アイカツフレンズ! 12 話『トマト、どーんとコイ☆』

12 話 みおちゃん

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 12 話。

ただ単に、みおちゃんがあいねちゃんに「朝一緒に登校しよう?」というだけの回。だけど中々言い出すことが出来ないで悶々とする、童貞力溢れるエピソード。冒頭で悶々としたり、それを HC の 2 人にいじられたり、たまきさんと千春さんに暖かく見守られたり。なんか、甘酸っぱさ溢れる「思春期の恋愛モノ」の文法を使った感じ。みおちゃんに「アイドルは自分で発信するもの」と言った時のたまきさんの目は、厳しい大人でもなければ頼もしいマネージャーでもない、完全に恋する中学生を眺めている保護者の目だったもんな。

お話のメインとなるのはペンギンカフェでのトマトイベント。発注ミスか問屋のミスかはわからないが、大量に届いてしまったトマトを消費するために、トマトメニュー盛り沢山のイベントを行い、PP の 2 人もその手伝いをすることに。細かいけどここであいねちゃんが「みおちゃんも一緒にやろう?きっと楽しいよ!」と簡単に言ってのけるのが、中々言い出せないみおちゃんとの対比で面白い。
作中でたまきさんと千春さんも言っているが、みおちゃんがポンコツになるのは「友達付き合い」だけで、それ以外は基本しっかりしているし、仕事関係では頼もしさもある。今回の話でも全部がポンコツ描写ってわけじゃなく、要所要所でいつもの真面目でしっかり者なみおちゃんがいる。例えばトモスタの使い方のレクチャーであったり、腹筋で少しヒートアップしたり、フレンズアピールの練習や、カフェ店員の仕事を完璧にこなしたり等。だからこそ「一緒に登校しよう」だけが中々いえないポンコツ具合が際立ってかわいい。
ここで友希家を太く描写したのも良かったと思う。かずね兄さんの妹愛溢れるキモさ、ももねちゃんの隙きあらばアイドル話を聞こうとする姿勢とか。特にももねちゃんはただのアイドルオタクじゃなくて、「アイドルを夢見る女の子」として描かれてるのは結構面白い。やってることはキリアオさんと似たようなもんなんだが、そこに「アイドルになるには」という視点がワンクッション挟まって、”キャラ” になってる。

結局言えないまま時間が過ぎて、そのまま友希家にお泊りすることに。
ここでようやくあいねちゃんに伝えることが出来るんだけど、一家団欒の夕食の場で、「結婚」の文脈で勢いに任せて言っちゃう辺りがもう最高に “湊みお” って感じだ。

12 話 Pure Palette

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その後は就寝。なんだけど、みおちゃんも喉のつっかえが取れたので、息を吹き返したかの如くいちゃつく。個人的には「フレンズを組んだ実感がなかった」という不安を素直に吐露できてたのが良かったなぁと。それに対して「ドーンとこい」なあいねちゃんは頼もしいんだけど、いつもは「頼もしい」といえばみおちゃんなので、そこが逆転してるのも特別感溢れている。こういった描写は寮生活では出来ない、舞台設定に「通い」を採用した『フレンズ!』特有のものかなと思った。

少しだけ素直になれたみおちゃんは、人前(と言っても控室で HC & たまき千春くらいだが)でいちゃつくことも出来るようになった。地味に「トマトバジルチーズのスペシャルサンドイッチ あいね ver.」が通常よりトマトとバジル多めだということが初めてわかったり、それをみおちゃんが「大好き」といったり、あいねちゃんが「素直でよろしい」といったり。最後の「素直でよろしい」は勿論レッスン中に言っていたみおちゃんの物のリフレインだ。古典的な演出ではあるけど、だからこそチキっとハマった時は威力がデカイ。
みおちゃんの手で導かれたあいねちゃんは、新人アイドルとして絶賛成長中であり、色んなモノを彼女から受け取っている。一方のみおちゃんは、一話時点で既に完成されたアイドルだった。でもそれは同時に、ある種の幼さを失った(失わされた)ということでもあり、「友達付き合いが下手」というのはその結果でもある。今回みおちゃんが初めて知った色々なコト、友達との登下校やカフェでのお仕事、家族の団らん、お泊り等は失われた経験の具体例だ。それらをあいねちゃんを通して経験していくことで、PP 独自の「フレンズ」としての距離感が描かれてたと思う。

12 話 Pure Palette 一緒に登校

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

最後の一緒に登校している姿も含めて、甘酸っぱく、それでいて幸せたっぷりな一話でした。