アイカツフレンズ! 15 話『アイチューブ☆シンデレラ』

15 話 あいねちゃんシンデレラ

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 15 話。

既に高いレベルで活躍しているトップアイドル・湊みおと、
ド新人駆け出しルーキー・友希あいねで結成されるフレンズ Pure Palette。
そんな我らが主人公フレンズであるが、彼女達の物語を紡いで行く中で絶対に避けては通れない「2 人の実力差」という問題。今回は遂にそこにメスを入れる回で、そういう意味では以前から(それこそキャラ設定がわかった頃から?)期待されてた回でもある。
トップアイドルとルーキーというある種歪なフレンズである PP だが、そんな彼女らにまとわりつく問題を、あいねちゃんサイドから描くことで、あいねちゃん自身の成長回に繋げている。

まずは HC が「フレンズの成功例」として提示される。モデルをやっていた舞花ちゃんの影響でエマちゃんにもそっち方面の仕事が増え、ロケバラエティを得意とするエマちゃんの影響で舞花ちゃんもバラエティが増えてきたと。そういう相乗効果がフレンズにとっては大切で、たまきさんが言う所の「Win-Win の関係」だ。じゃあ逆に PP はというと、みおちゃんとあいねちゃんの実力差(人気ランキング 5 - 50 位)が示すように、「みおちゃんのおかげであいねちゃんが引き上げられている」状態。

15 話 青い鳥(1)

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13 話『How to カレンさん』でカレンさんが(或いは LMT が)月に比喩されていたのと比べると、大空を飛ぶ青い鳥のメタファーは中間地点としてのみおちゃんをよく表してる。

そんなあいねちゃんに今回舞い込んでくる試練が、大きな会場でのソロライブ。みおちゃんの場合は仕事先でそういうのに遭遇していたが、あいねちゃんの場合は「ちょうどイベントが中止になって空いた会場をたまきさんが見つけてきた」という、運要素と周りの人の力とどっちも関係してるのが、まぁ成長系主人公だなって感じ。みおちゃんも  SH 入学 4 ヶ月で同じ会場を埋めたという設定なのは、結構「並び立つ」描写としてはわかりやすいかな。それでもあくまで当時のみおちゃんとの比較であって、今のみおちゃんではないんだけど。

「TV や雑誌で取り上げられることの少ない駆け出しにとってネットは有効」ってのは、フィクションに現実要素を織り交ぜる『アイカツ!シリーズ』らしいなと感じた。そこで同世代にバズりやすい「着こなし動画」を思いつけた一年時のみおちゃんと、とにかく色々試して中々結果が上がらないあいねちゃんの比較も面白い。その辺の嗅覚は みお>あいね てのは確かにそんな感じがする。そもそもみおちゃんは、入学前からドレスのデザインやファッションについて勉強してたくらいだしなぁ。結果として「再生数が上がる動画」を探し求めようと右往左往するのは、いつぞやの霧矢さんを思い出すなぁ。

当時のみおちゃんの強みが、入学前から積み重ねてきたファッションやデザイン方面の努力だったなら、今のあいねちゃんの強みとはなにか。それはやはり誰とでも友達になれる親しみやすさや、困ってる友達にすぐ手を差し伸べる優しさ、そしてその優しさの見返り(結果)として周囲の助力を得られることだろう。だから普通科の友達が困ってたら、とりあえず自分のことは置いといて力になろうとするし、友達を助ける為なら他の友達の力を素直に借りようともする。そんなあいねちゃんの強みは、千春さんとケンさんを、アイドル科の友達を、商店街の人たちを巻き込んでいって、「豪華すぎるシンデレラ」を作り上げる力となる。

15 話 あいねちゃん灰被り

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ここであいねちゃんがシンデレラを演じてるのもいい。7 話ではあんなに演技に手こずっていたのに、(公民館演劇レベルとは言え)主役を難なく張れるレベルまで成長している。
みおちゃんが撮影に回ってるのも隙がない構成だなと思う。これは別にソロライブの宣伝の為じゃないから、みおちゃんは別に舞台に立ってもいいはず。でもみおちゃんはそうせずに撮影して動画を上げることを選んだ。やっぱりその辺の嗅覚というか、センスがずば抜けてるんだろうなぁ、彼女は。見事に動画はバズって、あいねちゃんのソロライブは満員となる。

最後の余韻も素敵だ。「アイドルになって本当によかった」というあいねちゃんの言葉はとても気持ちのいいものだ。そしてみおちゃんの言う通り、周囲の人達が、友達が力を貸してくれたのは偶然なんかじゃない。祝勝会だってそりゃするだろう。最後の最後にみおちゃんとみんなの交流に繋げてるのも流石で、Win-Win であることを強く感じる。あいねちゃんがみおちゃんに自分の強みを教えてもらったように、みおちゃんは皆と仲良くなることが出来たんだなぁ。最後の鳥はとてもわかり易い描写だけど、めっちゃ好きです。

15 話 青い鳥(2)

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そしてやっぱりこの回で欠かせないのは、たまきさんの存在だろう。ほのかさん以来のマネージャーキャラはシリーズでは珍しいが、マネージャーだからこその役割をきっちり演じている気がする。勿論先生や親も厳しいことをいう(いえる)立場であったけど、マネージャーは更に仕事に近いところにいるもんなぁ。みおちゃんに、あいねちゃんに、厳しいことをいいながら、裏で 2 人のことをしっかり信じているのが、「大人の辛さ」をしっかり描けている感じ。ただこの作品はあくまで「子供の」物語であるため、そこの辛さを辛くしすぎちゃうと、ドラマの主役がぶれてきちゃう。だからケンさんや千春さんにフォローさせるのはいい采配で、同時に大人ズの絆も感じられてとても好きだった。

そして最後に顔見せをした彼女は誰なのか。血を吸いそうな、冷気を出しそうな系統の雰囲気をぷんぷんさせながら、詳細はしばし待てという引き。楽しみですね。