アイカツフレンズ! 13 話『How to カレンさん』感想

13 話 神城カレン

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 13 話。

『フレンズ!』界の宇宙を飛ぶ流星の片割れ・愛を振りまく天使・神城カレンが降臨する回。
ミライさん回が 7 話だったことを考えると結構間空いたな。あっちではミライ-あいねというラインが描かれたので、今回は当然主人公サイドのメインはみおちゃんとなる。

舞台となるのは「達人バトル決定戦 夏のアイドルスペシャル」という特番。
様々な分野で勝ち抜き戦を行い、勝者が "達人" となる番組、らしい。そして番組始まって以来全ての分野で "達人" に君臨しているのがカレンさん。そんなカレンさんの強さの秘密は、幼少期からの英才教育。どうやら北大路家みたな名家の出らしい。そんなカレンさんにみおちゃんが挑むお話、なんだけど主題は勝負ではなくカレンさんの価値観にあるお話。

ざっくり言いうと描かれているのはカレンさんの凄さ・カレンさんの価値観で、それを映し出す鏡としてみおちゃんがいる感じ。「珍しく消極的」で「やっぱり勝てる気がしない」状態から、あいねちゃんに背中を押される形で「真剣勝負で行かせて貰います」まで変化してるのはフレンズらしくていい。茶道の勝負で描かれてるように、きっちりみおちゃんがきっちり予習をしてきてることは最早言うまでもない。
でもカレンさんはその上をいく。動きが滑らかで無駄な動きが一つもない。立てたお茶の美味しさをギャラリー(審査員?)のリアクションだけで表現するんじゃなくて、食レポ得意なみおちゃんにも言わせることで説得力が増す。みおちゃんの「真剣勝負」宣言に「望むところです」と返したように、真正面から実力でぶっ潰してる感じがある。

その後の勝負でも連戦連勝、圧倒的な実力を見せつける LMT。更に、カレンさんはファンは勿論スタッフ等他の人へも気配りする優しさを持ち、「伝説のポタポタ醤油お煎餅」まで出してくる完璧さまであって、みおちゃんは「とても越えられそうにない」と思ってしまう。その上で

「勝ち負けはそんなに大切ですか?」
「道を極めるということは自分自身との戦い」
「敵は外にいるのではなく自分の中にいる」
「勝敗に囚われていたら物事の本質を見失ってしまう」

なんていってのけるんだから堪ったもんじゃないよなぁ。この回の序盤でも「道を極めたいだけ」と言ってたりして、彼女は既に勝ち負けというフィールドを超越した場所にいることがわかる。ただここで終わらないのが神城カレンで、みおちゃんに「楽しむこと」の大切さを思い出させる。「バラエティは出演者が楽しんでないと、視聴者も楽しめない」というのはカレンさんの言葉だが、『アイカツ!シリーズ』では昔から「まずアイドル本人が(ステージなりなんなりを)楽しむ」ことの大切さをずっと説いてきた。

13 話 完敗した PP

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勝負ってのは尊いものだけど、かと言ってそれだけに目を奪われてはいけない。そんな基本的だけど忘れがちな大切なことをみおちゃんは思い出すことが出来た。あいねちゃんの「完敗だね」に「でも楽しかった」と返したみおちゃんの顔はいい表情だった。

みお vs カレンの間にあいね vs ミライの対決を挟んでた構造も、「楽しむことの大切さ」を説いてた気がする。収納術や節約術といった身近なテーマに、ミライさんとあいねちゃんが真剣に・でも楽しみながら勝負を繰り広げてることで、よりみおちゃんとのギャップを描いてた。休憩中も、カレンさんと真面目に話し合うみおちゃんに対して、あいねちゃんは他の皆と一緒にミライさんから収納術を学んでたり。普段なら賑やかしやただのアクセントになる所が、こういうテーマだと重要な意味を帯びてくるんだなぁ。

最後の勝負となった華道においても、カレンさんは勝ちを得る。だけどみおちゃんは自分の生けた華で、「カレンさんの好き」という勝ち負けではない価値を得ることが出来た。華を選ぶ時も 6 月の華ではなく、自分の直感で "ビビっと来た" 華を優先してみせた。みおちゃんはその真面目さから入念な下準備や計画を練ることがあるって、それは彼女の優れた部分ではあるんだけど、同時に(或いはそれ以上に)彼女の直感というものも、彼女の大きな強みである。何せ普通科所属のド素人だった友希あいねを見出したのは湊みお本人だしね。

13 話 月に手を伸ばすみお

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「勝ち負け」にこだわらず、「道を極める」ことに執念し、「皆に愛を届けるため」にアイカツをしているというカレンさん。そんな彼女、そして LMT は、みおちゃんからすると月のようにはるか遠い、手の届かない場所にいる。でも側にはあいねちゃんがいて、2 人で成長していけば「いつかきっと」があるかもしれない。『フレンズ!』界の頂点を描くいいエピソードでした。