アイカツフレンズ! 43 話『ありがとうの景色』感想

43 話 Pure Palette

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 43 話。

Pure Palette 物語の次の章、その 1 ページ目。
作品的にいえば、DFC 編のエピローグで、最終クールの 1 月目のラスト。
あいねちゃんの、そしてみおちゃんの 40 話分のお話を着地させる回であり、
輝かしい未来への道標が描かれるお話でもあり。

というわけで、無事 DF となった PP が皆からお祝いされつつ、皆にお礼をいいつつなお話。
演出等はポップで明るい印象を受ける。ようやく登場した湊家の大黒柱・湊修さんのキャラクターや、PP の可愛らしい表情、あいねちゃんがスススっと動くところや、最後のぐるぐる目等々。

43 話 修さん
43 話 あいね スライド移動
43 話 あいね 驚き
43 話 みお ぐるぐる目
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今まで見られた鐘や鳩、汽笛、観覧車、夕焼けといったエモ・ロマンスな舞台装置は鳴りを潜め、代わりに軽やかで元気あふれる絵が話を包む。そういう舞台装置をふんだんに活用して、劇的な運命感を描写してきたのが『フレンズ!』だったが、それをせずにある種 "普通の" 作画・演出で持っていったのは、これがあくまで中間点であるからだろうか。前回・前々回とのバランスをとったという見方もできるけど、まぁこの辺は 50 話終わるまでわからないかな。

頑張った子には、それに見合ったトロフィーが送られる。勝者たる PP にはお仕事がどんどん舞い込んできて、世界は今まで以上にキラキラ輝く。

43 話 PP リムジン
43 話 PP レッドカーペット
43 話 たまきさn ろくろ回し
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前回の最後にいつも通りランニングしておきながら 2 人で走るのは久しぶりと語られる辺り、DF になったことの反響が伺える(勿論時間経過も)。たまきさんに及んだ影響なんかは妙な生々しさがあるが、その辺を描くのもフレンズらしい(諸星くんがコメディ全振りだったのと比較すると更に)。リムジン移動や、周囲のファンからの黄色い声援なんかもわかりやすいトロフィーだ。ただ LMT(或いは神崎美月から続く今まで描かれてきた『トップアイドル』達)等と比べると、どこかファンとの距離が近い感じもする。その辺はそう描写されてるのか、私の目にあいねフィルターがかかってるだけなのかはわからない。

そういった祝福は、『Pure Palette』の 40 話分のお話の終着点であろう。そしてそれとは別に、『湊みお』『友希あいね』それぞれのお話に、現時点での着地点が設けられる。この辺りは凄い「最終回」感がでてる。
『フレンズ!』において、みおちゃんは "人間" としての成長が、あいねちゃんは "アイドル" としての成長が描かれてきた。LMT に憧れ、小学生の時からファッションやデザインの勉強をし、SH 入学以降ノンストップで走り続け、トップアイドルまで駆け上がっていった湊みお。そんな彼女はしっかりしていて、真面目で、大人びている印象を受けるが、その中身は実は幼い。それは彼女がアイカツをする中で様々なものを犠牲にし、置き去りにしてきた結果だ。

12 話 みおとあいね
16 話 みおとあいね 森の中
6 話 キャンプファイヤー
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近所の公園で遊んだり、友達とお泊りしたり、キャンプをしたり、森の中を歩いたり、渓流に飛び込んだり、家族で食卓を囲んだり。そういったなんでもないようなことを切り捨て、己の直感とその生真面目さでもって最短距離で突き進んで来たのが彼女だ。そんな彼女に回り道の楽しさを、いつもとは違う景色を見せてあげたその人こそ、友希あいねだ。みおちゃんにとってのこの 40 話というのは、そういった「なんでもないもの」をあいねちゃんと一緒に体験し、思い出を再獲得する歩みだった。その思い出は勿論 2 人だけの大切な思い出であるのと同時に、"アイドル 湊みお" の新たな可能性を広げてくれたものでもある。そういった "2  人" のつながりが濃密に描かれ、かつファンや家族や他のアイドル等に広まっていくこと、それが『フレンズ!』の物語であり、「ビッグバン」である。

12 話 友希家 夕食
28 話 玲子さん
43 話 湊家 夕食
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そんなみおちゃんの着地点として、忙しい父との団欒、その時を誰よりも何よりも特別なあいねちゃんと一緒に過ごすことがあるというのは、凄く幸せなお話だ。みおちゃんが友希家に初めてお泊りしたのが PP 結成直後の 12 話で、玲子さんがダイヤモンドドレスのデザインの大詰めをしていたのが活動休止直前の 28 話ということを考えると、このお話の持つ「文脈」は更に強くなるなぁ。
さて、こんな感じで、結構みおちゃんが主人公やってたことを今更ながらに実感する。一方のあいねちゃんの歩みはどうだったかというと、彼女の場合最初から人間力カンスト気味で、それ以上の成長がさせにくかった。だからこそ、徹底的に「アイドル成長物語」としての王道を歩ませていった感じだ。

1 話 あいねとみお
2 話 あいね お仕事
5 話 あいね ステージ
15 話 あいね シンデレラ
29 話 あいね 踏み出す
36 話 あいね ランウェイ
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みおちゃんに引っ張られて歩いてた時、「みおちゃんのために」その背中を追い続けていた時、そしてそれじゃダメだと気付いた時。正しい成長ストーリーを正しく突っ切ってきた感じだ。それが鼻につかないのは、やっぱり彼女の人格が為せる技なんだろうなぁと感じる。メイン回でなくとも、出番があれば常に「友達のため」に動いてきた様子は描写されてきた。そのしっかりした下地があればこそ、みおちゃんの迷いも「どーんと」受け止められるし、王道の成長ロードを突っ切る馬力も生まれる。とはいえ元がド素人であることは変わりない。恐らく歴代主人公の中でも最も後ろからスタートした主人公だと思う。

43 話 Honey Cat
43 話 あいね 慌てふためく
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だから当然ソロではまだまだで、みおちゃんは勿論 HC の 2 人と比べても差がある。それは今回の DFC 報告会の、壇上での振る舞いにも表れている。この様に彼女はまだ「ダイヤモンドフレンズ」という器に対して、それを満たしうるだけの "格" を有してないように感じる。勿論、今回のようにみおちゃんが補ってくれるわけだが、それでトップを張り続けるのは難しい。皆から尊敬され、目標とされるのはそれ相応の "モノ" が必要になってくる。その辺のギャップを埋めていく作業をこれからやってくれる、かなぁ。

50 話 ゆめ S4業務

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『スターズ!』の時も、S4 の器とゆめの現状との差が描かれた時があったが、そういった物を少しずつ散らして描写するのか、話数を割いてエピソードを用意するのか、トモダチカラで押し通すのかは結構気になる。

43 話 HC ファンミーティングツアー
43 話 千春さん ケンさん たまきさん
43 話 LMT 手紙
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後は、"これから先" のことも描かれた。
HC は世界を周り、LMT は更なる高みを目指し、千春さんも夢を見る。こういった他キャラのキラキラした未来が見え隠れするのも、主役が祝福されるエピソードだなって感じがする。

43 話 みおの肩に手をおくあいね
43 話 あいねの肩に手をおくみお
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あいねちゃんがみおちゃんの肩に手を置くのが湊家で、みおちゃんがあいねちゃんの肩に手を置くのが壇上だったのは、『Pure Palette』を端的に表現していて素敵だった。あいねちゃんがみおちゃんに力を貸す領域、みおちゃんがあいねちゃんに力を貸す領域、40 話以上かけて描いてきたものの集大成って感じだ。

43 話『いっしょにA・I・K・A・T・S・U !』

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それでいて、ステージ『いっしょにA・I・K・A・T・S・U !』のラストは、1 人 1 つのハートを作っていたのが面白い。HC がやったら 2  人のぶつかり合いって感じだが、PP が(今回の文脈で)やると一人一人のそれぞれの感謝を表しているように思える。

というわけで、結構大きく、露骨な区切りが着いたと思います。
それでいて、お話が到達すべき場所にきちんと辿り着いた感じがしてよかったです。
次回はバレンタイン回。予告から結構なトンチキテンションを感じるが、さてはてどうなるか。楽しみです。