述の "お祭り感の薄れ" にも繋がることとなる。

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今回のお話で上手かったのは、その "お祭り感" を別の要素で、即ち「サンメガミ」で補強してた所にある。そしてその(脚本上の)必要性も、"ファン" に絡めることでちゃっかり確保していた点も見逃せない。

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ぶっちゃけ初視聴の時は、サンメガミのぶっ込まれ方が結構強引に感じられて、ぽわプリ・フワドリの分離式のお話で着地させたほうがいいように感じた。ただそこで 2 組の共闘・ココちゃんとベイビーパイレーツの登場(BP はその前にも出ていたけど)・サンメガミの登場で一気にお祭り感が出てきたのは事実だし、その後に "ファンの子供たちに喜んでもらう為" という趣旨が出てきて納得感が増し、更にショーの企画構成の裏側を(ダイジェストだけど)描くことでコラボ感も出しておく等々、通しで観てみたら色々と抜け目ない構成だった。

 

ぽわプリ / フワドリ それぞれ個別の描写もよかった。

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ぽわプリのシーンでは、北大路劇場は当然としてポップコーンや戦国忍法帖、しおんちゃんが凝り性な所まで回収。ファンサが神対応なのもぽわプリらしくて好きだったけど、ポップコーン食べた手で握手されるのはなんとも思わないのかな……?飲食物を提供してたのもよくて、ポップコーンがスイーツに含まれるかは怪しい所だけどお菓子には含まれるだろうから(& 作中でもあるようにおとめちゃんのツテもあるだろうから)、普段の活動の研究対象にもなってそうだな とか思ったり。

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フワドリの方は、まぁ、なんというか、照雄さんが好き勝手やってるな って思うコンテだった(風評被害)。

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お馴染みの猫じゃらしバトルに、「シャー!」とそのカウンターの「メー!」、どこどなく湿度の上がる展開に、無垢にでも執拗に食い下がるらきちゃんとファンの子供たち、キャロラインまで含めたジト目 etc... 

これらぽわプリ / フワドリのシーン・描写は、画面の向こう側の "ファン" である我々に対するファンサとも取れる、ある種メタ的な描写にも感じた(深読みしすぎ)。ただ "我々に対するメタなファンサ" というのは深読みだとしても、彼女らが作中のファンの事を考え、ファンに喜んでもらう為に一生懸命やっているということは真実だったと思う。そう感じられるだけの描写・エピソードだった。 

『スターズ!』における『あこにゃん×2』という番組は、あこちゃんが 45 話で手に入れたファンの子ども達との絆の延長線上にあり、74 話でも出演者の一人である哲也くんを巡ってのエピソードがあるなど、"子ども" がキーであるあこエピの大事な構成要素の一つなわけだ。なのでそこが外されると、(ほんのちょっとだけだが)少し寂しさを感じた。

アイカツオンパレード! 14 話『スマイル♪にゃんばーワン』感想 - アニメ雑感記
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今回のお話を踏まえると、前回子供たちがいなかったのは寧ろ良かったのかも知れないと思った。遊園地やヒーローショーという舞台に遠慮なく描くことが出来るので(まぁそれでも前回描かない理由にはならないが)。

 

以下、個別の要素で気になったところ。 

こんな大イベントのメイン MC を任されるまでのドラマが何もないっていうのにビックリですよ!?

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クリスマスの時と違って、冒頭でレポーターとして呼ばれた理由を説明。一言あるだけで印象が違うなぁと感じた。ついでにサンメガミに関する伏線も張っているので、やはり今回はお話の構成が抜け目ない。

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サンメガミのアクション指導がしおんちゃんだったのはよかった。ただ欲を言えば しおん × あこ の演技系キャラの絡みが観たかった気持ちはあるんですが、今回は先述した構成のことを考えると致し方ない。それにお芝居に関するお話は一応 3 話でやってるしな(それもあこメインで)。

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戦闘シーン、まともに戦ってそうなのは手裏剣のしおんちゃんと傘振り回してるさくらちゃんのみ。他の子はどんな殺陣をしたのか気になるけど、恐らく苦しい芝居になると思うので、止め絵で処理したのは正解かな。

追記 20/01/21

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「フワフワドリーマー」は全部カタカナ表記で正しいと思ってるんだけど、作中の中で微妙に表記揺れ。
多分、カンペが間違ってるだけだと思うけど。

 

 

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ステージは思い出火力高めな『Angel Snow』と『おねがいメリー』に、新規で『正義のキモチ』。
この辺も合わせて、つくづく今回の全体の構成・メンバー選びは上手いなと感じた。

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『Angel Snow』は『アイカツ!』 148 話で披露された、ぽわプリ 3 人によるステージ。「どうせ今回もしおんちゃんは撮影と被るんやろ」と思ってた所からの、「被ってたけど頑張ってワンテイクで終わらせて来たよ!」で悲願のアニメステージデビューだったので、古くから観てきた視聴者にとってはとても印象深いステージだ(最も放送時はその後のドリアカ乱入に持っていかれたんだけど)。"ファン" について語った今回のお話にピッタリだ。

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『おねがいメリー』は『スターズ!』 74・84 話のきららとあこ 2 人によるもの。こちらも、『星のツバサ』開始当初からのきららちゃんの望みがかなったステージ(74 話)であり、またあこちゃんからのアンサーがあったお話のステージ(84 話)でもある。特に 84 話はきららちゃんが自分(達)のファンの視線に自覚的になるお話であり、今回のお話と通ずる所がある。こちらも "文脈" の火力が高い。

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そして満を持して というわけではないが、新規曲・新規ステージの『正義のキモチ』。
いわゆるイロモノではあるが、中々どうして観ていて楽しいステージである。あと、今までの新規ステージには特に感じなかったけど、なんだか発色がキレイに感じた。テーマ的に配色や演出でビビットな感じが強まってるからだろうか?

追記 20/01/21

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発色がいつも以上にきれいに見えるの、みおちゃんの衣装が一つの理由だろうか。
いつも以上に青が深い感じがすると、ゆめ・あいねの淡い感じとのコントラストで。

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ていうかゆめちゃんの新規ステージマジで多いですね。数でいえばみおちゃんも一緒だけど『みんなみんな!』は JLR を着ただけのマイナーチェンジと言う感じだし、数だけなららきちゃんが当然一番多いけど『君の Entrance』だけで 3 ver あるし。なので、印象的にはゆめちゃんが一番新規ステージ多く感じる。ていうかいちご・らき以外の 3 主人公とは既に共演済みなのか……。ここまで来ると残り 2 人とも(ALL 主人公ズ以外で)同じステージに立って欲しいけど、流石にこれ以上新規ステージはないだろう。……ないよね?

追記 20/01/21

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クソダサい振り付け、めっちゃ大好きです。
曲やテーマがぶっ飛んでるから、これくらい振り切った方がいいんだよな。

 

 

 

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こんな感じの『アイカツオンパレード!』 15 話でした。

繰り返しになるが 6-8 話と比べると強いドラマとかがあったわけではない。雰囲気は今まで通りのお祭り回・コラボ回だった。だけど、そこに "ファン" という一本のしっかりした軸を通し、またそれに沿って各要素を意味ある形で配置・構成したことで、観ていてすんなり飲み込める、いいお話になっていたと思う。

欲を言うと、この手のお話はもうちょい早めに置いて欲しかった感じがしなくもない。それこそクリスマス前とか、或いはクリスマスの後とか。割とコラボ寄りの回になると中身に虚無の部分が多くなっているが、そこを補完することが出来たかも知れないので。

しかし、何はともあれやってくれてよかったお話だと思います。

 

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次回はまたお芝居に関するお話だろうか?次回予告を観る感じだと、どことなくクール系が多そうなメンツ。
ここ 2 話で「元気を与えること」「ファンを意識したアイカツ!」という学びが(一応)あったので、また何かしらの学びがあるといいなと思います。それと同時に、なおざりになりつつある "なんちゃって SF" の要素をこれからどうするのかってのも気になる所ではありますが。プロローグのらきちゃんのナレーションの「でも、一体何のためにこんなことを?」が割と真面目なトーンなので毎回ちょっと笑いそうになるんですが。