アイカツ! 153-165 話 感想

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©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツ!』の振り返り感想、今回は 153-165 話です。
『あかり GEN』としては第 5 クール目で残り 2 クールのうちの 1 つ。
別名『4th シーズン』。

 

描かれるのはあかり達 Luminas にとっての新しい旅。ジャパンツアーで日本縦断中。
だけど合間に東京戻って普通の仕事もこなしています、という感じ。

大きな変化でいえば、やはりののリサは欠かすことの出来ない存在だ。実質成長しきったあかり達に代わり、『4th』の成長パートを担うもう一組の主人公という感じ。ただし『4th』は半年しかない上、後半 1 クールは丸々 SLQC に向けての準備と本番に当てられているので、通常の成長エピソードがこの前半 1 クールに詰め込まれた形となり、物語のペースが少々爆速に思える。目くじら立てるほどではないと思うが、一方で気になってしまうのも事実。

メインであるはずの Luminas の物語は、そのののリサや、ニーナ、みなみ等と絡むことで進んでいく。その途中でユウちゃんやつばきちゃんといった要素も回収。正直、前クールまでの様に 3 人で表立って回すお話が減っており、ゲストキャラやののリサ凛等に要素が振られている為、Luminas の物語としては少し薄味気味。
まぁ、その分残りの 1 クールで大いに巻き返してくれるんですが。

 

 

 

153 話『とびだそう、広がる世界!』

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『4th シーズン』の記念すべき第 1 話。ののリサをアイカツ!沼に引きずり込む、由緒正しき導入回である。
あかりにとって「出会い」が大切であるというのは、今回急に出てきた概念ではなく、例えば 134 話なんかにも描かれていることである。勿論、その出会いを手繰り寄せる事ができたのはひとえにあかり自身が積極的に動いてきた結果であり、単なるラッキーではない(この辺は遠い未来のらきちゃんと同じ)。ともあれ、出会いの大切さを大いに実感しているあかり達が、次のステップに進むために、更なる出会いを求めるという展開は結構自然な気がする(この辺は 152 話の内容だけど)。
さて、その記念すべき一発目の出会いとして出てきたのが、『4th』のもう一組の主人公ともいえる大地ののと白樺リサのコンビだ。情動主義的でフランクなののっちと、それを一歩引いた感じで眺めながら胸の奥に熱い思いを秘めるリサっぺという組み合わせ。今回の描写の感じだけを観れば、リサっぺの方が正統派主人公っていう感じがする(ていうか以降の扱いも基本等価だけどどちらかというとリサ中心だと思う)。
農作業の合間に歌っていたのがいつの間にか村中で評判になっていたとか、喜んで貰えるならそれはもうアイドルであるとか、圧倒的な "本物" を目の当たりにし、初めて自分の知らない世界の存在を実感すると同時に、その世界へ飛び込んでみたいと渇望するようになったりだとか。そういうプリミティブなことを次々に描いていく様子は、新シリーズ・新展開の機運を知らせる王道の第 1 話という感じがしてとてもいい。
Luminas 目線で観れば、最早彼女達の影響力がそこまで来たということを実感する回でもある。美月やいちごの例を出すまでもなく、時には人の心と人生を大きく動かしてしまう力も、アイドルは持っているのだ。
それはそうと、秋編入組ってことはいちごあおい珠璃と同じレベルを要求されるんですよね。凄いハードル。アイドルの光を浴びて幼馴染の 2 人が中 2 の秋に SL 編入を目指す、っていうのはモロに『1st』のオマージュだけど、それが逆に "最後" であることを暗示してるようでもある。


154 話『ジャガイモをマイクにもちかえて』

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ののリサ編入回。三種の神器贈呈式もあります。
「アイドルになりたい」「SL へ行きたい」という思いが本気だからこそ、その思いが家族に伝わるというのはTHE『アイカツ!』 という感じがする。自分の意思を伝える事に本気になったののっちの決意の表情もいい。本気で伝える前は軽くあしらっていた大人達が、本気になった後はちゃんと向き合ってくれたという描写も、至極当然の様に思えるけど良い描写だ。
後半に描かれるのは編入試験。ただしいちご・あおいの時と違い、試験そのものよりもその心意気の方に筆が伸びるのは何とも『あかり GEN』らしい。
そこでの内容は「変化」について。オーディションを受けに来た時点で、受ける前とは少し変わっている。SL に行きたいと思った時点で、その前とは変わっている。アイドルになりたいと思った時点で、歌がもっと上手くなりたいと思った時点で、歌いたいと思った時点で。そういう積み重ねが今の自分を作っているのならば、これから先も同様に積み上げていけば、他のアイドル達のように輝けるようになれるはず。強烈な思いが物事を動かす的なお話が多かった今までの『アイカツ!』と比べると、今回語られたことは結構異質に思えるし、それは文字通りの「モブキャラ」から這い上がってきた大空あかりだからこそ語れる内容なんだと思う。編入試験という 1 話と同じ題材を扱いながら、1 話とは全く違うものを見事に描いたお話だと思った。


155 話『トキメキカラット☆』

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ののリサがアイカツ!の一歩目を踏み出しました、みたいな回。
とはいえ難易度の高いオーディションにこの時点でのののリサがすぐ合格できちゃうってどうなのさ、という思いはある。一応実力だけで勝ち取ったのではなく新人補正もあったとは語られていたが、モヤモヤは残る。初仕事を通して実家に元気な姿を っていうのが最大の目的だったんだろうけど、それにしてももう少しお話を積んでからのほうがエモさが増すと思う。珠璃も編入即主演だったが、彼女はそれ以前のキャリアがあるし。まぁののリサのキャリアはかなりの爆速で進んでいくので、この展開は必要だったんだろうけど。
本編の内容は、前半のメインが新キャラ恒例の自己紹介 & 学園案内で、後半がオーディションに向けて色々頑張るというお話。ユウちゃんも久々に登場。フェイクジュエル作りという謎の属性が添付されたが、それ以上に大事なのは旅ロケをしているという情報。当然ながら次回への伏線である。
まぁ正直感想書くのに困る回でした。お仕事要素に振り切ってるわけでもないからなぁ。


156 話『YOU! GO! KYOTO!!』

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久々 というか初めてのユウちゃんメイン回にして、服部ユウ物語の最終回。ユウちゃんよ、永遠に。
ジャパンツアーの道程でユウをピックアップしたアイカツ!ワゴン。スケジュールに余裕があるので、彼女と一緒に京都へ行って、普段のユウのアイカツ!を観るってな感じのお話。あまふわもいるよ!的な。
とにかく作画に演出に、全てがユウちゃん中心に回って、彼女の普段の姿が映し出される。いわゆる一般的な観光名所には寄らず、PA と TV 局っていうのが仕事の合間のアイドル感が出ていて好き。そういう現在の描写だけに留まらず、ダイジェストや過去回想もユウちゃん中心で描かれ、世界からめちゃくちゃ祝福される。
しかし、悲しい哉そこにあるのは "成長した姿" であり、彼女の物語にこれ以上の余白がないことを知らせる。放送当時は「ここまでやってステージないのかよ!」と憤ったが、今にして考えればステージやるならこんな浅い話数で消化するはずないんだよな……タイミング的には SLQC 直前くらいがベストのはずだし……。
スミレとひなきを中心としたエピソードが悪かったわけではない。というか『オリジナルスター☆彡』を求める物語としてはこれ以上ないものだったと思うし、そういう意味で『あかり GEN』のその選択は正しかったと今でも思う。しかし、結果的に服部ユウは展開の都合によって物語から押し出された形になってしまった。「完全なモブではない主人公と絡みのある名前ありキャラ」ていう立ち位置は、ヒカリや SpLasH ! 以上に扱いづらかったとは思う。けどせめて、『3rd』のうちに 1 話 / 2 クール くらいのペースでお話があれば、と思わなくもない。


157 話『小悪魔ハプニング』

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ののリサが Dd の PR を貰うっていう回。
成長度合いが超速に感じてしまうのは、中途参戦の宿命だからしゃあない。
内容的には、PR だけどもドラマは弱め。大都会ではぐれてしまう & クレープを人にベチャッてしまうというトラブルはあるけども、それが何かしら強いドラマに昇華するわけではなく、如月ルーシーとの縁を繋ぐことまでに留まる。一応、地元では皆知人で知らない人 / 場所なんてなかった的なことが、そのまま人の縁ていうお話に繋がりはするけど、それを殊更強調してるとは思えない。しかし、この北海道と東京の違いだったり、ワクワクドキドキの冒険が続いてる的な言葉が、以降のキーワードになるかもしれないという空気はあるが。実際にはそういう繋がり方はないんですけどね。やっぱここももっと話数が欲しかったなぁ。


158 話『会いたくて、沖縄』

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みなみちゃんと凛ちゃんは果たして数年ぶりの再会が出来るのか!?という回。
ここまで 2-3 話引っ張った沖縄に漸く Luminas が到着したわけなので、3 人とゲストキャラの交流がメインに描かれる。……と思いきや、寧ろ凛の掘り下げ回と観た方が正しい気がする。
幼少期のダンスオーディションで一回会ったきりの 2 人。だけど、その一回の出会いが 2 人にとってはとてつもなく大きいものだったというのは、今回の凛の頑張りを観てもわかる。そこには骨太のエピソードがあるわけではなく、ありふれた言葉をかけられただけだ。しかし、その一言がその時の凛にとっては何よりも大事な言葉だったわけで、その時の凛のダンスがみなみにとっては何よりも眩しいものだった。結局、対外的にありふれているかどうかなんて関係なく、当人たちにとってどうだったか、というのが大切なわけだ。この辺りのエピソードをもう少し太らせて描くことも出来ただろうけど、それをしなかったのは、ひとえに再会後一緒に踊るという点に力を入れたかったからなのかな、と思った。
何気ないところだが、凛が間に合うか微妙な時に「例え間に合わなくても最高のステージにしてみせる」と言ってのけたみなみがとてもかっこよかった。その一言だけで、彼女が "プロ" だってことが伝わってきた。
正直、駆け足感・詰め込み感のするお話ではありましたが、いい掘り下げが出来ていた回だと思います。


159 話『ギャラクシースターライト』

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銀河大決戦、勃発。っていう回。機動戦士であり超時空要塞であり。
最早説明不要の虚無を生み出すドラマ回である。当然ながら野村さんの脚本。
もひとつ当然ながら、重要なのはノリと勢いと、確かなクォリティの作画・演出。この辺を外さずにきっちり決めてくる辺りは流石『アイカツ!』と言った感じだ。
語ることは特にないんだけど、好きな要素を以下に羅列する。
劇中劇のストーリーと設定自体は相変わらずなんだが、それを至極真面目にやり通すのが偉い。冒頭にある、世界観をバリバリに意識したセリフの連投なんかは本当に好き。他にも、敵方であった凛が味方になるという無駄に熱い展開とか、ジャージ堕ちしたスミレがヴァンカツに引き続いて裏切りポジになる所とか。
ののリサが端役出演とか妙なリアリティを求めてるのも好きだし、それに喜ぶ 2 人の姿も好き。一方で何故かドラマ出演を果たしているトップデザイナーくんも好き。
元気と可愛さとノリに溢れた、いいお話だったと思います。


160 話『夢はパーフェクトアイドル!』

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『ちゃお』からの刺客、西園寺つばき襲来 という回。
同ブランド担当アイドルという組み合わせは今までも何組かいたが、この時点でちゃんとお話を組んで貰っていたのは LoLi GoThiC 組と Aurora Fantasy 組くらい(後に VK 組)。なのでテーマ的にも結構貴重なお話。
この一話でつばきとの初対面から、仮想勝負、敗北宣言、そして立ち直りまでやっている為、まぁ詰め込まれているしテンポも爆速だ。あかりとドレスを賭けたちゃんとした勝負にならないのがまさしく『あかり GEN』という感じ。その代わり、意気投合したあかりと一緒にアイカツ!をすることになって、それが擬似的な勝負の役割を果たしている。とは言え、その最中にあらゆる面で劣ってることを実感させられ(それもあかり本人は全く自覚していない)、自動的に敗北を決定づけられるのは、結構残酷な展開である。『アイカツ!』特有の優しさオブラートに包んでるから、キリキリせずに食べられるけど。
ただ、そこからの立ち直りをかっこよく描けているのは流石の『アイカツ!』である。それにクールに応える瀬名くんもマジ瀬名くんって感じでよかった。
それにしても格の違いを表す描写がフィジカル面に集中してるのは、相変わらずの『アイカツ!』である。


161 話『大阪アイドルものがたり』

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関西三強アイドルが最後の一人・堂島ニーナ登場回である。
大阪だからってお笑いを絡めるというチープさに少し身構えてしまうんだけど、出てきたニーナ本人はかなり捻った設定をしてるというそのギャップが結構好きだ。関西弁はインチキだがそれは周知の事実で観客からもイジリの対象になっていたり、お笑いとアイドルに「笑顔」という共通点を見つけ、それを大事にしてたり。飛び道具的キャラクターかと思いきや、至極真面目な王道アイカツ!アイドルであるというギャップがいい。特に笑顔の話はよくて、少ない出番ながら自身のオリジンを惜しげもなく披露して、しっかりとしたキャラクターとしての足場を確立した感じだ。ちゃんとしたキャラという印象が出来るのはやっぱ強い。
本編の描写だとスミレのリアクションが微妙な感じなのが大好き。こういう時にあまり乗り切れないのは実にスミレっぽい。後は学園を案内する際に、昨今のお笑いやバラエティの事情をしっかり説明するのがお仕事アニメ感が出ていていい。アイドルとお笑いの両立を目指す学校としての解像度が上る感じ。
『ミエルミエール』のステージは、ギミックいっぱいで「メチャパニック」の名前に恥じない感じで大好き。


162 話『めちゃパニック』

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ニーナちゃん編 その 2。試練を乗り越えるタイプのお話。その解答が実に『あかり GENERATION』っぽい。
4 人で色んな年齢層の観客を相手に、お笑いライブをやりまくるという感じのお話。前回はイマイチなリアクションだったスミレも、今回は乗り気。やる時はちゃんとやる子なのである。
そうはいっても全 3 ステージのうち 2 ステージは失敗に終わってしまう。ここで 失敗 = スベった ではなく、意図しない笑いだったていう方向性なのがちょっと「優しい世界」っぽさがある。そんでもってのラストステージは、幼稚園に行ってお笑いマスター・ケンちゃんとの直接対決!
と、盛り上がった所で戒めが入るのが今回のお話。ニーナは別に、観客と笑わすか笑わされないかの勝負をしたいわけではない。観客に笑顔になってもらうのが一番なのだ。最後の玉手箱のオチは、キャラ弁というアイテムが優しさを象徴する一種のアイコンに思えなくもない(絶対にありえない深読みである)。
今回は SL 組がアクセント的に使われていたのだが、それも結構好きだった。こういう時は珠璃やまどか等がかなり役に立つんだなぁと実感。ののっちもそういうポジションになれそうではある。
ニーナちゃんは 2 話しか貰えなかったわりに、オリジン公開とアイドルとしての試練という王道話を割り振られていて、かなり恵まれていた様に思う。或いは 2 話しかないからこそ、だったのかもしれないけど。みやびやここねくらい話数が振られていたら、また変わった描かれ方をしたんだろうか、とは思う。


163 話『ハピネスパーティー♪』

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CM 撮影をしましょう、というお話。なんだけど、色々凄い。
まず何が凄いってメインがいないことだ。流石に画面に映る時間はあかりが一番多いけど、かといってあかりメインのお話かって言うとそうじゃない。一番スポットが当たってるのは天羽大先生だが、かといってまどかメインというわけでもない。ちなみにステージもないのでそこで判別することも出来ない。じゃあドラマ回のように虚無を生み出しているかっているとそうじゃなく、めちゃくちゃメッセージ性の強いお話である。
展開としては、あかり達に玩具の CM のオファーがきて、その関係で色々やるという感じ。今まで色んな物をパロって / モジってきたが、ここに来て全ての元凶たるバンダイに手を入れる辺り、最終シーズンという感じがする。企画をドールに決定する所や、CM についてのアイデア出し等はすんなり決まり、力を入れて描かれるのがそれ以降の展開。その中でも特に尺を割かれるのがエンジェリーベア周りの描写。ここで天羽大先生の超一流の考えが描かれたり、それをまどかが誇らしくしていたりするのが本当に大好きな描写。「子供たちに夢を与える」という点では玩具もアイドルも同じだから、こういうエピソードがよく響く。
ドールに手直しするのは天羽先生も瀬名くんも同じなので、流石師弟という感じがする。一方で、瀬名くんが CM 収録日までウンウン唸って漸く持ってきたのに対し、天羽先生はその場で一針で魔法をかけるのだから、物凄く格上感があって、その差異も好き。
トリッキーな構成ながら、バチクソにメッセージ性は強く、それでいて作画演出も高レベルという、観ていてとても面白いお話でした。
(158 話を凛エピと考えれば、今回はまどかエピとも言えるかもしれない。対になってるという考え方。)


164 話『さきどりニューイヤー!』

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ののリサメインのお正月のお仕事回。DD のステージもあるよ!的お話。
正月番組は年末に溜め撮りする為、その期間は普段以上に忙しくなるよ!ていうことを描いたお話。
色んな正月番組に参加・見学してる様子が描かれるが、ダイジェストは一部に留まり、それ以外はきちんと絵を動かしている。可愛らしい表情を次から次に観られるのはそれだけで嬉しいし、なによりののリサの頑張ってる感じが出てるのが良い。それはそうと、自分達の仕事は終わったのに次から次へと見学に誘われるのは、結構かわいそうな気がするが。ニーナや Soleil の仕事を観られる機会は限られてるからお得と考えるべきか。
その途中で Luminas・バチペとの実力差を描いていくスタイルも好き。貪欲に描写を重ねていく。
これだけで終わらせてもいいと思ったんだけど、その裏でスミレが歌番組に間に合うかどうかというもう一本のドラマが展開される。リサとスミレの走る所を被せたり、にくい演出がいい味を出してる。
割と普通のお仕事回なんだけど、お正月という特別感と相まって、素敵なお話に仕上がってたと思う。


165 話『ルミナスクリスマス』

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アイカツ!』最後のクリスマス回は、『アイカツ!』の優しさをこれでもかと詰め込んだ一話。
一般的に『アイカツ!』が話題になり始めたのは一年目のクリスマス回である 12 話がきっかけと言われる事が多い。それが真実かどうかはわからないが、友達の為に斧を担いで木を切り倒した星宮いちごの姿が、作中で大きな意味を持ってることは、作中でも描かれているように事実である。そこから始まった『アイカツ!』に於けるクリスマスの文脈は、他の季節イベントよりも遥かに重い意味を持って紡がれてきた(し、それは今もまだ現在進行系である。)
そんな大きな意味を持ってるクリスマスで、なおかつ『アイカツ!』の最後を飾る今回は、それはまぁ盛大に描かれる。お話の規模も日本全国に及び、『アイカツ!』の中ではかなりのスケールを誇る回だ。
面白いのは、今回描かれている "思い" が今まで散々描いてきた方向とは逆の ファン→アイドル という向きである点だ。ののリサがいちごの思いつきを軽い気持ちで呟いたら、それが拡散してしまい、それを見た全国の人達が自主的に SL に雪を届けようと思い立ったということ。アイドルがファンの為や友人の為を思って行動したということじゃなく、ファンの人達がアイドルの為に動いたという点がとても面白かった。まぁ友人の為っていうくくりでは、凛がみなみに雪を見せてあげたいと言っていたけど、その描かれ方はユナちゃんの時と比べると大分軽い感じなので、同レベルの描写とは言い難いだろう。
そんな日本全国からの優しさを受けて、アイドル達も立ち上がる。ある者は東京に運んでいる途中で雪が溶けないように雪の中継に行ったり、またある者はツアーファイナルの会場へ駆けつけたり。こういうポジティブな思いの循環が生じるのも、まさしく『アイカツ!』的な概念だ。
そして感動のファイナルライブ。といいつつ、ファイナル要素は個人的にあまり跳ねてない気がした。大阪と沖縄と北海道(+京都)に行ったことしか描かれてないのがなぁ……。物語のゴールとして用意された Soleil のツアーとは異なり、Luminas のこれは武者修行・ドサ回り的なノリで企画されたはずなのに、行った箇所がこれだけっていうのは流石に寂しい。遠い未来の HC みたいくサブキャラだったらまだ言い訳が効くが、ガッツリ主人公ユニットであり、かつこの為に新シリーズが始まった様な所がある中でこれというのは、まぁ寂しい。描かれてないだけで他の都道府県にも行っていたんだとは思うんだけど。
まぁ何だかんだで美月さんも来て 6 人で『はろー!Winter Love♪』をやって無事終了。エモい空気を出しつつラストイベントである SLCQ に言及してこのクールは締め(放送時は年内放送終了)である。