アイカツフレンズ! 48 話『キャットたちのハニーなお仕事』感想

一年目のエピローグを続け、それぞれのキャラの「その後」に焦点を当てているアイカツフレンズ!
その 48 話は、青春パワー全開で常に全力でぶつかり合ってきた HC の担当回。
「世界一周ファンミーティングツアー」の資金集めという現実的な壁を前に東奔西走するお話。
ではなく子猫とじゃれ合う、可愛らしいお話。

48 話 HC シュガーちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

HC は、敢えて言葉を選ばずに身も蓋もない書き方をすれば「負けキャラ」だ。
まぁそれ自体は仕方ないことだろう。何故なら『フレンズ!』の主人公は PP で、『アイカツ!シリーズ』は "選ばれるチャンスを つかみ取れ!" と謳(歌)う作品だからだ。だからといって無下にしてはいけない、「噛ませ」にしてないけない。何故なら彼女達の思いや努力は本物で、『シリーズ』はそういったモノもまた、競争の尊さと同じ様に大切な物として描いてきたからだ。そんな彼女達の為に『フレンズ!』が用意した花道が「世界一周ファンミーティングツアー」。

ただ今回はそんな豪華な花道を彼女達が歩く、というようなお話ではなく、ある種ほのぼのとした日常を通してその可愛さを全面的に描いていくお話だ。

48 話 HC お掃除
48 話 HC vsカラス
48 話 HC 飼い主探し
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

ぶっちゃけて書くと、エピソードそれ自体はとても地味だ。大きなステージの為にレッスンをしたり、ドレスのデザインをしたり、自分のアイデンティティに悩んだり、喧嘩をしたり、何かしらのトラブルや試練が起きたり……そういったドラマがあるわけではない。お掃除をしたり、カラスを追い払ったり、猫の飼い主を探したり、猫とじゃれ合ったりするだけだ。
でもその様な地味なことが、とても大切だったりする。ステージがアイドルだけで成り立つわけではなく、機材やメイク、ドレスのデザイナー、その他の裏方フタッフ等が必要であるように。人を惹きつけるパフォーマンスの為に、発声、ダンス、ランニング、アピール練といった普段のレッスンが必要であるように。地道な物・事・人による土台の大切さは、今までも何度も繰り返し描かれてきたことだ。それは「アイカツ!」という概念においても同じで、アイドルは見ている人たちに夢を見せることができるが(45・46 話)、それは「誰かの力になって笑顔にする」「誰かをハッピーにする」という日常の延長線上にあるということだ。

48 話 LMT

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これを LMT の 2 人に言わせたのも上手いと思った。彼女達(特にカレンさん)は一年間ずっとこのことを唱え続けてきたので、今ここでもう一度繰り返すのも当然だといえるし、また次回(LMT 回)への繋ぎも見据えていて、中々にスマートな構成だ。
小さなパーソナルな思いが、アイドルというフィルターを通すことでパブリックな力を得るというのは 46 話でも描かれていたが、今回の描かれたものも同様だ。DFC 以降の『フレンズ!』は、こういった『シリーズ』全体を貫く大切な概念について丁寧に復習してる印象を受ける。DFC までの『フレンズ!』は、ギチギチガチガチに詰めて物語を展開したことで、隙きがなく淀みない連続性を手に入れ、お話の説得力をぐっと上げていた。その一方で中々 "遊び" というか、"余裕" のない構成になっていた気がする。だからこそ「その後」の描写に重点を置き、"遊び" を加えながら大切なことを振り返ってるんだろう。

また今回は "善いことを行えば善いことが返ってくる" という、因果応報・善因善果・情けは人の為ならず 的なお話でもあった。そういった "綺麗事" を堂々と胸を張って主張することも、児童アニメとしての大切なお仕事だ。一方であんまし真面目に作ってしまうと説教臭くなってしまうのも事実なので、その辺りのバランスを画面の可愛さでとっていた。

48 話 ペンネとシュガーちゃん

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子猫のシュガーちゃんとペンネの交流をわざわざ動画を割いて作画したのも個人的には好きだ。やっぱり動物が可愛いのは、よい。この一年間、ペンネは八面六臂の活躍だったなぁ。

48 話 舞花 斧
48 話 エマ 猫耳
48 話 舞花 ピコピコハンマー
48 話 エマ 強化ギプス
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もみの木を切った斧や、動物番組で使われていた猫耳、バラエティで使っていた巨大なピコハン、アイドル養成強化ギプス等々といった「アイカツ!フェティッシュ」が出てくるけども、それらはオールドファンをクスリとさせる仕掛けであるし、先述した "(脚本上における)遊び" の一種でもある。

20 話 エマ
23 話 舞花
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このブログでも書いてきたが、彼女達の物語は青春みが強く、(舞花ちゃんの性格も相まって)激情によってぐわーっと劇的に動くお話が多かった。そんな彼女達の一年目の締めくくり且つ二年目への第一歩が、ほのぼのとした可愛らしい日常だったのは中々面白いなぁと思う。可愛いことを可愛いとストレートに伝えることも、アイドルものには大切だろうし。或いは一年間全力で青春を駆け抜け、またこれから世界一周という大きな旅へ駆けていく彼女達に対して、束の間の休息という意味もあったのかもしれない。
今までの『シリーズ』における "アイドルの旅立ち" といえば、『Our dream』へ出かけた Soleil、『ルミナス☆ジャパンツアー』に行った Luminas、文字通り船出した NVA といった 3 団体と、単身渡米した星宮いちご、家族の都合で渡伊した七倉小春、英国人 P・ブラックスターからスカウトされ渡英した桜庭ローラといったところだろうか。やっぱりこれらの前例と比較しても、出発前の日常を丁寧に描写したというのは最終戦を早めに終わらせた『フレンズ!』らしい気がする。

48 話 HC シュガーちゃん(2)

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個性がバチバチぶつかるわけでもなく、全力で青春するわけでもなく、日常の可愛い一コマを丁寧に描くという、ある意味 "HC らしくない" 回で新鮮でした。この一年間、常に主人公たちの "一歩前" をいくお姉さんとして頑張ってきた彼女らに、精一杯報いてあげられてたと個人的には思います。二年目もどんなぶつかり合いと、青春と、可愛さを魅せてくれるのか、非常に楽しみです。

48 話 次回予告 LMT

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そして次回、ラス前に描かれるは LMT。HC 同様、この一年間作品における重要な役割を演じてきた彼女達の取る決断、選ぶ未来とはどういうものなのか。予告の時点で非常に気になるワードや絵が飛び交ってますが、ドキドキしながら待ちたいと思います。

 

 

12 話 いちご 斧
31 話 いちご他 ギプス
31 話 真昼 ギプス
74 話 あこ 猫耳
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引用元はこの辺りだろうか。

フォトカツ おとめ ピコピコハンマー

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ピコハンはこれかな?