アイカツフレンズ! 41 話『ラブミーゾーンを解き放て!』感想

41 話 ラブミーゾーン

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

アイカツフレンズ! 41 話。

いよいよやってきたダイヤモンドフレンズカップ勝戦にして、
Pure Palette と Love Me Tear の直接対決。その前編。
『フレンズ!』界の頂点の全力が披露され、その輝きの源を描いた回。
全てを愛する為に翼を焼かれてでも天の高みを目指し羽ばたく天使と、
ただ一人全てを捧げて "あなた" を受け止めんとする道化。
そんな彼女達が心音までをも揃えて、ステージに刻み込む "気高さ"。
文字通り『アイカツフレンズ!』の世界における、限界の先の可能性を見せてくれた回。

41 話 カレンさん

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印象としては、カレンさんを中心に据えて光源とし、ミライさんや PP の 2 人の作る像を描いたような回。
描写されているのは基本的に「神城カレンの凄さ」や「神城カレンのメンタリティ」。圧倒的才能が他者を潰すなんて例は、現実にも創作にも枚挙に暇がない。これがバトルやスポーツものの悪役であれば、その力を振るいまくって焼け野原を形成してるのだろうが、これはアイドル作品であり、彼女は全てを愛さんとする博愛の天使。そんな彼女がそんな力を封印するのは至極当然なことだけど、一方で彼女の目指す高みにはその力が必要だという板挟み。「世界中のあらゆる人々の垣根を超えて愛を届け、全ての心を温めてあげられる」なんて一歩間違えれば富野世界の住人だ。脳筋勝利至上主義も究極の博愛主義もどっちもデカすぎて、ぶっちゃけどっちも極端すぎるやろって感じだけど、彼女の本質が「道を極めること」である以上、そこに考えが至るのは逃れられない運命なのかもしれない。
そんな彼女の立ち位置は、どことなく救済前の神崎美月やエルザ フォルテを思い出させるけど、2 人と決定的に違うのは彼女が既に「出会っている」というところだろう。

41 話 ミライさん

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メシアたらんとする天才・神城カレンを受け止める器が、『明日香ミライ』その人で。彼女はまさしく「『全てを愛する』あなたを愛する」人である。ミライさんは、カレンさんの輝く舞台を用意する為にペンギンカフェを訪れ、全てを話す。この献身性は、エマちゃんやあいねちゃんのポジションだなぁと感じる。『チガカワ』を謳う彼女にこの献身性をもたせて「ジョーカー」とするのは、最初は結構な変化球だと感じた。しかしよくよく考えてみると、この時の彼女は PP に対して、明日戦う相手に対して「死ぬか、手加減されるか、選べ」と言いに来てるわけで。「私(達)の切り札を使いたいので、あなた達をコストにします」と言ってるわけで。勿論それは PP を信じてのことではあるのだが、それでも、物語("神")からこの役にキャスティングされて、そして今回こなしてみせた彼女はまごうことなき「ジョーカー」なんだなぁ、と思い直した。
トランプにおける JOKER は、King や Queen らの関係も踏まえて Jester(宮廷道化師)として描かれることがある。宮廷道化師は唯一君主を馬鹿にしたり批判したりできる立場であった、っていうのは偶然でも面白いなぁと思う。「わたしは異色 わたしだけでいい」という歌詞の色と重さがどんどん変わっていくなぁ……。

41 話 あいねちゃん
41 話 みおちゃん
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LMT の持つ圧倒的重力が描写されてたわけだが、ただ我らが PP も負けてはいなかった。
パジャマパーティーなんかは基本的には「かわいいの暴力」であるんだけど、その軽さがいい感じに LMT を(或いは物語や視聴者を)重力から開放してるようだった。静止画や BGM オンリーのダイジェストで済まさずに動画あり台詞ありにしてたのも、LMT 個別描写と同じくらい重視してたことの表れかなと。トンチキかわいいの流れでカレンさんの凄さを描写したり、ミライさんが普通にダメージ食らってる描写入れてるのもスマート。その一方でパジャマパーティーの言い出しっぺがあいねちゃんだったり、いち早く舐めプの可能性を指摘したのがみおちゃんだったりしたのは、"らしさ" を感じる。
カレンさんも「友達」だとするなら、やはり友達の悩みを解決するのにおいて一日の長であるのはあいねちゃんだろう(今回は相手が規格外だったけど)。それでいて計画らしい計画はない(完全に上をいかれてるし、そもそも脱線してる)のもあいねちゃんらしい。
舐めプ指摘なんかはみおちゃんの "プロ意識" の高さの現れで、同時にあいねちゃんがその時言われて初めて「はっ」と気付いてる所も、個人的には好きな描写。一年間繰り返し描かれてきた「あいねとみおの差」だ。後はパジャマパーティーで軌道修正をしたのがみおちゃんだったのも、いい感じで彼女のクソ真面目さが表れてた。そしてそれがノリツッコミだった辺りは、逆に彼女のこの一年の変化を感じて好き。限界 LMT オタクが発症しなかったのは、クソ真面目さで押し込んだのか、それとも変に緊張せず尊敬する人達とパジャマパーティーをやれるくらいに変化したという表れなのか。どっちでも面白いなぁ。(あいねちゃんの影響が感じられる後者の方が個人的には好きです)

ステージは圧巻。"本気の LMT" という、視聴者が待ちに待ったことでぶち上がった期待値・ハードルを見事吹き飛ばしたクォリティだった。ステージの説得力はエピソードや描写に担保されるというのは前も書いたけど、今回の LMT はエピソードも描写もステージも全てが圧倒的な "説得力" を伴ってるなぁ。"強さ" をひしひしと感じる。一方で我らが主人公フレンズ PP の手札は、主人公特有の一年間の描写量・LMT から送られた "塩" ・「そこにしかないもの」の持つ文脈 と言ったところか。それらをどう組み合わせて、この圧倒的王者にして挑戦者に立ち向かうのか。本当に来週が楽しみ。

それはそうと、「限界の先に広がる可能性の世界を解き放つ」ってまんまビッグバンですよね。