アイカツフレンズ! 72 話『LOVE ME TEAR』感想

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

(作品上・脚本上における) LMT 物語の最終章は、(設定上の) LMT 物語 第二章の幕開け。
という感じの『フレンズ!』72 話の感想です。

 

 

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お話は起点は、「ジュエリングフェスティバル」に向けてプロデューサー業に励む PP の様子から。

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ファッションショーだったりバレンタインのプロモだったりで、既に裏方経験のあるみおちゃんを中心に、あいねちゃんも面白おかしく可愛らしくプロデュースに勤しむ。シリーズ終盤の勝負回らしい、とても可愛らしい作画の力も借りて、PP のイキイキとした様子が伝わってくる。基本的に可愛いんだけど、崩すところは崩してコミカルな味付けをしていて、何だか久しぶりに "PP のアイカツ!" を観たような気がする。

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それでいて、たまきさんが一本筋を通してくれたのがよかった。真面目なところは真面目にキチッと、大人達がちゃんと大人やってるのはやっぱりいいですね。

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その流れでさらっと前夜祭のステージ順が決まったり(最初から全部さくやちゃんに決めて貰えば?というのは言ってはいけない)。そこでふと思ったのだが、2 日目の順番はどうなるのだろう? 消去法で残りの演者は PP・LMT・アイビリーブとなるわけだけど、まぁお話的には普通 PP が最後に歌ってオールジュエリングが顕現する流れなんだろうけど。ただイベントの主旨的にはアイビリーブが最後の方が自然だよなぁとか、商業的には今回 LMT の復活ステージやるよりジュエリングフェスティバル本番まで温存しておくべきだったのでは?とか思ったり。まぁその辺りは観てのお楽しみということで。

 

 

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LMT が『フレンズ!』における『神崎美月』であることは、最早いうまでもない。彼女達はこの世界・物語の原点であり、頂点であり、規範であり、理想だ。どのフレンズよりも成熟し、精錬され、絆が深い。"2 人での物語" を(分厚い冊子で何冊分も)語り終えた彼女達だからこそ、"2 人" の枠を飛び出ることが許されたんだろうな、と思う。すべてを語り終えた後に "3 人の物語" に戻ってきた Soleil と比較しても面白い。

アイカツフレンズ! 49 話『伝説の最終章』感想 - アニメ雑感記

そしてエピソードの中心である LMT のお話。PP が東奔西走して各フレンズや関係各所と交わってるのに対し、LMT は時が来るまでずっと "2 人" でいるのが中々面白い。今回のエピソードの中心は間違いなく LMT なんだけど、他から隔離して徹底的に "2 人" に焦点を当てていて、何だかとっても『フレンズ!』らしく・LMT らしい描き方だった。

そんな 2 人は何をやったかって言うと、離れている間の報告。ミライさんはプロデュース業を通じて感じたこと・気付いたことを、カレンさんはアイカツ! NPO を通じて得たそれを、お互いがお互いに教えあう。

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前回が RM の別離を描いていただけに、どうしてもそれが頭に思い浮かんで、重ねてしまった。或いは(これは前回の感想に書き忘れたことだけど) "一度離れたフレンズ" として PP やアイビリーブなんかも重なってくる。PP は 1 ヶ月・アイビリーブは 5 年・RM はこれからのことだけど最低 1 年 と期間や状況はそれぞれだけど、3 組ともそれは大きな出来事となっていて、1 年半の別れを経た LMT もまた例外ではない。

 

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個人的に面白かったのは、わかばちゃんをプロデュースした経験をミライさんが文字通り「血肉」にした所だ。初心を思い出すという、教訓にしては王道である種簡単な気付きだけど、それを「発声」という具体的な例に落とし込んでいたのが、とても『明日香ミライ』を感じられた。

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カレンさんはアイカツ親善大使としての活動報告。アイカツと出会い、人生を変えることが出来た例と、アイカツと出会っても、未来を切り開くことが出来なかった例。それらをミライさんがきちんと受け止めているのが素敵だ。清濁併せ呑むじゃないけれど、強みだけじゃなく弱いところも受け止めてあげられるのが「フレンズ」で、それは PP やアイビリーブでも描かれていたことだ。

 

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アバンで描かれる、NY のカレンさんとパリのミライさんが電話しているシーン。時差の関係で完全に日が落ちている空と、夕焼けの眩しい空が描かれているんだけど、それをグラデで繋げた空はかなり示唆的で、エモロマンスである。パリと NY の空がこんなに近いはずがないので、これが隠喩であることは明らかなんだけど、日本でのシーンにも引用している所が好き。しかもアバンと違って陰陽が逆転しているのも面白い。

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アバンではまだ夕日が照らす NY (にいるカレンさん) ともう夜に包まれているパリ(にいるミライさん)という構図だけど、日本のシーンでは、アイカツが出来なかった子の陰をカレンさんが背負い、わかばちゃんのような未来あるアイドルの希望の光にミライさんは包まれている。表情や仕草だけでなく背景や文脈なんかも使ってみっしりと "2 人" の感情を描く、っていうのは、まぁ『フレンズ!』の得意とする所だ。

 

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ここ 4-5 話くらい毎回ブログに同じようなことを書いてる気がするが、カレンさんの NPO 活動やミライさんのプロデュース業がしっかり描かれていたかって言うと、そんなことはない。でも(個人的には)今回は気にならなかった。これはやっぱり、あくまで 2 人の感情とその交換がメインだからなんだろうな、と思う。つまり過去の描写に核があるのではなく、それを "今" "ミライに" "カレンに" 話すことが、今回のお話の中核で、その部分はしっかり描ききってるからなんだろうな、と。

 

 

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そんなこんなで復活した LMT。ステージは 1 年半前に伝説を生み出した『プライド』。
……なんだけど、正直なことをいうと微妙に感じた。別に新曲が欲しかったわけじゃない(そらあった方が良いけどもこの段階で言っても仕方ない)。ミラクルオーラやミラクルアピールが出せないのも、筐体仕様と併せた結果だろうなと思う。ただやっぱり、DFC で魅せたあの演出・カメラワーク・エフェクトと比べると、正直「うーん……」という感じだった。

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ステージのクォリティの差異を表現する方法は色々あって、シリーズ毎に試行錯誤して頑張ってる感じが伝わってくる。実際、最初期は「アピールの回数」でしか差別化出来ず、後はお話の内容や展開で適宜補間していた感じだ。それがオーラの大きさや量、アピールの種類、カメラワークや演出の差異 etc... 年数を重ねるごとにいろんな手段が生まれてきた。

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太陽のドレスやジュエリングドレス、ミラクルオーラなんかはその最たる例で、パッと見で「やべぇステージ」てのがわかる表現だと思う。ただそれらは筐体都合に引っ張られて、今回のようにドレスが違うから顕現させることが出来ないってことも起こりうる。ただ、『アイカツフレンズ!』のエフェクト・オーラ盛り盛り主義なら、ミラクルオーラなしでももっとわかりやすく「やべぇステージ」てのをやれたんじゃないのかなぁ、と思ってしまう。それだけ私にとって 41 話(と 49 話)のステージが衝撃的で、印象に残るものだったということでもあるんだけど。"あのステージ" をどうやって越えてくるのかていうのを注目していたので、正直少し残念だった。

追記 19/09/02

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一応、41・49 話 ver と 72 話 ver の違いを書いておきます。
一番わかり易いのはミラクルアピール・ミラクルオーラの有無ですがそれ以外だと上の画像に挙げたような、ダンスの振りにエフェクトが追加されていたり、オーラの発光量が増えていたり、背景が明るくなっていたりします(オーラは歯車の方が、背景はステンドグラス部分がわかりやすい)。後は細かなアングルやショットサイズ等のカメラワークにも差異があります。

 

 

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とまれ、めでたく LMT も活動再開したことで、ジュエリングフェスティバルの準備は整った。
次回からはいよいよのいよいよで、『アイカツフレンズ!』最終章か。
全ての元凶たるブリザードとの真っ向勝負が始まるわけですが、どうなるか。
次回予告を見る感じだとわかばちゃんにスポットが当たるんだろうか?
ステージパートの割り振り何かも含めて気になる所。楽しみです。