アイカツフレンズ! 20 話『ラクロス or フレンズ!』感想

20 話 夕日とHC(1)

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 20 話。

サブタイトル通り、エマちゃん或いは HC がメインとなる回。
彼女がラクロスとアイドルの "二刀流" を掲げる以上、いつかはぶつかるであろうテーマ。
ぶっちゃけエマちゃんのキャラ設定とサブタイで大体は話が想像できるので、どうやって期待に応えるか、或いはそれを超えるかが大切。その為の画面作りであり、全体の構成であり、舞花ちゃんである。

SHC で勝敗を分けたのは、ファンに向き合うことを思い出せたかどうか。アイドルにとってファンの応援は必要不可欠であり、それを忘れてしまえば如何に優れたステージングであっても "アイドル" たり得ない。その、アイドルの根幹とも言える部分をもう一度見直す為の、ファンミーティングツアーをたまきさんが用意してくれた。必要な時に必要なことをしてくれる、マネージャーとして本当に有能だなぁ、たまきさん。スケジュール調整も既に済ませてあるし。そんで今回ラクロスと天秤にかけられるのが、このツアーである(正確にはそのレッスン)。その選択での悩みで、得意なはずのバラエティでさえぼーっとしてる辺り、結構重症だ。

エマちゃんの二刀流は今に始まったものではない。ソロ時代も怪我したことはあった。でもその時に迷惑がかかるのは自分だけだが、今はパートナーがいる。

20 話 悩むエマちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

「一人の時と二人の時の差」、こういうのテーマもアイドルものでは王道だけど、いい具合に組み込んできたなって感じだ。これが PP だと、みおちゃんはやり通せるだけの器量があるから、ハードルをもっと上げなきゃ話が成り立ちにくい。あいねちゃんの場合はソロであった期間が短く、またみおちゃんがサポートキャラにしては強すぎる。舞花ちゃんの場合でもエマちゃんが献身性持ちキャラだからなぁ。そう考えるとラクロスという材料があり、普段フォローする方のキャラだからこそのギャップもあるエマちゃんにこの試練を与えるのは、最適なキャスティングに思える。

ストーリー的にはこの後エマちゃんが退部届を出し、舞花ちゃんが待ったをかけ、2 人でラクロス勝負をすることになり、舞花ちゃんが負けるもエマちゃんは退部を取りやめるという流れとなる。

HC は「私とあなたは違う」「違うからいい」で結成したフレンズだ。そこでエマちゃんがラクロスを捨てたらどうなるか、それは舞花ちゃんの言う通り「二刀流を応援してくれるファン」を裏切ることになるし、何より「エマちゃんらしさ」が失われてしまう。それは BFR ドレス制作時同様、「フレンズを組む意味がなくなる」に繋がることだろう。

舞花ちゃんはストレートに思いを告げる女の子だ。時には恥ずかしくなることもあるけど、今はそんなこと言っていられない。一年時にモデルに絞ろうかどうか迷ってた際に、「全部やること」を後押ししてくれたエマちゃん。そんなエマちゃんに憧れてたことだって伝えちゃう。それを後押ししてくれるのは、青春力とエモさをマシマシにしてくれる夕日であることは言わずもがな。

20 話 夕日とHC(2)

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

何だかんだ勝負(10 点先取 vs 1 点先取)ではエマちゃんが勝つという現実めいた厳しさのある結果だが、個人的には好み。勢いとエモで乗り切ってもいいと思う場面だったが、今回ははエマちゃんがラクロスにかけてきた時間や努力を尊重する結果にしていた。でもこれは逆説的に、エマちゃんにとってラクロスが大切なものであると表してるんだよなぁ。

エマちゃんは基本的に "出来る子" だ。外見からはお茶目で弾けてるような印象を受けるが、中身はかなりしっかりしていて、ラクロスとアイドルの二刀流をやり続けるだけの体力や器量があり、視野が広くて気配りも利く。そんなエマちゃんの受容体には、舞花ちゃんのストレートは過剰な感じもするんだけど、だからこそエマちゃんの心の奥に響くんだろうなぁ。

20 話 ハニカミエマちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

人を思いやるエマちゃんだからこそ、「ポップを捨てる」や「ラクロスを捨てる」といった選択肢を選びそうになるんだが、情熱直球な舞花ちゃんだからこそその「思いやり」を振りほどいて思いをぶつけられる。つくづく凸凹で、だからこそピタッと当てはまるフレンズだなぁ。

舞花ちゃんが直球なことは、台詞のエモさにも影響してくる。舞花ちゃんが自分の思いを素直に声高に叫ぶからこそ、エマちゃんも全力で直球を返す。そこで生まれるエモさを夕日がバックアップする。結果として予想通りのエピソードを、予想以上の熱量で駆け抜けていた。

ステージは、実は初披露となるエマちゃんのソロ『おけまる』。
「負けないキモチ 誰にだって負けない あきらめない」という歌詞なんかは、確かに彼女のことを表してるんだけど一方でそのど直球っぷりが相方を思い起こさせて面白い。ステージのテイストやオーラの打ち上げ花火なんかは、ポップタイプっぽさがガンガン前に出てて好き。本編ではサポートやフォローに回りがちなお姉さんだからね。

夕日とエモと青春でお腹いっぱい、でも爽やか、でも熱い。とても面白いエピソードでした。

あ、あと今回もたまきさんいい仕事していた。ファンミツアーに関しては記述の通りマネージャーとして有能な一面が描かれていたが、エマ / 舞花両者の回想では厳しい一面が描かれていた。舞花ちゃんにモデル一本に絞ることを提案したのも、怪我をしたエマちゃんに「アイカツに支障をきたすなら」といったのも、どっちも辛い立場だ。でも本編の彼女らのアイカツを見るに、彼女ら本人の意思を尊重したこともわかる。そういうところから、アイドルとマネージャーについての信頼関係も見えてくる。キャラの歴史と色がより濃くなった印象を受けました。