アイカツフレンズ! 25 話『ラブミーティアをこえろ!』感想

25 話 みお LMT越え宣言

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 25 話。

王者が王者たり得る為に資格が必要なのと同様、王者に挑戦する為にも資格が必要である。
今回は挑戦者の 1 人が "挑戦者" たらんと、階段を登り始めたお話。
一方でその階段から軋む音が響いて、すぐにでも崩れ出しそうな気配も感じるお話。

『フレンズ!』界を遍く照らさんとする LMT はまさしく王者なのだが、
彼女らに挑む為にはそれ相応のモノが必要で、その為に『フレンズ!』のアイドル達は日々努力をし続ける。

25 話 あいね食レポ

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その最たる例が我らが主人公・友希あいねで、ド素人だった彼女は 1 話以来地道な努力を続けていって、今や歌もダンスも演技もバラエティも一廉のものとなった。今回の食レポ描写も、そのことを示す一例だろう。勿論それは他の子達も同じで、HC も RM もそれぞれがそれぞれに成長している。
ではもう一人の主人公・湊みおの場合はどうか。彼女は本編開始時点で、既に同世代では頭一つ抜けた「トップアイドル」であった。ただその「トップアイドル」に駆け上がるまでの間に、様々なモノを置き去りにしてしまったことも事実だ。彼女が PP として友希あいねと過ごした日々は、その置き去りにしてきたモノを再び取り戻す日々でもあり、それは彼女の人間性に深みや厚みをもたらした。

25 話 みお 悩む

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とはいうものの、そんなのを中学生の女の子に自発的に気付けというのは無茶な話だ。というか中学生じゃなくても無理だろう。だから彼女は「自分は変わることが出来ているのか」「こんな私で LMT に勝てるのか」と悩むことにもなる。言わずもがな、湊みおは LMT を超える必要はなく、必要なのは PP として 2 人を超えることなのだが、周囲が(或いは最も近いあいねちゃんが)ぐんぐんと成長してる姿を見ることは、彼女から視野の広さを奪ってしまっている。
そこに舞い込んできた LMT の代役を務めるというお仕事。原因が天候による交通機関の麻痺というのは、最早シリーズ恒例だ。自信喪失中のみおちゃんにとっては当然荷が重いわけだが、そこを LMT (恐らくミライさん)に直電して後押ししてもらうという、なんとも力任せな解決策を採用する辺りはあいねちゃんらしい。

25 話 LMT

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LMT から煽りまがいの激励を受け、みおちゃんは立ち上がる。ただここで「元からあった PP の仕事とバッティング」した為、あいねちゃんとたまきさんを遠ざけるのは、何とも抜け目ないというか意地悪な脚本だ。
みおちゃんが「スーパー文化人」について予習しまくるのは当然だろう、ましてや LMT の代役として出るのだから。そしてそれを活かしてトークを完璧にこなすのも流石だ。だからこそ、"アイドル嫌い" という天敵のような属性を持つ頑固山鬼右衛門さんのサプライズ登場に、立ち止まってしまう。そこで仕事を終えてスタジオに駆けつけていたあいねちゃんが外から声を掛けて、というのがお話の流れなのだが。もしここに最初からあいねちゃんが(出演者として)いたなら、状況は変わってたのではないだろうか。そもそもみおちゃんの強みは、その真面目さや意識の高さだけではない。それらと同じくらい直感だって武器として描かれてきたし、本人もその強みを理解していた。一方でこの時のみおちゃんは、普段の広い視野を失い、また LMT の代役という重みを背負ってる状況であった。直感が働かなかった(働かすことができなかった)理由はこの辺だと私は考えていて、だからこそあいねちゃんが側にいて "差し色" として機能していれば、みおちゃんは普段どおり「ビビっと」来たのではないか、と考える。故に、意地悪な脚本だなぁと感じた(脚本やストーリーがダメだと言うわけではありません、念の為)。

閑話休題として話を本編に戻すが、一方でこの時のみおちゃんを責められないというのが、また何とも難しいエピソードになっている。LMT の代役を受けた以上「オンエアさせない」は阻止しないといけないし、その為に料理やステージに集中するのなんてどこにも非難する余地はないだろう。彼女はプロとして当然のことをやったまでだ。そして手応えを掴めたから LMT の背中を意識するというのも自然な気がする。やはり引っかかるのは「"私は" LMT を越えられる!」という部分だろう。この作品は『アイカツフレンズ!』なのだから。ただ一方で、この回ではみおちゃん 1 人で LMT と同等の仕事を成し遂げた。

25 話 ムッシュ・ザックバラン

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それは 8 話と同様に「(脚本上の)LMT の代役」として存在するムッシュも認めたことだ。じゃあやっぱりみおちゃんの「"私は" LMT を越えられる!」という "直感" も間違っちゃいないっぽい。"直感" を封じられた話でそれが正しいって描写されて、でも PP としては間違ってる、というのはとってもエグい皮肉に感じるなぁ。
たまきさんのいったことが正しければ、今回みおちゃんが経験した「アイカツゾーン」は一流アスリート等が経験するそれと同質のものということになる。であれば、ただ単に「極限に集中した状態」であるので、かつての虹野ゆめのケースとは別ということだ。別にみおちゃんは天に祝福されたわけでも、世界に呪われたわけでもない。普段から弛みない努力を重ねてきて、それが極限の集中力の元で発揮されたというだけである。作中の描写ではなんだか「諸刃の剣」の様な印象を受けるが、その諸刃が傷つけるのは自分ではなさそう。こうなってくると、薄っすらとであるが PP と友希あいね・湊みおの行く先が見えてきた感じもある。成長イベントをやりながら先の展開を暗示するってのは、手際の良い展開だなぁ。

次回はいよいよブリリアントフレンズカップの開催。果たして PP と RM の運命は如何に。