アイカツフレンズ! 10 話『プリティー☆セクシー★ハニーキャット!』感想

10 話 舞花とエマ

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 10 話。

ついにメインキャラの中からフレンズが生まれる回。
なにせ作品名が『アイカツフレンズ!』なもんだから、"結成" は一大イベントで大切に描かなきゃいけない。ほぼ 1 クール丸々使って助走を描いたから下準備は OK。あとはどういうふうに 2 人を結びつけるか、そしてそれをまだ見ぬ主人公フレンズに繋げるか。

今回のメインは情熱迸るフェスガール舞花ちゃんと、ポップで元気で実はしっかり者のお姉さんエマちゃん。みおちゃんの言う通りセクシー系とポップ系で二人の個性は正反対。だけどあいねちゃんの一言をきっかけに「違うこと」の尊さを学んだ 2 人が、「違うこと」の強みを生かして、無事ゴールインというお話。歴史の言葉を借りれば「チョコ掛けポテチ」型のユニット(フレンズ)ということになるのだろうか。

 この回はとにかく徹頭徹尾「違うこと」にスポットを当てていた。和食か洋食か、コーヒーか紅茶か、お風呂の温度、卵焼きの甘さ等々、「あれもこれもみんな正反対」な 2 人。その "ズレ" が最終的に「私はエマ / 舞花とは違う」というセリフに繋がってしまう所なんかは、正直観ててちょっと胸が痛かった。逆にいうと、ギャグ要素も含んでテンポよく展開していた助走があったことで、このセリフがよりクリティカルになった感じ。
そしてこの話の着地点として用意されたのが、きゅわぱわガーリーズというヒーローショーの代役。舞台経験があるから引き受けたものの、流石に完璧に台本を抑えることは出来ず、2 人の演技はバラバラに。細かい所だが("息の合わなさ" を除いた演技部分については)不安のない 2 人と、数話前であわあわしてたあいねちゃんの経験値の差を感じる。後は「とりあえずセリフ」を繰り返し主張してたみおちゃんの正しさなんかも。
閑話休題として、結局 2 人はそのままバラバラな演技を続けるんだけど、それが妙に観客にウケてしまう。まぁある意味「きゅわぱわガーリーズ」の舞台としてはレアなものになっただろう。これがウケたのは、2 人が真にバラバラでなかったからだと思う。本当にてんでバラバラなものだったら観客は混乱するだけだが、左と右・パンチとキック・じゃんけんとにらめっこ・そして必殺技と、やってることは全然違うけど展開自体は対比になってる。これは、彼女たちが大まかな流れは頭に入れられた実力はあったということなんだけど、それだけじゃなくてやっぱり "どこか似てる所" があるからじゃないかなぁ。それはつまり「楽しみにしてる人を放っておけない気持ち」や「沢山の人を笑顔にできるアイカツが大好きだって思い」ということなんだと思う。

これで意気投合→フレンズ結成てなるわけじゃないのが、この回の構成で面白いところだと思った。彼女らは徹頭徹尾「違う」アイドルなのだから、ドリームパークランドで行う 2 人ロケとは別に、2 人それぞれに個別の試練が与えられている。舞花ちゃんはモデルオーディションで、エマちゃんはラクロスの試合という別々の試練を個人で乗り越えることで、2 人は本当にフレンズを組む資格を得たんだろう。

「私は彼女じゃない、でも」
「彼女は私じゃない、だからこそ」
「一緒に歩みたいのは」
「走りたいのは」
「キャットハニーはどう?」
「いいや、ハニーキャットじゃなきゃ!」

順接と逆説、歩くと走る、そしてフレンズ名に至るまで真逆。そんな所が面白い 2 人。

10 話 みおちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

当然ながら『アイカツフレンズ!』はこれで最終回、というわけじゃないので、HC の結成をあいねちゃんとみおちゃんがどう受け止めたのかが重要だ。「フレンズ」に対して恋い焦がれるあいねちゃんと、そんなあいねちゃんを夕日の中でじっと見つめるみおちゃん。もうあなた恋しちゃってるじゃんて感じだけど。

それはそうと 2 人の相性についての、みおちゃんとあいねちゃんの印象の差が面白かった。聡明でトップアイドルでもあるみおちゃんは、舞花・エマの個性が正反対だと思っていて、それは正しい。だけどアイドルに疎くてまだまだルーキーのあいねちゃんは、その個性の奥にある「2 人の似てる所」を見抜いてる。これはコミュ力お化けあいねちゃんが、真摯に友達と向き合う姿勢があるからじゃないかなぁ。彼女の夢は "友達 100 万人" だけど、彼女は決して数字のために人と友達になってるわけじゃない。友達と一緒に何かをする・友達のために何かをする、そういったことの素晴らしさを信じて・感じているからこそ、どんどん友達を作ってる。そういう、「友達付き合い」にとても真摯だからこそ、友達の本質を見抜くだけの視力があるんじゃないだろうか、とそう思った。