アイカツフレンズ! 30 話『アフレコチャレンジ★みお』

アイカツフレンズ! 30 話。

前回に引き続き、主人公ズの修行編・湊みおのターン。

とはいうものの女は本編開始時点でトップアイドルであり、またあいねちゃんの様な「勝負に対する覚悟」が足りないわけでもなく、寧ろそれを超える価値観を既に学んだ立場だ。
そんな彼女が今回学んだのはアドリブ力の欠如と、「友希あいね」の存在。

30 話 みお アフレコ(1)

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

みおちゃんが今回挑戦するのが、アニメのアフレコ。アニメの劇中劇なのでいかにもなメタ構造を意識しちゃうけど、今回はそういうお話ではない、描写は妙にリアルなところはあるが。ただ思い返してみれば、『アイカツ!』でも『スターズ!』でもアフレコのお仕事ってなかったんだよな。アイドルがアフレコするなんて今の時代ありふれた話だし、演技担当・女優志望の子たちもいたのに。というわけでみおちゃんのみならず、『シリーズ』視聴者にとっても新鮮なお仕事回だ。
HC が言ったように、あるいはケンさんに弟子入りしたかがみくんもそうだったように、新しいことに思い切ってチャレンジすることは、怖さを伴うけど自分の可能性を広げられるチャンスでもある。

29 話 あいねとミライ
30 話 みお アフレコ(2)
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みおちゃんはトップアイドルではあるが、それは各パラメーターが高いというだけで、別に全パラメーターがカンストしてるわけじゃない(それは LMT の存在が保証している)。なので新たな幅を広げる為に(≒パラメーターそのものを増やすために)、新しいことに挑戦するわけだ。この辺りは、既存のお仕事の延長線だったあいねちゃんとの対比になってる。彼女はまだ今あるパラメーターを伸ばす段階だからだ。

30 話 台本
30 話 みお 予習
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みおちゃんがアニメのアフレコについて調べたり、台本チェックや読み込みをしたりするのは良い描写だった。今までは大体結果だけが描かれてきたみおちゃんの「真面目さ」だが、今回は過程を描くことでよりその一面が強調されたように感じる。一方でそれは彼女の脆さにも繋がっていて、それがアドリブ力の話になる。みおちゃんのガチガチに予習する姿勢、「とりあえず台詞を完璧に」な姿勢はプロとしての "意識の高さ" の表れで、実際それは正しいだろう。別に予習や準備を完璧にしたからといって、アドリブ力が低くなるわけじゃない。だからこの部分を改善しようとか、そういう話ではないわけだ。そもそも彼女自身、特にアドリブ力が低かったという描写は今までなく、寧ろ「ビビっと」きた直感に従い、難局を乗り越えて来たのが彼女だ。ならばなぜ今「アドリブに弱」くなっているのか。と思い返した時にあいねちゃんの顔が思い浮かんでくる。

3 話 あいねとみお
25 話 あいね
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そう、"差し色" の時も頑固山さんと対峙した時も、あいねちゃんが状況を整理し、適切なトスを上げてくれていたのだ。勿論、あいねちゃんのキャラから察するに計算してのことではないだろう。"差し色" の時は純粋に疑問に思ったからだし、頑固山さんの時はいてもたってもいられず激励の声をかけただけだ。寧ろ計算なしでやったからこそ、2 人が「運命の相手」であることの証明になる。新しい可能性、新しいパラメーターを求めて声優のオファーを受けたみおちゃんだったが、そこで何よりも『友希あいね』が自分の可能性を広げてくれていたのだと実感したのだった。

今回みおちゃんのパートナーとなるのは、当然あいねちゃんでなければ、先週の例に従ってカレンさん というわけでもなく、BrFC で見事優勝を果たした RM のかぐやちゃんだ。彼女もまた、「自分の可能性」を広げる為に映画出演・ソロデビュー・ブランドお披露目という攻勢を打ってくる。針生さんけっこうなやり手だな……。「姉の隣にいたい」という夢を持ち、「何よりも姉に輝いて欲しい」と思ってる彼女は、「姉のため」にソロデビューという道をとる。これまでなら自立してない感じもあったが、28 話で初めて「エゴ」をだした彼女は、しっかり地に足がついてる印象を受ける。みおちゃんはそんな彼女から「アドリブ」についての指摘を受けるわけだが、この時の様子や後のリアクションなんかをみても、特別親身になってアドバイスをしたわけではないことはわかる。みおちゃんに褒められて自分の言葉に恥ずかしくなった後の、ツンデレ的照れ隠しという感じの描写だ。

30 話 みおとかぐや
30 話 かぐやちゃん
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それでもその指摘が的を射ているのは、彼女が他者によく目を配っていて、かつその人のことを思う心がある、ということか(勿論それは普段の姉妹での生活で培われてきたものだ)。それはどことなくあいねちゃんに通じるものを感じるし、逆にさくやちゃんの多才っぷりはみおちゃんと似ている。とすれば、この 2 人の組み合わせはどこか PP 的であり、RM 的でもあるんだなぁ。

30 話 みお

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かぐやちゃんがみおちゃんに及ぼした影響は、アドリブ関連だけではない。「姉と高め合う為」にソロデビューすることを選んだかぐやちゃんと会ったことで、「互いが互いを高め合う」という「フレンズ」の基本にして最も大切な在り方について思い出す。「あいねは私の最高のフレンズであり、ライバル」というのは、初めてみおちゃんがあいねちゃんのことを「自分と対等のアイドル」として認識した瞬間だ。

30 話 カレンさん
30 話 フライと妖精
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ここまで至るのにカレンさんの力を借りていないのが面白い。これは『わんぱくフライとゼンゼンのかべ』の展開をなぞっている。フライ(みお)は妖精(カレン)の与える翼に頼らず、自らの力でカベを越えていったのだ。

30 話『偶然、必然。』

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ステージはかぐやちゃんのソロ『偶然、必然。』。これが児童向け劇場アニメの挿入歌なのか……という感じではあるが。歌詞は中々意味深で、「あなたがまだ知らない 鏡にも映らない 心のトビラの奥」なんかは以前の "岩戸" を思い起こさせる。あのコトを指してるならドンピシャの歌詞だし、その奥に更なる思いがあるのならとても気になるけど、どうなんだろう。ステージモチーフが迷宮(ラビリンス)なのも意味深。

とまれ、別れた PP はそれぞれに成長を果たしたわけで。次回遂に相まみえることとなる。ぶっちゃけ別れが衝撃的だっただけにもう 1-2 話ずつくらい引っ張ると思ってたのでちょっとビックリだが、BeFC まで一ヶ月と考えるとこれくらいが限界なのかな。成長した 2 人が再会することで『Pure Palette』はどうなるのか。