アイカツフレンズ! 47 話『アイドルのココろえ★』感想

47 話 ココちゃん アピール

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

自分の中でこのお話をどう消化しようか迷っていて感想書くのが遅れました。
それだけにまぁ、何とも言えないお話だった。

DFC が終わり、各キャラクター・各フレンズの「その後」を描いてる『フレンズ!』。44 話以降は何かと成長した姿が描かれていて、明確に 2 年目『かがやきのジュエル』への繋ぎを意識した展開となってる。

44 話 みおちゃん
45 話 あいねちゃん
46 話 RM
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44 話では 3 人が素人の演技指導を行い(みおちゃんはそこから更に一段上の CM 主演女優)、45 話と 46 話では子どもたち(ファン)の夢に応える姿というのを改めて示した。46 話の感想にも書いたが、これらの営みはアイドルという概念の根幹を成すものであり、DFC という一番大きな山場を乗り越えたこの段階で描くことで、その価値を今一度復習する意味もあったように思える。"原点回帰" とでもいうべきか。そういった流れのもとで今回の 47 話というのは存在しているので、"諸星すみれ" の声を持つ彼女が "一から" アイカツ!を行うというのは、(メタとはいえ)大きな感慨を生む。

47 話 ココちゃん「ココろえました!」

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軽くお話をおさらいすると、ココちゃんの「アイカツ!をしたい」という願いを叶えるためにパブリックビューイングの手配・VR で一緒に歌やダンスのレッスン・「ココちゃんアピール」の練習等をした後、「アンチウイルスココ」の登場・それらからの逃避行、ココちゃんの消滅、オチ という流れ。

ココちゃんは一年間皆のサポートをしていくうちに "心" が動かされ、自らも「アイカツ!」をしたいと望むようになった。言わずもがな、これは『アイカツ!』以来ずっと描かれてきた、アイドルの持つ力の影響だ。

47 話 ココちゃん 思いを伝える

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そこでココちゃんは「一緒にアイカツ!をしたい」「レッスンをして欲しい」「ココちゃんアピールに挑戦したい」という自分の思いを 6 人に伝え、6 人もそれに本気で応えて、付き合ってくれる。こういった、思いを剥き出しにしてぶつけ合うことで為される交流というのも、紫吹蘭登場以降ずっと描かれてきたものだ。こういう過程は、ココちゃんが単なるサポートキャラからメインストリームへのし上がる為の足場となる。今回手に入れた足場を元に、ココちゃんは更なる飛躍を果たすことが出来るわけだ。

47 話 ココちゃん 画面

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とはいえ "画面の向こう側" にいるココちゃんは、メインキャラと文字通り一線を画してるという状況にいるのは変わっていないので、その飛躍が描かれるという保証はない。ココちゃんというのは、その様な一種の浮遊感・不安定感を孕んでいるキャラクターだ。もっと正確にいうと、これまでは単なるサポートキャラで 38 話等でも少し突くくらいだった存在が、今回しっかりとした "キャラクターとしての足場" を手に入れ、「エピソードの主役たり得る存在」となったことで、この(メインで扱うには)ふわふわとした浮遊感が生まれた。
サポート AI という属性を考えると、2 年目にエピソードを追加し、キャラクターの肉付けをして主軸に食い込ませる、というのは中々考えづらい。とはいえ、副軸を語るだけの燃料を積むことはできたので、まぁそちらで膨らましていくんだろう、と予測できる。冗長になったが、要は七倉小春にはなれそうにないが、神谷しおんや服部ユウになれるだけのポテンシャルは得られたということだ。
(とはいえ『ジュエル』のキーワードの一つに「スペースアイカツ!」なるものがあるので、一気にリアリティラインを上げて今回のような SF 要素も入れてくる可能性も無きにしもあらず。そうなったら当然ながらメインを張るようになるだろう。一回一回 VR を経由するのは面倒だが、MR を取り入れれば違和感なく立ち回れるだろうし)

47 話 ココちゃん PP RM ランニング
47 話 ココちゃん PP
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2 年目への妄想は置いとくとして、今回の 6 人とココちゃんの交流それ自体はしっかりがっつり描かれた。一度へばった所から PP が励まし(やはりこういう時に素人発主人公は強い)、奮起して、成長を手に入れる。6 人が「指導する側」になったという点も見逃せない所だろう。冒頭に書いた通り「その後」を強く印象づける描写だ(指導される側が CV 諸星すみれなのはやっぱ面白い)。そういった由緒正しきアイカツ!式交流を経た後で、突如サイバーパンク的な逃走劇が始まる。

47 話 ココちゃん 消失(1)
47 話 ココちゃん 消失(2)
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最後の、自分の思い(一年かけて培ってきたもので 6 人との交流の架け橋となったもの)よりも「アイドルを助ける」という自分の使命を優先する所なんかは、マシンとか人工知能とか兵器とかを扱う作品のド真ん中をいく文脈だ。そして「友達の消失」というのは、友希あいねにこれ以上なく刺さるものだ(cf 28 話)。アイカツ!らしさとアイカツ!らしくない要素をどっちも詰め込んだ奇っ怪なエピソードだが、「実はただのバージョンアップだった」という優しいオチが待っている。

47 話 PP HC RM

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この優しいオチを突っつくのはどうかなぁ、と我ながら思う。例えばココちゃん消失後(アプデ中)に、あれだけ賢いみおちゃんが何も確認を取ったりはしなかったのだろうかとか。そもそも DF が一枚噛んでる企画なのに、それがおじゃんになりうる可能性を誰も指摘してくれなかったのか、或いはみおちゃんやたまきさんは確認しなかったのかとか。DF の影響力の大きさは今までの LMT 描写や 45 話等で描かれてきた通りだ。ココちゃんが消えた日が PV 当日だというのは舞花ちゃんのセリフから一応推察できる(ただしあの日は会場に向かってせいぜいリハをするくらいという考えも成り立つ)。アプデ前後のココちゃんの連続性とかも突っ込める。

47 話 ココちゃん 県庁所在地

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が、やっぱり今回はただの優しいオチということになるんだろう、多分。今回のメインはココちゃんの成長と 6 人の交流であって、その辺を細かく詰めたからって何か得られるものでもないし。そもそもココちゃんのそういう設定(サーバーとか運用者とか)が明らかにされてない以上、「『アイカツフレンズ!』はそういうお話じゃない」ということは明白で、あくまで今回が特別なのだ。或いはアプデこそが、ヴァーチャルに生きる彼女に許された "目に見えた成長" の証ともいえるかもしれない(そろばんや県庁所在地はその実例)。

47 話 ココちゃん ランニング
47 話 ココちゃん ダンス
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とはいえ、だ。やっぱり本編中の努力の成果が描写されないというのは、殊『アイカツ!』を視聴するにあたっては、やっぱり寂しい。PV をやったのか・やってないのか・上手くいったのか・いかなかったのか。何もわからないんじゃ、あの努力が何を生んだのかがわからない。嘗てのあかりやゆめ、ローラのように、上手くいかず泥にまみれて砂を噛んだ、というのならそれでもいいし。或いは優しい『アイカツ!』の世界らしく、皆が受け入れてくれて大成功、というのでもいい。正直、CG ステージがなく特殊 ED にもならず歌ってる最中にセリフも挟まる、という 38 話方式でも全然いいから、何かしらの "努力して得られたもの" というのが知りたかった。まぁ先述したように、「その代りのバージョンアップ」とも取れるんだけどもさ。
これからのパターンとして考えられるのは、
・次回の冒頭でちょろっとセリフフォローを入れる
・次回以降の一年目の残りの間に何かしらフォローを入れる
・全て 2 年目に回す
・放置
という感じか。前例を踏まえると 2 年目に回すのが本命だけど、まぁほんの一言でいいので何かしらのセリフを早めに入れてくれると、個人的には安心する。現状ではお話の着地点が中々はっきりと見えず、メインストリームにおけるココちゃんの存在感と同様のふわふわした印象を受ける回になってる。まぁ一年目が終わるまでに何もなければ、アプデがそういう(お話の着地点としての)描写だった、という解釈になるのかな。

次回は偉大なる敗者 Honey Cat のターン。彼女らの成長、そして「その後」がどういう風に描かれるのか、楽しみです。まぁあと一話何かしら挟んで、次々回にエマちゃんの誕生日と卒業を絡めたお話にするという予想は見事に外したけどね!