アイカツフレンズ! 71 話『さくやの思い、かぐやの願い』感想

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

更新遅れて申し訳ない……。
非常にヘビーなお話だったのでまとめるのに時間がかかりました。
そんないいつつまとめきれた気がしないのですが、感想を書いていきたいと思います。

 

そんなこんなな『アイカツフレンズ!』71 話。
次回予告やあらすじからわかるのは 針生さん × たまきさん の逢瀬のことと、それに RM が絡んでくるということだけ。なのでちゃんとしたエピロードを持ってくるのか、時期が時期だけにまたぞろ(69 話のように)話数調整単発エピなのか観るまで判断しかねてましたが、なんとまぁど真ん中ストレートを放り込んできました。
お話の中心になるのはかぐやちゃんの思いと、それに対するさくやちゃんの反応。
Reflect Moon 物語、堂々最終章といった感じです。

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次回予告やあらすじで存在感を放っていた針生さんとたまきさんのデートは、ぶっちゃけただのフックだった。それを目撃した 2 人が脱 針生依存を決意し、また同時に、かぐやちゃんはカレンさんが新しく創設するアイドル学校の CM を目にして気持ちが揺らぐ。それを察したさくやちゃんが、「自分一人になっても大丈夫」であることをアピールするために vs 頑固山さんへと向かう…… というお話。

面白おかしい玉突き的展開は児童アニメらしくて好き。にしても要素が多くて拾うのが結構大変だ。

 

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オチに最初に触れておくと、針生・たまきの真実が勘違いオチではなくガチっぽいのが中々衝撃。こういう時は勘違いオチが王道の展開だと思うので、そこから捻って普通にぶっ込んでくるのは『フレンズ!』らしいっちゃらしい。まぁ関係性にとことんフォーカスした本作でこの辺から逃げるのはよろしくないって判断なのかもしれない(それにこれが嘘だと姉妹の決断が台無しになるしね)。

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カレンさんが新しく創設したアイドル学校(左)はもろドリームアカデミー(右)なわけだけど。アイカツ!途上国に地道に啓蒙してきた活動の終着点が、エンタメの最先端であり最激戦区である NY ど真ん中ってのが結構面白い。『シリーズ』でアメリカっていうと星宮いちごや一ノ瀬かえでや騎咲レイを思い出すけど、また一つ文脈が加わりましたね。

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そしてさくやちゃんを待ち受けるのは、懐かしの頑固山鬼右衛門さんの弟・鬼左衛門さん。嘗てみおちゃんと対峙した鬼右衛門さんは、ムッシュから LMT 2 人と同格と認定されていた(それをみおちゃんが 1 人で乗り越えられたことが PP が転ぶことへの遠因となる)。それを考えるとまぁハードルとしては結構高いわけだけど、DFC を経て、またソルベット編も終わった今となってはサクッと乗り越えてもらいたいところではある。なので今回課された試練を、さくやちゃんは割とあっさりめにクリアする。このお話の核はそこではないからね(つまりこんな真面目に考えるトピックではなく、一発ネタとして消化すべきものだとは思う)。

 

 

そんでもって、肝心要のかぐやちゃんについて。
かぐやちゃんは PP 世代 6 人の中では一番参戦が遅かったわけですが、一方で何だかんだエピソードを割り振られ、描写を積み重ねることが出来ていて、掘り下げも成長も変化もそれなりに描かれてきた。

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姉至上主義・お姉さまを輝かせたい というのが第一にあるのは今も同じなんだけど、その裏にはギフテッドな姉に対するコンプレックスを抱えていたりして、それが結局 DFC での「(姉のことは信じられるが)自分を信じることが出来ない」ことに繋がったり。後はゴシック系特有のキャラ付け問題にぶち当たって、己の原点である「かぐやノート」を思い出したり。

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『ジュエル』に入ってからは、主にわかばちゃんとの交流を通じて "導くこと" に少しずつ目覚めることで、 "いい先輩" になっていったり(そういう意味では一番『ジュエル』らしいキャラと言えるかもしれない)。

 

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そんなかぐやちゃんが迎えた "姉離れ" (針生さんに対する RM の "親離れ" と掛けられている気もする)。姉に嫉妬し、姉に助けられ、姉のことを思い、姉を支えて、「隣にいたい」と思うようになった彼女が到達した、「姉の横では観られない景色」への渇望。さくやちゃんとの "2 人" の "狭い" 世界を共有することが RM の一番の強みではあったんだけど、それを広げるという決断。

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ともすればそれは「フレンズ」としての有り様を変えてしまうかもしれない。今とは関係性が変わってしまうかもしれない。それでも、その世界から外へ飛び出すということは、「アイドル」として成長できるかもしれない、可能性を広げられるかもしれない。だからさくやちゃんも、"フレンズ" として離れるのは辛いけど "姉" として妹の決断の背中を押す。

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かぐやちゃんがカレンさんの CM を観て何を思ったのか、具体的に全てが描かれたわけではないんだけど、その中に "導くこと" が大きな要素として含まれてるであろうことは描写されている。後輩たちにより良いアドバイスをするためにはカレンさんの学校で「アイカツの全て」を学ぶことがプラスになるはずと、かぐやちゃんが考えてる所なんかがそれだ。そして、このかぐやちゃんの "導くこと" はわかばちゃんとの交流を原点としていて、更にそれは針生さんのアドバイスがトリガーとなってるのがエモい。

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(姉や妹や友達といった)身内にだけ向けられていた包容力や気配り、優しさや視野の広さを、もっと広く、それ以外の人たちにも。

アイカツフレンズ! 62 話『友達かえる♪パーティー』感想 - アニメ雑感記

"2 人" の閉じた世界を広げること、それにより個人としての可能性も広がっていくこと、そういう善性というかメリット(のようなもの)が 62 話でちゃんと描かれていて、その延長線上にきちんと今回のお話が乗っかってるのがとてもよかった。しかもそれが当の針生さんからの "親離れ" も含んでいるというのも、文脈が太い。

 

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今回の感想をまとめるにあたり、かぐやちゃん関連のエピソードを一通りおさらいしていたのだが、彼女が「何かを教える」ことは 30 話でみおちゃんのアドリブ力の欠如を指摘したことから本格的に始まっていて、そこも思い出すと一層感慨深くなる。 

今回みおちゃんのパートナーとなるのは、当然あいねちゃんでなければ、先週の例に従ってカレンさん というわけでもなく、BrFC で見事優勝を果たした RM のかぐやちゃんだ。彼女もまた、「自分の可能性」を広げる為に映画出演・ソロデビュー・ブランドお披露目という攻勢を打ってくる。

アイカツフレンズ! 30 話『アフレコチャレンジ★みお』 - アニメ雑感記

それでもその指摘が的を射ているのは、彼女が他者によく目を配っていて、かつその人のことを思う心がある、ということか(勿論それは普段の姉妹での生活で培われてきたものだ)。それはどことなくあいねちゃんに通じるものを感じるし、逆にさくやちゃんの多才っぷりはみおちゃんと似ている。とすれば、この 2 人の組み合わせはどこか PP 的であり、RM 的でもあるんだなぁ。

アイカツフレンズ! 30 話『アフレコチャレンジ★みお』 - アニメ雑感記

フレンズを 2 組に分けた時、かぐや・みおはカレン派に属することが多く、さくや・あいねはミライ派になることが多い。しかし上記に引用したように RM のフレンズとしての構造・或いは姉妹のキャラ構造 などは、さくやちゃんがみおちゃんに・かぐやちゃんがあいねちゃんに似てるところが多いように思う。

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さくやちゃんに PP が助言をしたのもよかった。アイドルじゃない子がアイドルになる例として主人公を挙げるのは、視聴者に対する説得力が大きくなる。

アイカツフレンズ! 22 話『満月の予感』 - アニメ雑感記

片方がアイドル経験がなかったという点なんかは特にそうで、RM 結成時にもこの点が大きく寄与している。PP が RM を "導いて" いた点なんかもエモいポイント。
(こういう PP を 2 年目でもっと見たかったというのは蛇足か)

 

 

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そしてステージに突入するわけですが。 『Have a Dream』は RM の原点たる「かぐやノート」に綴られた "月のお姫様" としての "夢(物語・設定)" を元に、かぐやちゃんが作詞することで現実となった曲・ステージなわけですが、今回は別離の意味も込められているステージなわけで。これが留学前のラストステージなのかどうかはわからないけど(ステージ後に HC のスペカツみたく発表してる様子はないし)、別れること・旅立つことを決意したその回でやるってことはやっぱ特別な意味を感じる。2 人の原点を歌ったような歌詞で、それはつまり "狭い" 世界の象徴でもあるわけだけど、そこから外へ出るっていうのはやっぱり一抹の寂しさを感じる(それは寿ぐべきことであることは理解していても)。だからといっちゃなんですが、やっぱりジュエルは無理にしてもミラクルオーラくらいは上げて欲しかったなって愚痴を書いておきます(まぁ LMT とかオールジュエリングの準備で忙しいんだろうけど)。

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というわけで、71 話 Reflect Moon 物語の最終回の感想でした。
RM に関しては新キャラであったわかばちゃんとの距離感がよくて、『ジュエル』に入っても(短い尺ながら)いい感じに交流と成長を経ることが出来ていたと思うので、今回の着地点も個人的には大満足でした。

 

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次回は遂に来ましたという感じの LMT メインエピソード。
アイビリーブやわかばちゃんという緩衝材を抜いた状態で、どう PP とぶつかっていくのか。どういうふうに『かがやきのジュエル』の、ひいては『アイカツフレンズ!』のクライマックスに繋げていくのか。
楽しみにしつつ、注目したいと思います。

 

 

 

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