ひぐらしのなく頃に業 祟騙し編 其の壱 雑感

やって来ました祟殺し編

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

旧作出題編の中では圧倒的な絶望度とボリュームを誇る祟殺し編、に対応するお話。
鬼隠し・綿流し・祟殺しとそれぞれ違った面白さがあるけれど、
前の話を受けて更に謎を深めていく / 話を展開していく竜騎士先生の才能が一番発揮されてるのが
祟殺し編だなぁ、とか思ったりします。
それだけに、今回の祟騙しにも期待が高まります。

 

鬼騙し・綿騙し同様に、旧作アニメよりも原作(祟殺し)に寄った描写・構成。
とはいえカットされたり変更されたりというのもやっぱりちらほら。
これらが話の都合なのか尺の都合なのか、判別がしにくいのが難しい所です。

 

 

 

まだ其の壱なんですが、鬼騙しや綿騙しのソレよりも考察の材料が多かった印象。
とりあえず、ざっと観てわかった祟殺しとの相違点を列挙。

・開幕にリナの拷問死体が流れてこない。
・代わりに興宮での鉄平宅の描写。部屋には頓服薬の処方箋。
・圭一と沙都子が絆を深める描写は旧作以上 原作以下という感じ(弁当勝負カット、野球勝負簡略化)。
・圭一を野球に誘う電話をかけてくるのが沙都子 → レナへの変更。
・BBQ での入江の自己紹介。
・詩音が既に「沙都子のねーねー」。
・鉄板を洗う時に詩音に悟史の話をしてブチギレられる件がカット。
・BBQ 帰り道に「オヤシロさまの祟り」の話題でレナが発狂し魅音がビンタする件カット。

 

 

以下、いつもどおり気になる点についてたらたら書いていきます。

弁当勝負カット、野球勝負簡略化
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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

祟殺しの大まかな構成は、こんな感じ。

圭一が沙都子と絆を深める。
→ 鉄平襲来。序盤の反動で圭一が方々に反発、発症。
→ 圭一凶行。色んな偶然が重なって "祟殺し" 開始。

こういう展開なので序盤の沙都子との絡みはとても大切なんだけど、尺の都合でカットされたり、簡略化されたりしがちだ。旧作アニメでも残念だった部分である。それに対して『業』はどうだったかというと、可もなく不可もなくといった感じ。買い物部分など旧作アニメにない所が足されてはいた一方で、弁当対決のカットと野球勝負の簡略化はそのままだった。特に弁当勝負の沙都子はとてもかわいいだけに、アニメで観たかった思いは強いんだけど、まぁこればっかりは仕方ない(恐らく尺の都合だろう)。解答編で厄醒しみたいな補完があれば亀田くんも報われるが、果たしてどうなるかなぁ。

 

電話の相手が沙都子 → レナ

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上記に少し関連して、圭一を野球に誘う役が沙都子からレナに変更されている。正直、何の為かは現時点では全くわからない。それっぽい説も思い浮かばない。一応、沙都子との接点は薄くなるけども。それともここから物語の焦点がレナに向く展開だったりするんだろうか。

もう一つ、これに伴う地味な変化として、電話がかかってきた際に前原父がパーティを開いていないというのがある。これまた全体にどの様に作用してくるのかはわからない。普通に尺調整な気がするけども。

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ちなみにパーティが失くなった影響で、圭一が学校から帰宅して即電話→野球という流れになったわけだが、沙都子達はいつ興宮に行ったんだろうか?土曜授業が終わり、興宮小へ行き、試合を始め、亀田が出てきて という一連の流れを圭一が帰宅するまでの間にこなしたってのは無理がありそうだけど。それとも小学生組は土曜授業がなく、魅音やレナは学校が終わった後に直行、最後に圭一という流れだったんだろうか。

 

BBQ での入江の自己紹介

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祟騙しでは診療所の医師だということは言わなかった(祟殺しでは言っている)。これはまた普通のセリフ変更っぽく思えるが、「診療所の改装」やドラック強奪等、診療所三人組(入江鷹野富竹)へのキナ臭い描写が続いてることを考えると、胡散臭くも思えてくる。

ちなみに入江との他の会話に関しては、内容はほぼ同じ。医師じゃない、何てことがあるのかなぁ……。

 

魅音がレナをビンタするシーンのカット

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

会話の違いでいうと、BBQ から圭一レナ魅音の 3 人で帰るシーンが大きく変わっていた。
圭一が悟史の行方について 2 人に尋ねる所から始まる一連の会話。祟殺しでは、レナが「悟史はオヤシロさまの祟りにあった」と主張し始める所から徐々にエキサイトしていき、そこを魅音にビンタで静止されてしまうという展開があった(※)が、祟騙しではその辺を丸ごと省略。圭一が尋ねた後、少しの沈黙を置いてすぐに魅音がレナを遠ざける展開(「漫画を貸すって約束したよね?」従来ではビンタの後にあったセリフ)になった。

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©2006竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会・創通

結果として、祟りにあったことがあるというレナの過去を、圭一が知る機会が失われている。更にレナがエキサイトする前のやり取りもいくつか省略されたので、悟史が失踪前に貯金を下ろしていたことや、悟史がレナに相談していたこと何かについても語られず、「レナの前で悟史の話をするのは禁止」という魅音からの言いつけもない。仮に、羽入不在の影響で発症しても足音は聞こえず幻覚だけとなっているのならば、悟史がレナへ相談するという件が失くなってる可能性がある。

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またその代わりというわけではないが、祟騙し編に於いても「オヤシロさまの祟り」という単語自体は鉄板を洗うシーンで出てきており、圭一もそれを耳にしている(まだ知らないというわけではない)。

※余談

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©2006竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会・創通

鬼隠しではレナも魅音も恐ろしい存在として描かれ、綿流しでは「魅音」の恐ろしい姿とそれを冷静に追い詰めるレナの頼もしさが描かれ、そこからの続きである祟殺し編で今度は発狂するレナを止める魅音が描かれる。この辺の繋げ方・スイッチの仕方・展開の仕方なんかは、出題編の一つの魅力だと思う。

 

詩音に関する描写

今回一番わかりやすく、一番大きい影響を生みそうな違いが、詩音に関する描写。具体的には以下の 2 つ。

・「私は沙都子のねーねーですからね」

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

ひぐらし』既履修者全員に大きな衝撃を与えた一言。要するに悟史との約束を覚えてる状態ということだ。これは更に 2 つの可能性が考えられて、1 つ目は『業』のデフォルトがこの状態だということ・2 つ目は祟騙しで偶々こういう乱数を引いたということ。後者ならまぁ "そういう世界なんだろう" ということで個別に考えるだけだが、仮に前者なら鬼騙し・綿騙しにも適用されるということなのでこの影響は大きすぎる。

特に綿騙しでは、例えば「沙都子が村八分にあってると知りながら何も動かなかった」という思いから、梨花に対しての憎悪が湧くことだってありうる。その場合は梯子ガタガタの「魅音」が詩音だったということになるし、「詩音をそういう状態に追いやった」ということで魅音の沙都子殺害に対する動機も生まれる。 

この辺から考えると「魅音は末期症状に陥らない」という旧作の常識は『業』では通用しない可能性がある ということは頭に入れておいたほうがいいのかもしれない。

ひぐらしのなく頃に業 綿騙し編 其の四 雑感 - アニメ雑感記

全く真逆の考察だって成り立つ。旧作魅音の "発症しないアドバンテージ" が反転して、詩音に移ったという考えだ(約束が安全弁となる形)。……でも、約束を覚えてた詩音が発症するパターンも旧作であったから、この可能性は低いか。結局、詩音の沸点の低さは変わらないわけだし(寧ろ保護対象が出来たことでより激しさを増す可能性だってある)。寧ろ詩音発症からの鉄平殺害が、今の所最も無難(?)なルート推理になるだろうか。

・「よく知りもしないで悟史くんのこと『転校』とか言わないでください」がカット

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©2006竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会・創通

祟殺し編に於ける綿流し編への後出しヒントであり、詩音の悟史への思いが滲み出るセリフである。これがなくなった → 詩音と悟史に絡みはなかった? と綿騙しまでなら考えていただろうが、「ねーねー」発言によってその可能性はなくなった(約束をした = 詩音と悟史に絡みはあった)。となるとやっぱり、少しでも詩音が怖く映るシーンを削りたかったということだろうか。これからの詩音の立ち位置次第で、色々意味合いが変わってきそうな変更点である。

 

悟史の失踪に関する各人の認識

祟殺し編
沙都子 …… 家出
詩音 …… 「よく知りもしないで」(目明し編から推測するに園崎家が関わってると疑っている)
レナ …… オヤシロさまの祟り
入江魅音他 …… 転校(ということにしている)

・祟騙し編
沙都子 …… 家出
詩音 …… 不明
レナ …… 不明(雰囲気的に祟りを信じてる?)
入江 …… 「一年前に雛見沢を離れてしまいましてね」
魅音他 …… 転校と誤魔化した(家出と思ってる)

若干の違いはある。が、従来通りならどちらにしろ入江は悟史の行方を知っている為、この言い方でも何も問題はない。レナはまだ情報不足だが、鬼騙し編から茨城時代に暴走したこと自体はあるようなので、同じスタンスである可能性は高い。ということで、やっぱり気になるのは詩音の立ち位置だ。正直、約束を覚えてる詩音 & 鉄平襲来 という組み合わせだと、祟殺しより皆殺しを想起しちゃうからなぁ。

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©2006竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会・創通

©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

魅音に関しては、祟殺しでは明確に「転校って言うことにしている」と説明しているが、祟騙しでは最初に一度転校と言っただけで、その後は悟史の話題を避けているとしか説明していない。これが何かしらの影響をもたらすのかはわからないけど。

 

日付の描写

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今回は新聞 + 字幕表示。綿騙しの時に「梨花宅の日めくりが描かれた日から周回が始まってるのでは?」という考察があったが、今回は如何に。

 

冒頭の鉄平に関する描写

初見時は祟殺し派生であることを示した単なる導入と思ったが、後から考えると結構意味深に思えるシーン。

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©2006竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会・創通

違いとしては、まずリナの拷問死体が流れてこない点。この時点で綿騙し「魅音」が言っていた「拷問部屋は長らく使われていない」という発言にも信憑性が出てくる。

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

そして代わりに描かれたのが、恐らく興宮のものと思われる鉄平宅の様子。周辺住民から異臭の苦情を受けており、また部屋の中には頓服薬の処方箋が転がっていた。

そもそも鉄平襲来のフラグは、リナの横領がバレる → 拷問死 → 鉄平が雛見沢に来る という順番で達成されてきた。ここに変更がなければ、祟騙し冒頭の描写も大きな意味を持ってきそう。即ち、リナ鉄平間で何かしらのトラブルが起き(リナの高飛びが鉄平にバレた等)、鉄平が発症 & リナを殺害し、発熱からの頓服薬処方 という流れだ。これだけ見ると結構可能性がありそうなのだが、唯一気がかりなのは処方箋の「高熱時」に○がついてない所。ミスリードの可能性もない訳ではなさそう。作中での成人男性の発症は富竹以外記憶にないが、仮に鉄平がそうなった場合、児相をやり過ごす知恵も働かず、沙都子をすぐ殺してしまう可能性がありそう。或いは逆にリナ殺害の件で普通にあっさりと逮捕される可能性もありそう。鬼騙し・綿騙しによって「梨花の動きが逆に惨劇を呼ぶ」という仮説が出ていることも合わせると、鉄平襲来に諦め→鉄平逮捕・沙都子保護→ルール X 突破 て可能性もあるかもしれない(結局 Y に殺られる)。

 

 

 

ということで祟騙し編 其の壱の雑感でした。
沙都子なぁ……確かに黒幕 or PC で梨花とは別サイドの人間っぽさが強く出てるんですけど……。
復習がてら漫画版をちまちま読んでて、この間皆殺し編まで読み終わったんですけど、やっぱりあれを読むと梨花と沙都子の絆を観たくなるんだよなぁ。
それと読んでて思ったのが、沙都子の「一人で耐える」というのもある意味 "絶対の意思" だよなぁ、と。
「サイコロを振る前から 6 が出るとわかってる」程の幸運な世界に、圭一・レナ・詩音の覚醒、町会の説得、お魎との対決、梨花の奮起等、これらが重なってようやく動かすに至った意思なわけだし。
そう考えると確かに、沙都子には『ひぐらし』の主人公にも黒幕にもなれる資格があるんだなぁ、と思った。

 

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

次回では果たしてどこまで進むのか。
鉄平襲来を乗り越えるには、従来なら梨花と圭一に全てがかかっていたので、梨花サイドの動きがどうしても気になる。これまでの 2 編と同様に、あくまで出題編の枠を出ないのなら、そこへの期待は薄い感じかなぁ。

 

 

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©2020竜騎士07ひぐらしのなく頃に製作委員会

この辺のカットが大好きです。