アイカツフレンズ! 56 話『君だって My Star』感想

サブタイに歌詞の一部を使うという、実に古典的(それでいて効果的)な手法を取り入れた 56 話。
50 話 1 セットの通年アニメでの 6 話っていうとまだまだこれからな感じがするわけだけど、4 月スタートの春アニメとして見ればもう 1 クールの折返しなわけで。ここいらで話を進めていく必要があるのはその通りって感じなので、その為の準備回……は次回っぽいので、更にその準備(というか動機付けの)回てな具合。まぁメインエピソードがぐぐっと進む回ですね。

56 話 回想 アイビリーブ 控え室

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

あとはサラッとひびアリのフレンズ名がわかったり。「アイビリーブ」、英語表記がわからないので(I とか Ai とか AI とか)、わかるまでこのブログではカタカナ表記でいきます。

とまぁ、いつも通り本編の内容に触れていきたいんだけれども。
やっぱりなぁ……個人的にはどうしても「ラブミーゾーンにビビって DFC を辞退・フレンズを解散したのは勘違いだった」というのが気になってしまって。
年度を跨ぐ長期作品においてこういうこと(作中設定の改変や上書き)は別に珍しくもなんともないわけだけど、『フレンズ!(1 年目)』における "ラブミーゾーンの設定" って凄くコアな部分だと思うんですよね。

41 話 カレン 手を伸ばす

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

「すべてに愛を届ける」というのがカレンさんの目標で、その為には限界を超える / 全力を出す必要があって、でもそうするとその直撃を受けた相手は吹き飛んでしまうというジレンマがカレンさんにはあって。それを支えるミライさんがいて。そしてそれを「トモダチカラ(≒ 愛の力)」でぶち破る PP というのが 41・42 話で描かれていた構図だったと思う。その構図の中心にあったのは "ラブミーゾーンのジレンマ" で、その根拠であり説得力を担保するものが "過去の実例(= アイビリーブの解散)" だったんじゃないんだろうか。なのでそこが "勘違い" で済まされてしまうと、"ジレンマ" の持つ重さが一気に失われる気がするんだよなぁ。

42 話 PP 震える
42 話 PP たまきさん
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

とはいえ、"ラブミーゾーンの直撃を受けたらただでは済まない" というのは、42 話で PP 自身がビビってたように本当の話で。一応そこが揺るぎない真実である以上、お話が破綻しているわけではないのか。

42 話 LMT
49 話 LMT フィッティングルーム
49 話 LMT ステージ
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それと LMT の "格" は 41・42・49 話で確たるモノになった(と個人的には思ってる)ので、"勘違い" であったとしてもカレンさんがちょっと恥ずかしくらいで済むのは僥倖か(一方で余りに "格" がある為、その辺の反省エピは望めなさそうなのが残念)。反対にアイビリーブ目線で見れば、彼女達の強キャラとしての "格" が確保されたともいえるか(とはいえ個人的にはここまで "偉大な敗者" として観てても違和感なかったからなぁ。今更負け犬じゃないよといわれても、な部分がある)。

とまぁ、なんかかなり不満があるように書いてますが、"勘違い" 以外は普通に凄く面白かったです。

56 話 カレン
56 話 ひびき
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カレンさんは相変わらずの強キャラ感。これまでひびきさんが "ソロでは強キャラ・フレンズとしてはへっぽこ" という面白い立ち位置で描かれたため、正真正銘の "てっぺん" なカレンさんがガンガン強キャラムーブしてくれた序盤はかなり痺れた。強い所と弱い所を併せ持つひびきさんに、真正面から正論めいたことをどんどんぶん投げていくカレンさんマジかっけえよ……。ミライさんは "ジョーカー" として魅力的な立ち回りをしてくれるけど、やっぱこういう役割はカレンさんだなぁ、と感じる。

56 話 LMT 王子様とお姫様
56 話 あいね 戦うお姫様
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LMT の王道の王子×姫のイメージと PP の一捻り加えた戦うお姫様像(『月の砂漠のラプソディー』!)の対比は、"絵" で魅せる違いとしてわかりやすさと可愛らしさと説得力があってよかった。

56 話 PP 演技打ち合わせ

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何よりも PP が(というかあいねちゃんが) "自分たちらしさ" を一生懸命考えて・分析して、それを具体的な演技プランの形に落とし込んでいるっていうのが最高だった。その舞台となるのが "LMT に来たお仕事" の場っていうのもよくて、"DF として" を大切にしながらも、"変わらない"・"自分らしさ" も大切にする、っていう 45 話で選んだ道をちゃんと歩んでる感じがする。

45 話 よしつね 地団駄
56 話 あいね よしつね
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そういう視点から観ると、よしつねくんの頭を拭いてあげていたのも単なる仲良し描写じゃなく、45 話とリンクしてくる感もある。(対するカレンさんは、本性は序盤で見せたような修羅であるにもかかわらず、お仕事の為にはさらっと "お姫様" になれてしまう辺り、やっぱりこういうセルフコントロール(= 素敵な嘘の扱い)は抜群に上手いんだよなぁ。)

「怖いもの(= アリシアの本心、ホラー、LMT)に立ち向かう勇気」を与えるため というお話の出発点から、ひびきさんが自発的に PP とかつてのアイビリーブを重ねて奮い立つ という流れも中々面白かった。

53 話 ひびき 自信なし

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これまでの 5 話で描かれてた通り、ひびきさんはキリッとかっこいい所がある反面、対アリシアになると途端にチョロさを露呈していたし、ミライさんというよりはみおちゃんに近い所があるんだろう。

56 話 回想 アリシア

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一方のアリシアさんは、その容姿や出自からいってもカレンさんがやったような王道お姫様っぽいのに、あいねちゃんに重ねられていたってことは、内側に似ているものを持っているんだろうか。こういった PP や LMT を反射板としてキャラの内面を匂わす描き方は実に『フレンズ!』っぽい描写だと思う。

56 話 アリシア 徹底抗戦

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とまれ、こうして吹っ切れたひびきさんは、遂にソルベット王国へ出陣することを決意。ぶっちゃけもう少し PP 世代と絡みあると思ってたので、凄く展開が早い印象。だけど冒頭で書いた通り、第 1 クールの折返しと考えたらさもありなんか。それに対するアリシアさんは徹底抗戦の構え。岩戸に引きこもるどころかカウンターかましてきそうな勢いだが、さてはてどうなるのか。
と話が移る前に、次回はどうやら PP(というかあいね)の海外準備ドタバタ回?久々にあたふたあいねとしっかりみおの構図になるのだろうか。海外経験者である HC の活躍にも期待ですね。