アイカツフレンズ! 11 話『告白はドラマチック!』感想

11 話 観覧車と夜景

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 11 話。

夜景も、汽笛も、月明かりも、夜の街の街頭も、観覧車も、全てが 2 人を祝福する。
ドラマチックで、ロマンチックで、甘酸っぱくて、それでいてちょっとお茶目なお話。
我らが友希あいねと湊みおが Pure Palette を結成するお話。
今まで 1 クール丸々使ってじっくりコトコト煮込んできたエモの素、そして前話での HC 結成という滑走路を使って、一気に飛び立つお話。

どっちが主役になるかって話だけど、今までの流れを整理すると
みお→あいね:特別な一人、気になるあの子、ビビッときた "差し色"
なんだけど、逆方向の矢印は「尊敬」や「追いつけない(追いつくぞ!)」みたいな面が主で、あまりフレンズ結成に繋がる様な大きな感情描写はなかった。なのでみおちゃん目線で話が進む。んだけど、これが最後まで観ると(演出面での)大きな伏線だったんだなぁ。

11 話 みおちゃん恋する乙女

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クソ真面目なみおちゃんは、当然フレンズ結成についてもしっかりと準備をする。告白の練習をしたり、占ってみたり、ココちゃんとデートプランを練ったり。まぁみおちゃんは登場時からフレンズは「自分にとっても相手にとっても大切なこと」であると言ってたし、あの性格だし、そらここまで念入りになるわな。一方で LMT に惹かれて「ドラマチックなフレンズ結成」を望むのも彼女らしい。この辺りはまさしく "恋する乙女"。

そんで早速あいねちゃんを誘うわけだが、あいねちゃんには先約が。その相手がドレス回で出てきたモブっ子アイドルのなこちゃんなのは、友希あいねを擁する『フレンズ!』らしい組み立てに感じる。そして当日、あいねちゃんとなこちゃんの逢瀬をストーキングするみおちゃん。2 人のキャッキャウフフな雰囲気や、夕焼けの感じ、夜景スポット等々、こちらもムード満点、みおちゃんの言う通り「フレンズ結成の流れ」だ。
ここで引き返すか、それとも一歩踏み出すのか。結果から言えばなこちゃんがあいねちゃんに会いに来た理由は全然フレンズ結成なんかではなく、それはみおちゃんの勘違いだった。でもそれまで踏み出すことも、聞き出すことも出来ずただ遠くから見守っていて、最後の最後もうどうしようもない状況で、一歩踏み出せたということは、やっぱり彼女にとっては大きな一歩だったと思う。

11 話 みおちゃん

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その大きな一歩は、2 人を観覧車に導いて、でもそこでグダグダになっちゃうのもまたみおちゃんらしい。今までの計画全部ぱー、勇気を振り絞って観覧車まで来たけどてっぺんまでは時間がかかる、用意していた 2 人で着るドレスも先にバレちゃう、あいねちゃんはグイグイ来る。何もかもが計画や想定から外れた状況で、でもみおちゃんは「私とフレンズになって」ということが出来た。

11 話 汽笛

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そこで汽笛が鳴るのがもうロマンス!という感じ。或いは(夜には鳴らせない)鐘の変わりだったかもしれない。計画は全部ぱーだったけど、観覧車のてっぺんで告白するという一番大切な部分はちゃんと達成できてるのも、運命を感じる。強い。

11 話 カレンさん

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事実は小説より、なんてのはよくいうけど、みおちゃんが信じていた LMT 結成時の伝説・神話は尾ひれ背びれがついちゃった "嘘" らしいことが判明。でもカレンさんのいうとおり「素敵な嘘」ってのは別に悪いもんじゃない。アイドルだって究極的には「素敵な嘘」を付くわけだし。ただそれを踏まえた上で今回の PP 結成を観てみると、少し真相が見えてきそうな感じなのは面白い構成だと思った。「ミライさんが世界的 P から強奪した」のは嘘だったわけだけど、「みおちゃんがなこちゃんから強奪した」って話もいずれ出てきたりして、みたいな予感を匂わせるというか、噂とか都市伝説とかってそういうもんだよねって感じがするというか。ただこれが成立するのも、「観覧車のてっぺんで告白した」というエモ全開ロマンス全開の、運命的な出来事があったからこそだとも思うので、LMT の方にもなにかそういったものはあったんだろうなって思わせたり。

今回個人的にとても好きだったのは、あいねちゃんの心情描写。『フレンズ!』は "2 人" の物語なので当然 2 人の描写が必要で。それは前回の HC 結成話を観てもそうで。だけど今回はあくまでみおちゃん目線に拘って描いてるように感じた。そうなると当然視聴者はあいねちゃんじゃなくみおちゃんに共感するんだけど、そこで思い浮かぶのは「あいねちゃんはみおちゃんのことをどう思っているのか」ということ。
上述したように、あいねちゃんを見つめるみおちゃんの視線は今までも沢山描写されてきた。誰にでも別け隔てなく「友達」になれるあいねちゃんに、自分は特別な存在になれるのか。100 万人の中の 1 人ではなく、たった 1 人のパートナーになれるのか。そんな視線は今までも描かれてきた。
じゃあ逆にあいね→みおの視線はどうなのか。これも描かれてはいたが、そのほとんどは「尊敬」のレイヤーに乗ったものだったように思える。あいねちゃんがみおちゃんを特別に思っているのか、それ以前に「フレンズのパートナー」についてどう思っているのか、それらに明確な答えがなされた描写はなかった。今まで「あいねの強み」として描かれてきたコミュ力や友達の多さ(「トモダチカラ」)が、いつの間にかみおちゃん(或いは視聴者)の視線を塞ぐ霧のような役割になってるのが面白い。だがフレンズ結成となれば、当然その霧を晴らしてやる必要があるので、今回はその辺りの描写にも注目していたんだけど、その描写が実にシンプルでかつ表現力豊かなものだったと思う。

11話『告白はドラマチック!』

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ステージを終えて、フレンズ名を発表した直後。今までずっとみおちゃんを、或いはみおちゃんから見えるものを追っていたカメラが、あいねちゃんにぐっと寄って、その表情を映す。一瞬の微笑み、一瞬の目の輝きだけど、それが何よりもあいねちゃんの気持ちを語ってるように思えた。
まぁ今にして思えば、実は HC 結成時とかにそれとなく聴いてたんだな、あいねちゃん。そう考えると彼女も彼女で "恋する乙女" だったのかもしれない。ロマンスだなぁ。

斯くして世界に祝福された 2 人はフレンズを結成した。この話を足場に、ここから思い出というキャンバスに、どんな色をパレットから加えていくのか。"出会い" を描いた 1 クール目を締めるのにふさわしい回だったと思います。