アイカツフレンズ! 19 話『届け!トモダチカラ』感想

19 話 あいねちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 19 話。

前回に引き続き、スターハーモニーカップの後半戦。今度は PP のターン。
なんだけど、PP 回というよりあいねちゃんの成長回。
アイドル・友希あいねの強みとは何か。それを今一度確認する回。

とまぁ勿体ぶって書いてみたが、そんなのは(今まで観てきた視聴者からすれば)考えるまでもなく、誰とでも友達になれるコミュ力や交流関係の広さ、友達一人一人に真摯に向き合う姿勢、困ってる人を躊躇せず手助け出来る優しさ、そして友達に元気を与えられることと友達から元気を貰えるところだろう。俗な言い方をすればコミュ力や器の広さ、作中ではそれらをまとめて「トモダチカラ」と呼称している。

かつてはド新人ド素人だったあいねちゃんだが、みおちゃんやたまきさんに導かれる形でアイドルとしての実力をつけてきて、ファンミーティングやソロライブもこなすようになり、PP の活動なども通してそれなりのキャリアを積み上げてきた。しかし本編開始時点でトップアイドルとしてバリバリ活動していたみおちゃんは勿論、元々あったソロの人気にフレンズ活動で更に火がついた舞花・エマと比べて、まだ一人だけ劣っていることは事実である。勿論あいねちゃんは、そんなことで卑屈になるような性格ではない。今までも彼女の周囲には、彼女より凄い友達はいただろうし。しかし今回は "勝負の場" で、ライバルの HC がこれ以上ないパフォーマンスを繰り出した状況。みおちゃんの夢の為にも、自分の為にも、PP の為にも優勝したいこの大会で、あいねちゃんは「実力アップ大作戦」を打ち出す。

結論からいってしまえば、この話は HC との比較にもなっていて、この辺の作り方にもそれが見て取れる。
HC もあいねちゃんも、大会に向けて特訓をするという構図自体は同じだ。しかし、HC の場合はそこに計画性が見える。アピールはステージの華で、ドレスをより輝かせられるポイント。そこに焦点を絞った HC は、仕事の合間を縫って大会の数週間前から泊まり込みの特訓をしていた。一方のあいねちゃんは、HC のステージを観てこのままじゃいけないと思い、自分の改善点をみおちゃんに尋ねた。強化すべき点がわかってる HC とそうじゃないあいねちゃん、計画を練り時間をかけて特訓をした HC と直前になって猛練習をしたあいねちゃん。無論、あいねちゃんが BrFC に向けて全く練習をしてなかったということはないだろう。18 話でもみおちゃんと早朝ランニングしていたし。でも HC の特訓と比べると、そこに差があったことは確実だと思う。またみおちゃんが指摘した点も、指先への意識やブレスの位置、振りを合わせる時にみおちゃんを見ないといった基礎的なものであった所からも、やはり差が見て取れる。勿論差はあって当然のものだし、みおちゃんは「今までの努力を信じてあいねらしいステージを」といってくれるんだけど、だからこそあいねちゃんは勝つための努力をしようとする。
特訓を邪魔される、というのも HC とあいねちゃんで共通してる部分だ。ただ HC はお仕事で時間を奪われたことに対しては泊まり込みという策を、おばけに関してはエマちゃんのフォローと舞花ちゃん自身の情熱で乗り越えた。一方のあいねちゃんは、自分の交流関係の広さと自分の優しさの掛け算によって、皮肉にも特訓の時間を奪われてしまう。そしてそこにサポートしてくれるみおちゃんはいない。だから、あいねちゃんは現状打破の為に、「友達」を封印する。結果として、あいねちゃんの技術は上達するんだが、同時に「あいねらしさ」が失われてしまう。ぶっちゃけこれ自体は間違った手段の様に描かれていたけど、あいねちゃん自身の技術が向上してるのは確かであること、そして途中までみおちゃんがいなかったことが逆に解決への糸口になったこと、を考えると、HC と比較して運命(脚本)のイタズラのようなものを感じてしまう。

「あいねらしさ」を取り戻させる為に、みおちゃんが "らしくない" ことをするのもいい。ステージ前に動揺させるようなことをいったり、普通科の子たちに声をかけたり。あいねちゃんの影響でみおちゃん自身が変わったことがここでもわかる。最後のファンへの呼びかけは、ファン(≒友達)の力を借りたこと・ネットを利用したこと というみおちゃんの元々持っていた強みにあいねちゃん要素がミックスされた、新しい強さを感じた。

19 話 あいねとトモダチカラ

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

最終的には「トモダチカラ」の差で PP は勝ち、HC は負けることとなった。トモスタ封印を伏線にしてこういう風に活かすのは、正直前回の時点では予想着かなかったなぁ。ただこれは個人的な考えだけど、あいねちゃんの強みって大なり小なり皆持ってることだと思うんだよな。今回だって、理屈でいえば HC がファンの応援を力に変えていれば勝っていたわけで。そもそも友達の為に頑張ったり、友達の力を借りたり、それ自体は何も特別なことじゃないし。となると友希あいねを友希あいね足らしめてるのは、その規模や深さということになると思うんだけど、その本質は彼女の優しさや勇気や度量にあると思う。「勇者の橋」で飛び込むことで手にした、友達になりたい人に声をかけられる勇気。どんな人とでも友達になれる度量。困ってる人を迷わず助けられる優しさ。彼女の強さ、「トモダチカラ」の本質はその辺にあるんじゃないかなぁ。後は、友達から力を貰えることか。友達 ≒ ファンだとすると、彼女のそれはまさしく「アイドルの才能」であり「強み」であると言える気がする。

19 話 かぐやちゃん

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物語の本筋とは別に、着々と進んでいる "6 人目" 参戦のレール。
さくやちゃんに「かぐやちゃん」と呼ばれていること、逆に「白百合さくや」のことを「お姉さま」と呼んでいること、さくやちゃんの台詞に「お家に帰ったら(略)」とあることからいって、大体の正体は既につかめてる感じ。これで前回の謎も解けた感じかな。みおちゃんと絡んだシーンを観る限りだと、ポンコツ要素を含む面白かわいい子という印象が既にある。

斯くして SHC は終わり、HC は負けて PP は勝った。今後は HC へのフォローと、ブリリアントフレンズカップに向けて話、そして白百合姉妹の話があるっていう感じだろうか。
あ、最後にちゃんと HC が悔しがってたのはとても良かったと思います。敗者が泥にまみれて砂を噛むからこそ、勝負の尊さは保たれる。とても残酷で辛いことだけど、それをちゃんと描くのは大切だと思うし。かわいさ全振りの描写だったのは、あそこでゴツい描き方したら話全体が重くなりすぎるだろうから、そのバランス調整だろうな。一言でいうと作風か。

19 話 Honey Cat

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