アイカツフレンズ! 1 話『ハロー フレンズ!』感想

1 話 あいねとみお

©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

1-36 話までの感想もここに書いていくことにしました。

というわけで 1 話。
カフェで働く普通の女の子にて伝統のキュートタイプ主人公・友希あいねと、
既にトップアイドルとして活躍しているシリーズ初のクールタイプ主人公・湊みおが
運命的な出会いを果たす話。

1 話なのでノルマが沢山あって、
・キャラ紹介
・世界観の説明(描写)
・2 人の "出会い"
等々、テキパキとこなしていかないといけない。

アイカツ!シリーズ』では今まででもユニットというものを描いてきたけど、本作では『2 人組のユニット』を『フレンズ』と言い換え、タイトルに採用までしているので、この『フレンズ』という概念が作品の根幹部分に来る。となると結成てのは一大イベントとなるわけだけど、フレンズを結成するためには出会わなければいけない。そのための第 1 話。

1 話 みおちゃん
1 話 あいねちゃん
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

この "出会い" の描写が中々面白くて、
「あいねちゃんがみおちゃんに出会うシーン」は、森という隔絶された空間で、木漏れ日を纏ってキラキラしているみおちゃんに出会うというシチュエーションだが、
「みおちゃんがあいねちゃんと再開するシーン」は、友希家が経営するカフェの前で、弟達とじゃれ合ってるという日常の場面。
2 人が今いる「それぞれの世界」の差異が見事に描かれている。そして「それぞれの世界」に「それぞれ」が足を踏み入れることで、普段とは異なる経験を体験する(雑誌撮影現場の見学、公園でのドロケイ)。どちらか片方じゃなくてどちらもやってる所がポイントで、W 主人公である所を感じる。

W 主人公である所は他でも感じられて、その一つが序盤の目線移動。
あいねがみおに出会い→あいねが帰り→さまきさんが支払い忘れに気づく→みおがカフェまで出向く
という流れなんだけど、あいねちゃんが帰った後は(当然だけど)あいね不在の空間が出てくるわけだ。勿論主人公不在のシーンなんていくらでもあるんだけど、第 1 話の序盤でこれが出来るのは、湊みおというもう一人の主人公がいるから。そして、みおちゃんが「あいねちゃんの世界」に入り込み、「あいねちゃんの世界」で再開する、という流れはこうしなきゃ作れない。あいねちゃんと意気投合して家に連れて行ってもらうのじゃいけないわけだ。

"出会い" こそお互いの「世界」を行き来して、お互いを知ることを経験してるんだけど、話の基本構造は、片方が素人である以上、素人が芸能界(アイカツ!界)に入り込む形となる。だけど、みおちゃんのバインダーとあいねちゃんのともだちアルバムを重ねたり、二人を繋げる「トマトバジルチーズのスペシャルサンドイッチ」なんかであいねちゃんの引き込みをスムーズにする。みおちゃんに引っ張られるだけじゃなく、あいねちゃんが自ら進んで行かなければいけないので、こういう、取っ掛かりや足場となるものが必要なわけだ。

結果としてあいねちゃんはみおちゃんに導かれながら、でも確かに自分の足でステージに立ったわけだけど、ここで得られた感動の、2 人の感じ方に違いがあるのが好き。

1 話 みおちゃん(ステージ後)
1 話 あいねちゃん(ステージ後)
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

既に幾つものステージを経験してるみおちゃんは、「友希あいね」個人を思い、あいねちゃんはステージ上の景色に素直に感動してる感じ。
みおちゃんのパートナーとしてステージにたったが、当然実力はまだまだ及ばないし、そもそもフレンズを組んでさえいない。ていうかアイドルですらない。本来ならパートナーたり得ないお互いだから、2 人で一緒に感動するということはしない。でもあいねちゃんがステージの上から見た景色、得た感動は本物なのだ。
神崎美月に魅せられた星宮いちご星宮いちごに魅せられた大空あかり、白鳥ひめに魅せられた虹野ゆめ達とは、同じようで違う、違うようで同じ経験。アイドルに魅せられてアイドルになる、アイドルに導かれてアイドルになるプロセスが、そこにはしっかりとあった。それが同じステージに立つことで為されるというのは、ある種先例 3 つに比べると強引な手段かもしれない。それが許されるのは、やはり『フレンズ』だからであり、2 人が "出会った" からだと思う。

1 話 鐘
1 話 鳩
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO

ステージ後は、とにかく絵が ""強い""。
夕焼け・鳩・鐘といった恋愛映画のモチーフ・演出をふんだんに盛り込んで、"出会い" をより運命的に描く。湊みおは導くし、友希あいねは導かれるけど、それは月や太陽や星を見上げて、その輝きを追いかける構図じゃなくて、手を取り合って、引っ張って、その足で一緒に進んでいく話なのだ。
こうして、友希あいねと湊みおの "出会い" がこれ以上なく運命的になされた。
それも『アイカツ!』の文脈を伴った上で。

世界観やキャラの描写も中々手際がよく鮮やかで、飲み込みやすい。
LMT をさらっと紹介した流れから、みおが既にトップアイドルであることを説明するのとか(同時にあいね本人はアイドル事情に疎く、すずね・ももねは詳しいこともわかる)。この言葉での説明が説得力を持つのは、それ以外のシーンでもみおの描写をしっかりしているから。最初の "出会い" のシーン、公園で遊ぶのが久々という発言、2 人でのレッスン、ステージ前の描写等々。
そして後にアイコンとなる「ビビッときた!」「どーんとこい!」の初お披露目も 1 話の大切な役割。本編中にたまきさんに「なんで『普通科』の子?」と言わせておいて、次回予告で「私も『アイドル科』かぁ〜」と言わせたりするのも中々無駄のない描写。

ということで、「2 人の "出会い"」「世界観」「キャラ」をしっかり描いた 1 話でした。
アイカツスターズ!』もだったけど、1 話(導入話)のクォリティは本当にどんどん上がってる気がするなぁ……、すごい。