アイカツフレンズ! 57 話『GoGo☆ソルベット王国』感想

57 話 あいね 青ざめる

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

『ジュエル』の 7 話目はあいねちゃんの渡航準備!な回。
その一方でひびきさんの変化も示されてそのお話に一段落、といった感じかな。

まぁ、なんというか、ゆっくりまったりなお話だ。
"ソルベット王国へいくための(脚本上の)準備" というのは前回で済ませているので、すぐに旅立ってもいい所、あいねちゃん(とたまきさん)が準備の為に東奔西走するのに 1 話を割いてきた。1 年間のシリーズの中での役割としては、55 話と同様に "遊び" の話に当たるんだろうか。ただ 55 話がトンチキ全振りでギャグと過剰演出をこれでもかとぶん回してきたのに対して、今回は比較的落ち着いていて、その展開の仕方とかからどことなく『フレンズ!』初期の頃を思い出したりした。こういう懐かしさがあるのも悪くない。

57 話 PP 搭乗
57 話 飛行機
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思えば『シリーズ』全体でみても、星宮いちごを始めとして、国外に出るお話は様々に描かれてきた。ただどうしても「旅立ち」の文脈を伴ってしまってお話の方に重心がいきがちで、今回のような "海外へ行くこと" そのものを扱ったのは少なかった(てかなかった?)気がする。そう考えると、実に児童アニメらしい題材の選び方だなと思うし、1 話割く価値もあるように思う。

お話の骨子は大きく 2 本で、あいねちゃんの準備とひびきさんの描写だ。

57 話 PP HC
57 話 HC ロシア
57 話 ココちゃん
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上述した通り、あいねちゃんの渡航準備の様子は、『フレンズ!』初期のノリを思い出させる。HC の 2 人を加えた 4 人で集まり、ココちゃんにヒントをもらい、雑談と相談を行ったり来たり。一通り準備を終えた後にパスポートのことでまた一波乱、と思いきやたまきさんが既に手を回していたり。

57 話 友希家

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帰宅してからも、すずね姉さんとの年の近い姉妹独特の距離感・かずね兄さんのズッコケ感や不憫さ・ももねちゃんのちゃっかりした感じ・よしつねくんの純粋さ・まさむねパパの優しさとねねママのしっかりした感じ等々、The 友希家な描写が詰まっててよかった。やっぱりあいねちゃんの "家" はここだよなぁ。

57 話 たまきさん 準備
57 話 ケンさん 千春さん
57 話 いろはちゃん ひまりちゃん
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準備に忙殺されてるたまきさんをケンさん・千春さんが見守る所や、いろはちゃん・ひまりちゃんの久々の登場なんかも 1 年目のノリを感じられて懐かしかった。
正直、こういう描写が今後活きてくるのかはわからない。というか、こういうあいねちゃんの周辺の地味な(それでいて大切な)日常を切り取る暇はなくなっていくのが普通だろうなと思う。だから今回のを紹介描写として今後広げたり(42 話のように)活かしたり、というのは考えにくいか。でも何度も言うように "友希あいね" の原点はこういう日常にあって、そこを一度拾っておくことはやっぱり大切なんだろう。加えていうと、その輪郭こそ "変わらない" 日常であるが、その中身は「海外進出(とアリシアとの対峙)」というスケールの大きなものであると考えると、ここ数話繰り返し書いてきた "45 話の延長線" というのを強く感じる。

57 話 あいね ステージ上
57 話 観客
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45 話絡みでいえば、"ファンとの距離" も一つの大事なトピックであった。あいねちゃんにとってファンとの距離感は強い武器でありアイデンティティでもあるが、アイドルとしての階段を登るにつれて・アイドルとしての "格" を身につけるにつれて、その距離は開いてしまうというのが普通の流れだ。ただそれでもあいねちゃんは "変わらないこと" を選択し、"友希あいね" のままで階段を登る決意をしたのが 45 話だった。今回のステージ後の描写は、まさしくあいねちゃんの選択の結果・今邁進している道中の過程を表していたように思う。大きな会場で・満員のファンを前に・JLR を身にまとってステージを披露するというのはアイドルとしての階段を順調に登っている証だが、一方で客席から "友達のような声" がかかるのは "友希あいね" ならではだろう。

57 話 ひびき ステージを見る

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その様子をひびきさんがしっかり観ていたのもよかった。今回、ひびきさんとあいねちゃんは積極的に絡んだわけではなく、あいねちゃんのシーンの合間を縫うようにひびきさんの描写は重ねられていた。それまで交わらなかった 2 つの物語が最後に交わる っていう結構王道な構成だけど、今回の場合は "ひびきさんが「アイドル 友希あいね」の強みをその目で見る" のを印象強くしている感じ。(フレンズとしてポンコツな)ひびきさんが「トモダチカラ」を学ぶべき対象は全ての先輩フレンズであろうが、やはりその象徴的な存在はあいねちゃんなわけで、ここで一発噛ましておくのはいい感じだ(みおちゃんの天才性は既に 52 話で目にしているし)。

57 話 ひびき RM
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あいねちゃんと絡んでない部分のひびきさんのパートもなかなか良かった。RM とのシーンではかぐやちゃんに少し強めにスポットを当てていたが、この辺個別に掘り下げたりするんだろうか?ギフテッドな姉に一抹のコンプレックスを抱えてるかぐやちゃんのキャラはかなり好きなので、掘り下げ貰えるなら嬉しいなぁ。

57 話 ひびき ファン対応
57 話 ラブリーフレンズ
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またファンに真摯に向き合ってる姿勢なんかは、"格" を感じられて凄く好き。やっぱり "成長できる強キャラ" っていうひびきさんの立ち位置は面白い。「ラブリーフレンズへ休暇を与えた気遣いはトモダチカラによって得たもの」ていうのは、最初はぶっちゃけよくわからなかった。やっぱり PP に出会ってからそこまで時間経ってない感じがするし、出会う前の描写も少ないので "どう変化したのか" というのがよくわからなかった。が、アリシアさんに対して激重ラインを送りまくってたことを考えると(今回で更に時差考慮してない疑惑まで浮上した)、アレが対アリシア専用モードだったとしても、その派生のような人付き合いの仕方がデフォであったならば、まぁ確かに今回のような細かい気配りとかはしなさそうではある(自分の情動を何より大切にしてる感じ・"アーティスト")。それでもついてきてくれる人たちが沢山いるのが、天翔ひびきの持つ "格" だろう。

57 話 あいね 機内
57 話 次回予告 PP ひびき
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そして次回からいよいよソルベット王国編。
前回あんなこと言ってた割に、次回予告では普通に入国してるっぽいが、さてはて。
"2 年目" で大きく舞台を変えるっていうと、『星のツバサ』の VA 編入を思い出す。あれは 70 話付近まで引っ張ってたが、今回は流石にそこまで長くはないにしても、どのくらい費やすのか。そしてこの訪問でアリシアさんが本当に雪解けするのか。気になるところが沢山あって、とても楽しみです。