【ネタバレ含】Outer Wilds の感想

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えー、だいたい三週間くらい前になりますが、『Outer Wilds』をクリアしました。
とんでもなく面白かったです(完)。

 

てだけで済まないくらい語りたいことが沢山ある、そんな作品でした。
しかし、"ネタバレが致命的" なこのゲーム。
ということで私も先輩 Hearthian 方に習い、ここから先はネタバレ注意という注意書きを書いておきます。

今後買う予定のある方、
現在進行形でプレイしている方、
今すぐは買わないけどもいずれ買うつもりの方 等々は要注意で。

逆にプレイ中・購入予定の方であってもネタバレを気にしないという方はどうぞ。
改めて書いておきますが、本記事は別に『Outer Wilds』をオススメをする為に書いた記事ではありません。
あくまで私がプレイ中・後に考えた・感じた事を、文章に残しておきたいと思って書いた記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

nlab.itmedia.co.jp

私も例によって例の如く(?)、昨年末にねとらぼのこちらの記事を読んで興味を持ち、ウィンターセールに乗じて勢いで書い、そのまま年末年始の余暇時間を丸々費やしたパターンの人間です。まぁ実際は漫画版『うみねこ』の復習も並行して行っていた為、本格的に探索を進めていったのは三が日が明けてからでしたが。

んでクリアしてみてどう思ったかって言うと、「刺さる人にはこれ以上なく刺さる、けど万人向けではない」という感じかなぁ、と。私自身は無論刺さった方なのですが、仮に上の記事等で前評判を漁ってなかったら、返金期間中に投げ出していたかもしれません。良くも悪くも、あらゆる面で今までのゲームとは "少し違う" が積もった作品だなぁという感じ。

 

 

 

全体を通して

得られるのは「情報」のみという報酬

今やあらゆるサイトに書かれてることだけれど、やはりこれは書かざるを得ない。即ちこのゲームに於いて、探索で得られる報酬は「情報」のみという点についてだ。レベルやアビリティやスキルやアイテムなんていう概念は一切存在しない。ただひたすらに探索し、情報を得て、ギミックを解き明かす。その先で得られるのもまた新たな「情報」という硬派っぷり。

この "報酬が情報のみ" という点は、やっぱり独特な面白さを生み出す一因だった。とにかく「知っていること」が少しずつ増えていく序盤、それらが繋がりを見せ次第に「やるべきこと」が見えていくる中盤、全体の輪郭を把握し「核心」へと突き進んでいく終盤と、やってることは変わってないはずなのに、ゲームの進行度合いによってその様相が変化していくのは "奥深さ" を感じた部分だ。

 

立ちはだかるアクション

恐らく、本作の中で最も評価されてない部分が、アクション周りのアレコレだろう。
まずはとにかく操作性が悪く、慣れるまでにそれなりの時間を要する点。その上で、探索していく中でそれなりの難度のアクションが、それなりの頻度で求められる点。後は(超個人的な話だけど)カメラの X 軸反転が設定出来ない点。まぁ、最後の点は洋ゲー慣れしてない自分の問題なので良いとして(とはいえ Y 軸だけ反転あるのは理解出来ない)、他 2 点に関しては正直本作とは食い合わせが良くないように思った。何故なら本作は "報酬が情報のみ" だからである。

 

感情を如何に乗せることが出来るか

報酬が情報のみ × 良いとは言えない操作性 × 高いアクション難易度

端的に言うと、難しいアクションを達成してやっとのことで辿り着いた先にある "報酬" が大したモノでなかった場合、落ち込み具合・徒労具合が半端ないのだ。これがアクションメインの作品であれば挑戦することそれ自体に意味があるといえるが、情報集めと謎解きメインの本作にはやっぱりそぐわないように思えてしまう。まぁその情報集めの他にも、「探索」というもう一つの大切な要素がある為、多少のアクションは望むところではあるんだけど。

逆に高難度アクションが許されるパターンを考えると、それは報酬となる情報の価値が高い場合である。ここで大切になってくるのが、「感情」という要素になってくる。要するに、どれだけこのゲームにのめり込むことが出来るかということだ。作中世界にのめり込め、物語の内容に自分の感情を上手く乗せられ、Nomai の残したメッセージを全て集めたい・この世界のことを全て知りつくしたい と思えるかどうか、ということだ。

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この "感情を乗せきれるかどうか" に左右される最たる例が、太陽ステーションではないだろうか。(隠し要素のホットショットを除けば)恐らく本作の中で最も難しいアクションを要求されるのが、太陽ステーションでの空中移動だろう。勢いよく飛び出したりはせずに速度同調を駆使して渡り切るだけなので、慣れてしまえば大したことないのだが、最初の一回目は誰もが 太陽に焼かれる or 宇宙空間に放り出される の二択になるのではないだろうか。そして極めつけは、その先にあるのが「超新星爆発は失敗」という情報だけな点だ。そしてその情報は灰の双子星プロジェクトでも得られる。即ち、最高難度アクションを達成して得られる情報がただの裏付けでしかないわけだ。しかし、そんなただの裏付け情報も Nomai フリークなプレイヤーにとっては貴重な情報源となる。或いは、元からアクション好きのプレイヤーなら、アクションの達成そのものに喜びを見出すことも出来る。逆に、クリアだけを目指すプレイヤーにとっては、ただの徒労にしかならない。

侵入者量子の月も同じようなものだと思う。情報から情報を辿り探索して行くのが本作の基本だが、その行き着く先は、双子星プロジェクト量子の月、そして侵入者の 3 つに収束される。この中でだけが ED へ直結しており、残りの 2 つはぶっちゃけクリアには全く関係ない(一応 ED には影響するけど)。そこにあるのは Solanum との出会いと、Nomai の滅びの理由だけである。その為、これまでの過程で Nomai への感情を太らせられていなかった場合、これらは「ループに関係ない情報」として処理されるだけなのだ。その結果として "悪い操作性と難しいアクションだけが印象に残るプレイ体験になってしまう" ていうのは、"刺さった" 側の人間としてはとても勿体ないように思う。故にこのアクション周りでもう少し手加減してくれていたら、もっと多くの人に刺さったんじゃなかろうか とも思ってしまう。

 

ユーザビリティ vs プレイ体験

上の アクション vs 感情 の話を少し関連して、というか少し広げたお話。
本作を楽しむ鍵が感情を乗せる所にある、というのは先述の通り。その為に大切なのがゲームへの没入感だ。本作は数多もの「わからない」を積み上げながら、プレイヤーに主人公への共感を持たせて、そのプレイ体験を豊かにしていく……そういうふうに作られている気がする。よく言われる「ネタバレ厳禁」である所以も、この辺から端を発しているんだろう。本当に何の事前情報も得ず、ループについてすら自分で気付いた人のプレイ体験は、それ以外の(ループものであると事前に知ってしまった)多くの人のそれよりも豊かなものであるに違いない(私自身も先述の通りねとらぼの記事で知ったパターン)。だからこそ、既プレイ者は皆こぞって、ネタバレや攻略を観ないことを勧めているわけだ。

その一方で犠牲になっているのがユーザビリティである。正直、こられは天秤の両腕のような関係で、あっちを立てればこっちが立たずという感じなので、しゃあない面がある。例えば リスポーン地点を増やす or 移動させられる だとか、自分でもキャンプを張れるようにするだとか、「うとうと」で分数を指定できるだとか、探査挺内でも「うとうと」出来るだとか、航行記録はいつでも確認可能にするだとか。あれば便利そうだし、より多くの人にウケるかもしれないが、その分確実にプレイ体験は薄くなるんだろう。そして本作は恐らく "そちら" を重視して作られたわけだ。各種ヒントに関してもそうで、本作では何気ない会話が超重要なヒントだったりするわけだが(最たる例がアンコウ)、「もう一歩踏み込んだヒントが欲しかった」と思う所であえて留まってる部分がそれなりにあったような気がする。私にとってはクラゲがそうで、初めて行った時は探査挺ごと突っ込みまくって爆発寸前 & 緊急脱出 & バイタル危機になった。これが Feldspar のメモに一言でも探査挺じゃ無理と書かれてあったり、或いは探査挺で行ける範囲にクラゲの死体があって探査挺ごとじゃデカすぎて無理だってのが明らかだったりしたら、最初から生身で行くことを試していたかもしれない。でもそうすると今度は、探査挺は修理不可・酸素はいつ尽きるかわからない・バイタルギリギリでいつ死ぬかもわからない という恐怖に怯えながら、クラゲを信じて祈る気持ちで電撃をすり抜ける……なんて経験は出来なかったかもしれない。だからまぁ、この点に関しては「『Outer Wilds』はそういうゲーム」というだけの話なのだ。

 

攻略順とプレイ体験

"不自由なほどの自由" という表現がぴったりと当てはまりそうな、本作の最序盤。本作は一周目のループからあらゆることが可能(強いて言うなら出来ないのは瞑想くらい)で、あらゆる場所に行ける自由さがあるけど、それ故に何をやったら良いかわからない不自由さを感じる。かといって、全てが投げっぱなしの任せっぱなしではなく、巧みな誘導が随所にあって、どんな順序であっても最終的にに辿り着けるようになってるのは、やっぱり凄いと思う。また、着地点が同じでもその経過が人それぞれである為、同じ情報であっても観たタイミングや順序等でそのインパクトや印象が大きく変わるというのは、プレイ体験を重視した本作の "らしさ" と言えるかも。

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具体的な話をする。双子星プロジェクト太陽ステーションには、Yarrow がウキウキで彗星(侵入者)の調査について語るメッセージが残っている。これは所謂誘導の一つであり、この誘導に乗って侵入者に行くことで、初めて Nomai 滅亡の真実が判明する…… というのが恐らく想定された流れだろう。しかし私の場合、プロジェクトへの行き方がわからず、気分転換 & 「内部へ行ったことなかったから」という理由で侵入者の探索を優先させた為、結果として侵入者プロジェクトという順番になった。この順番で先の Yarrow のメッセージを観た時、"滅びに向かう様" というのが(所謂神の視点から)分かってしまう為、Yarrow のウキウキメッセージに物凄く胸が痛くなったのだ。この手の誘導と結果の手順前後がそこかしこに発生するのがこのゲームであり、それが各プレイヤー独自のプレイ体験を生むことになるんだろう。

閑話

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間欠泉の中、所謂 "採掘場 2a" に関する情報も、知った時期によって衝撃度が変わってきそうだ。
私の場合、クリア後の航行記録埋めをしている最中に見かけた。この頃はクリア直後の満足感とその余韻に浸っていた時であった為、最後の最後に予想だにしない巨大な一発を食らった感覚だった。「最後のピースが埋まる」という表現があるが、この場合はあると思ってなかった場所に突然ピースが出現し、それが見事にピッタリとハマるという、相当不可思議かつ衝撃を伴った出来事だった。

追記

先程「太陽ステーションはただの裏付け情報」と書いたが、よく考えればアレもただの "私のプレイ体験では" という話でしかなかった。太陽ステーション(を含めた多くの情報)→プロジェクトの順番で攻略した場合は、"太陽ステーションは裏付け" という印象はなく、プロジェクト内の答え合わせで統合される情報の一つとなるわけだ。

 

 

個別の感想

MVP

先のねとらぼ記事の執筆者さんの tweet です。これを受けて自分でも考えてみようと思ったのですが、
最初に思い浮かんだのがまさかの非 Nomai の彼でした(趣旨ガン無視)。

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そう、我らが頼れる相棒、リトルスカウトくんです。

いやまぁ、こいつがありなら探査挺翻訳機航行記録ジェットパックシグナルスコープもありだろって話なんですけど。というか多分翻訳機が一番役になってるだろうとは思うけど。それでも私の MVP はリトルスカウトくんでした。「偵察」は言うに及ばず、光源、撮影、地形判定、危険度判定、マーカー、ものさし、果てはワープの当たり判定や時空構造破壊まで、何でもござれの万能マシン。初期の頃、Slate に「木の写真を撮らせるためだけに持たせたわけじゃないぞ!」と怒られたのが懐かしい。チュートリアル & 木の炉辺・アトルロック探索の段階では、幽霊物質の撮影と狭い所に打ち込む以外の用途がないと思ってたからなぁ……。

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ちなみに、最後の最後で重力場から穴に飛び込んでいく時も先に打ち込んでました。その後、リトルスカウトを戻せないと知った時の心細さといったら…………(最後の博物館とかめっちゃ怖かった)。

本当に、ありがとうリトルスカウト。フォーエバー、リトルスカウト

 

詰まった所

南部観測所

序盤の難所とも言うべき場所。案内板こそ早々に見つかるものの、肝心の道が見当たらないというアレ。最終的に重力砲ルートで行き、知識の塔ルートをちゃんと開拓したのはクリアしてからでした(途中まで逆走したことはあったけど)。どちらのルートも謎にアクションを求められるという、このゲームの悪いところがちょっと見えたり。個人的には重力砲ルートの天井ジャンプより、知識の塔ルートの幽霊物質回避の方が簡単だった。それにしても、あの超科学・超文明に生きた Nomai が何故ここの道だけこんな適当に作ったのか……。最初辿り着いた時は、南極に探査挺を置いて、そのマーカーを頼りに方角を探ってました。今にして思えば画面左のマップ観れば済んだ話なのにね。

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ちなみにクリア後無理やり着陸を試してみたり。安定した足場はないけど案外行ける。

 

ブラックホール鍛冶場

ブラックホール鍛冶場がどうこうってより、ワープの方法が途中まで全くわからなかったのがキツかった。
で、ある周回でブラックホールに落ちた時に、偶々ホワイトホールステーションを発見したのが契機。ちなみにそれまではブラックホール即瞑想をしていたので、今にして思えば結構な周回を無駄にしていたなぁ、と。わかりやすいようにホワイトホールから出た直後、その目の前に置いてあるのにね……。ちなみに、鍛冶場に初めて行った時に意気揚々とジェットパックを吹かしてしまうという失敗も、当然の様に経験しました。

とはいえ、ワープが出来るって分かった時の、世界観の広がり方は凄かった。

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そしてこちらもクリア後に着陸を試みたり。逆向き重力床は中々難度が高かった。

 

量子知識の塔

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本作でも屈指のもどかしさを感じる所ではないかと思う。塔自体は比較的早く発見出来るだけ余計に。
いつぞやの周回で、余った時間でふと思いついて、ホワイトホールに寄った事で到達。ただ、正直到達したは良いものの、これが正規ルートだとは思ってなかったので、後から攻略を見て驚きました。エレベーターの途中で降りてみたり、エレベーター横の足場から行こうとしてみたり、塔の装飾を足場にしてそろそろと降りてみたり、色々試したなぁ……。"待ち" がキツいダンジョンといえば灰の双子星だけど、ここも終盤まで落ちてこない & 無重力で探索しにくい のコンボなので、比較的時間に泣かされる場所だと思う。第 6 の場所に関する最重要情報があるくせに……。

 

高エネルギー研究所
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自力を諦め攻略を見た場所その 1。
いや、言い訳をさせて貰うと、サボテンを埋めて進むギミック自体はすぐわかったんですよ。ただ、その先のケーブル辿って行き止まり→こっちの道は違うのかで引き返し→戻りきれずに圧死 を数回繰り返してしまい、探索切り上げ。他の地区からルートがないか探してみたり etc で更に数時間無駄にしたり。このゲームの詰みパターンはいくつかあると思うんですが、新しいヒントが望めないっていう状況が一番キツイ気がする。ギミックの解法や道順は置いといて、「この先行けば絶対に辿り着けるよ!」という保証があるだけでも、探索に於ける心理的な余裕がぜんぜん違うもんなぁ。

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例によって例の如く、時間差ワープの実験で興奮した類の人間です。ここでも活躍、リトルスカウトくん。

 

湖底の洞窟

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自力を諦め攻略を見た場所その 2。そして恐らく個人的に最も苦戦したであろう場所。
最下層なので埋まるのが早い & 迷路がそこそこ長い & 単純に暗い の三重苦。ここも「先に行ける保証」があれば心理的に全然違ったんだろうけど、それがわからずに赤道上の洞窟や脱出ポッド付近から行けないかと色々道を探しました。迷路が抜けた後も、砂の川の遡上や量子迷路何かもあるし……何かここだけ盛り沢山過ぎない???いやまぁ、ライトカチカチは量子ギミックの重要テクニックではあるけども。埋まるスピードか迷路か、そのどちらかでもうちょい手加減して欲しかった……(今にして思えば、ここでの探索も研究所の時も砂にビビりすぎてたんだと思う)。

正直ここに関してはいい思い出が殆どありません……。量子もつれをすげーと思ったくらい。

 

各星の思い出

砂時計の双子星

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言わずとしれた、本作の "答え" がある惑星。公転周期が短くて、重力が小さい上に、二重惑星特有のぐるぐる回転もついてるという、非常に忙しない惑星。ついでに砂がうざい。なので、調子に乗って地表でブースターを吹かそうもんなら、あっという間に制御不能になる。それを利用すれば、探査挺がなくても結構早く移動できるとも言えるけど。Chert 曰く砂は一定周期で行き来してるそうだが、22 分以内だとそれを観測できないというのが残念だった。逆方向の流れも観てみたかったなぁ(プロジェクト内に砂の流れを操作できるギミックがあることを期待してた)。

探索の話でいえば、先述の通り、湖底の洞窟高エネルギー研究所の 2 箇所で詰まりまくった。小さい重力は地表下の探索では有用に働いたけども、そっちはそっちで地表以上に砂の脅威があるし。全体的に時限ギミックが多く、またそれらが両立出来ない(しにくい)のはちょっとしんどかった。特に湖底・研究所・太陽ステーションの 3 つ。

灰の双子星の方は、ワープの方法さえわかれば終盤の拠点とも言うべき星になるし、プロジェクトもあるので作中でも屈指の重要惑星であった。けども逆に、星そのものを探索出来なかったのは少し寂しい。砂の下にもう少し色々埋まってたら面白かったんだけど。

恐らく最も多くの回数死んだ星だと思う。

 

木の炉辺・アトルロック

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我らが憩いの地、偉大なる母星こと木の炉辺

始めたばかりの頃は多少壊れるのはお構いなし!という感じで、軽く事故ったような着陸を毎回していた為、出発前に「ここに綺麗に自力で着陸出来るようになる日は来るんだろうか」と思ってたのを思い出す。

ゲームを始めて最初の探索が、イバラへのリトルスカウト投げとシグナルスコープだったはず。巡り巡って Feldspar のキャンプに辿り着いた時には、それだけでも結構感動した。

採掘場 2b も(水中のメッセージ以外は)早めに探索していたのだが、まだまだ全然操作に慣れてなく、エレベーターに乗るのに四苦八苦したりした。この時に Coleus のメッセージを見つけていたら、また全然違ったプレイ体験になっていたんだろうなぁ。

アトルロックも最序盤で探索しまくった場所。衛星らしく重力が小さい為、中盤以降であっても探査挺の修理の為だけに寄ったりしていた(重力が小さいとホバリングが容易な為)。

 

脆い空洞

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恐らく 2 番目に多く死んだ星だと思う(ホワイトホールでの瞑想含む)。

南部観測所・ブラックホール鍛冶場・量子知識の塔と、何気に中盤の難所が揃ってる星じゃなかろうか。ジャンプアクションと重力結晶ウォーキングを相当要求される星であるので、これらのアクションに慣れる為の星だとも言える。ほぼ全ての探索が地表下で行われる為か、ショートカットが割と多い(ような気がする)。

空洞のランタンは、初期の頃無謀にも着陸を試みて、一旦は成功するものの足を滑らせて死。その後は、脆い空洞探索中に火山弾が直撃してしまったのが一回。そして終盤、後は ED を見るだけとなった段階で、再びアプローチ。ここもそれなりのアクションが要求される  & 報酬の情報はしょぼい という場所だけど、まぁ隠し要素のような感じもあるので(誘導なし & ヒントが時限)、そこまで気にならなかった。

 

巨人の大海

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航行記録的には序盤に立ち寄ることが想定されてるのであろう、この太陽系最大の惑星。

初めてきた時は見渡す限りの竜巻と荒れ狂う海にビビり、正直「ここ最初に来させる星じゃねえだろ……」と思った。重力が大きすぎて、ジェットパックの動きはかなり制限されてしまうし。

ただ、竜巻に巻き込まれても別に即死しないとわかってからは、サクサク探索が進んだ。その大半が海であるのも、そのおかげで気軽に着陸(着水)出来るということを考えれば、なるほど結構初心者のことを考えられてるなと納得する。Gabbro がいるおかげで、「ループしてる」という事実が判明するということもあるし。

その Gabbro との出会い、仮面と彫像の真実、探査砲周りのあれこれ、深海への突入等、なんだかんだで衝撃的な思い出が多い星だ。

ちなみに、探査砲を何も気にしてなかった初期の頃、たらたらと巨人の大海に近付いて行ってたら、真横から探査砲に殴られて探査挺が大破しかけるということがありました。あとは反時計回りの竜巻を探してる時に、打ち上げられていた島の一つがちょうど真上に降ってきたりもしました。他にも先述した通りクラゲに殺されかけたり、結構バラエティ豊かな死に方をしたのがこの星。

量子試練の塔はこのゲームにしては珍しいゴリゴリのパズルで、楽しかったけどちょっと浮いてる気もした。何というか、かなり "ゲーム的" な要素というか。まぁ Nomai にとっての修験道のようなものと考えれば納得はできるけど。それはそうと Nomai は撮影的な観測はどうやってたんだろう?第 3 の目を使っていたのか、あの杖型デバイスにそういう機能があったのか、或いは仮面の方に何かあったのか。

 

闇のイバラ

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本作のラスダンとも言える星。にっくきあんチクショウがいる星。

とはいえアンコウ、パズルとしてはいい出来だったと思う。いや、突破前は絶望しかなかったし、もうちょい手加減してくれよっていいたくなるけど。知らなきゃ(Feldspar 以外には)突破できない仕掛けでありながら、ヒントは子供達の会話(の記録)にさらっとあるだけ。操作的にはとても簡単で(なにもしなくていいのだから)、あの呼吸音が最高にスリリングにしてくれる。最初は乱数要素があるのかと思ったが、何度も潜ってるうちにそうじゃないってわかってきたし(その確信を得るまでは辛いが)。

とはいえまぁ、最後だけアプローチの仕方が違うのは最高に初見殺しではある。種の中に入る→停止→シグナルスコープで方向確認→加速→慣性 という流れで来ていたのに、産卵地帯だけは加速できる余地がないんだもんなぁ。方向も合わせようとしたらアンコウにぶつかってしまうし。最も安定するのは、種に入る前に加速して慣性航行→中心のツブツブ到着→方向転換して加速 という、二段階右折みたいな方法だけど。これをワープコア持って、逸る気持ちを抑えながらやれっていうのは、まぁ中々キツかった。

ちなみに、最初に来た時は軽い絶望を覚えた。明らかにワープコアを挿入する場所と座標を入力するインターフェイスがあるんだもんな……。更にいうと、ED を見て航行記録埋めをしてる時も、に未探索マークが付いてたのを観てがっくりした(壊れたワープコアを挿入していなかった)。まぁそんなこんなしてたお陰で、アンコウ抜けに関してはかなり習熟したんですけど。

そして結局最後まで残った "イバラは何だったのか" という謎。正直、あれだけ「やばいやばい」と言ってたんだから、何かもっと、この植物の存在自体が物語の急所に繋がるのかと思ってました。わざわざ元々の第 5 惑星の話とかもあったくらいだし。ただまぁそんなこと言ったら、砂やブラックホールや火山弾や竜巻や電撃だって "ただそこにある自然" で済まされてる訳だし、イバラもそういう存在なのかもしれない。何にしたって、太陽超新星爆発や宇宙の滅亡、そして誕生の前では小さなことであるのは間違いないわけだし。

侵入者幽霊物質も併せて考えると、結局我々は Nomai が知り得たこと以上のことは知り得ないわけだ(※)。イバラNomai にとっては母船と第一世代を攻撃した危険な植物であり、ワープコアのくだりから積極的に近付かなかったことが伺えるし。あぁ、偉大なるかな Nomai 文明。


厳密には時空構造破壊なんかがある。しかし、あれらは "設定上ループ出来ない状況(= 特殊 ED を観た後)でもその周回からやり直せる" というメタ世界の力あってのものである。と考えると、やはり新たなるモノに対する調査というのは、Nomai が一歩も二歩も先を行ってるのだ(そう考えると、自力で大海の潮流と電撃を突破した Feldspar は、やっぱりめちゃくちゃ凄い)。

 

侵入者

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初期の頃、ふらっと立ち寄って、すぐさま振り払われてしまった星。

先述したが、情報を辿っていった先の、一つの到着点である。この星と幽霊物質に関しての Nomai の記録がここまでほとんどなかったことが伏線になってた、ていうのはやられたという感じだった。あとは白骨遺体が生活感溢れていたこととか。こういうループやに関係しない情報に出会った時にどれだけ自分の琴線が響いたかという事が、この作品に満足出来たかどうかを左右するんだと思う。最深部にある Pye のメッセージを、幽霊物質の迷路を回避して得られる報酬と見なせるか、ループやに無関係のフレーバーテキストと思ってしまうのか。個人的には前者だったけども、本作のユーザビリティは後者の人を否定できるほど優しくは決してなかったとも思う。

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ここと脱出ポッド 1Nomai の墓は、作中でも最高にショッキングな場面だけど、それを引き立てる音楽が素晴らしい。本当に悲しい気分になってしまう(それがいい)。

 

量子の月

正直、このゲームのピークはここ!ていう人、結構多いのでは?ていう星。
特に Nomai の墓や侵入者を観た後だと、余計に心に響いてくる。
彼女も言ってる通り、もっと自由にコミュニケーションしたかった……。

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個人的には、新たなヒントを貰うたびに訪れていた為、中々攻略が進まなかった星でもある。量子試練の塔をクリアした直後に早速撮影して着陸を試みる とか。当然ながらその時は祭壇の使い方もわからず、何の進展もなかったわけだけど。やっとの思いで湖底の洞窟を攻略した後も、意気揚々とここに向って第 6 の場所で入り口を塞がれるという。なので、量子知識の塔で最後のヒントを得た時はかなり嬉しかったし、彼女との邂逅を果たした時の衝撃は、このゲーム最大のインパクトだった。

この量子の月を含めて、量子関係の情報も侵入者・幽霊物質同様にループやには無関係のものである。にも関わらずこのイベント(彼女との邂逅)が大きな評価を得ているのは、やっぱりそれが探索の苦労に見合うだけのモノと見なされてるからだろう。あとは単純に量子関係のパズルが全て一つに集約する美しさもあるか。

試練の塔知識の塔も、量子関係は(本作の中では)特に "ゲーム的" な空気を強く感じるヒント / パズルの出し方がされている。それはともすれば本作の中では浮きかねない危険性を孕んでいるが、そこに「Nomai 達にとってある種の信仰の対象だった」と "宗教的" な属性を貼り付け・利用することによって、上手く作中世界に馴染ませていた という印象だ。

 

宇宙の眼

ED の一部というか、ある種のウイニングランというか。
時間制限は取っ払われ、仮に途中で死んでもワープ後からやり直せる安心設計。
ちなみに途中でプレイを止めても、再開する時はワープ後からという親切設計だったり。

ED についてはもう語ることはなし。エモさ爆発で、大変よかった。強いて言うなら演奏させる順番を悩んだくらい(どの順番で聴いたら美しいか)。最終的には王道の バンジョー→ハーモニカ→口笛→ドラム→フルート→ピアノ の順に落ち着いた。とはいえ、やっぱりもうちょい長く聴いていたいんだよな、Solanum に諭されてしまうけど。せめて全員弾いてからは 3 ループくらい聴きたかった……。

ED については言うことないんだが、最後の最後までパズルだしまくりなのはどうなの?とちょっと思った。最初の焚き火を出す所とか、Riebeckバンジョーとか(初回クリア時はわちゃわちゃやってたらいつの間にか取れてた感覚)、Chert のドラムとか、「ここで手詰まりになったらどうしよう(またアンコウに挑まなきゃいけないのか?)」という得も言えない恐怖があって気が気じゃなかった。実際は、上述した通り、やり直してもワープ後からなので、そこまでビビる必要はないのだけども。

 

トロフィーの思い出

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トロコン達成したんですが、その中でも特に印象深かったのをいくつか。

炉辺から月へ・Micaの怒り

ぶっちゃけ全く距離感のわからない挑戦だった、この実績。
数回チャレンジして全く出来る気配がなかったので、動画を漁ってみたら、そこまで飛ばさなくても良かったと知る。本作の特徴である「コンパクトな宇宙」をある意味最も実感できるアクションなのかもしれない(アトルロック太陽も案外近い)。

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正確に距離を測る為にモデルロケットリトルスカウトを打ち込もうとしたこともあります(透過した)。

 

ビギナーズラック

一周目クリア = ミスが許されない 為、普通に ED までプレイするより遥かに緊張した実績。
まぁ仮にミスってもデータを作り直せばいいだけなんですが、面倒だしね……。
脱出ポッドを経由せず直でに行く道順も覚えてたんだけど、流石にノーミス求められてる時に産卵地帯で迷ったら洒落にならん ということで、潔く遭難ビーコンを辿る正規ルートを行きました。

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量子関係をクリアしてなければ合奏時に Solanum 不在 & ラストカットに次世代生物がいない というのは知っていたんですが、侵入者の方をクリアしてなかった場合は博物館に Nomai 滅亡のことが書かれない というのはその時初めて知ったので小さな驚き。
これ、残りの Solanum フラグ ON ・侵入者フラグ OFF と、Solanum フラグ OFF・侵入者 フラグ ON の 2 パターンはどうなってるんだろう?誰か知ってる人は教えて下さい。

 

ホットショット

一番最後に残った、このゲームの課題。まず間違いなく、本作中で最も難しいアクションだと思う。

個人的な反省点としてはビビりすぎてしまったこと。ソフトランディングに拘らず、太陽ステーションが見えたらもっと積極的にグイグイ近付くべきだった。そのせいでスイングバイみたいになったことが何回も。

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具体的な手順をざっと書くと、
0. 太陽ステーションが左→右に進む向きでチャレンジ。
1. 太陽をロックして、距離 3000-4000m くらいをホバリングで維持。
2. ステーションが左端に見えたら加速開始。
3. ステーションに追い越されるくらいの所で並走出来たらひとまず OK。
4. 多少ぶっ壊れるくらいは上等という勢いでステーションに近付く。
5. ステーションの入り口をロック(ワープ施設がない方)。
6. 速度同調を連打しながら少しずつ入り口に近付く。
7. 緊急脱出→即シートベルトを外して入り口と速度同調
8. 後は速度同調しながら少しずつ近付くだけ。

特に大切だと思うのは、
0. …… 自分が操作しやすい向きを事前に把握(ステーションの軌道が 左→右 or 下→上 or 右→左 or 上→下)。
2. …… この条件なら加速前の太陽に対する相対速度が 0 m/s であっても丁度いい速度になる(はず)。
4. …… ビビってはダメ。けどコマメな減速は必要。自動操縦かスラスターが壊れない限りは大丈夫。
5. - 8. …… とにかく速度同調 & 向き修正。2 つの瓦礫に要注意。
(7. …… 緊急脱出は無理に使わなくてもいいが、使えるようしといた方がいい。)

私の場合は太陽に溶かされるより、勝手にスイングバイになって重力を振り切っちゃうことの方が多かった。同じ様な人の場合、太陽ステーションに体当りするつもりで加速すると、感覚が掴みやすいかもしれません。というか一度本当にぶつけてみてもいいかも(重力と遠心力の影響でただぶつけるだけでも意外と難しい)。

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ちなみに太陽ステーションの内外は凄い勢いで公転している為、重力・遠心力・コリオリの力をこれでもかと実感出来ます。太陽のど真ん中に向けてリトルスカウトを打ち込んだつもりなのに、ぐぐぐっとカーブしていく様子等は、 "物理" を感じられて楽しかったです。

 

 

総評

とっても面白かったことは確実。そしてプレイ体験としてもかなり満足のいくものを得られた。
一方で無視できない・なかったコトにできない不満を沢山感じたのも事実だ。
今までにない超ド級の満足感・唯一無二のプレイ体験と、積もり積もった小さいけども膨大な不満、
それでいて互いが互いを相殺することは決してない、そんな印象を抱いたゲームだった。

なので個人的には、「傑作」というよりは「怪作」という表現がしっくり来る。
決して万人に勧められる作品ではないが、
刺さる人にはとことん刺さる、生涯の一本になってもおかしくない、そんな作品。
そして、終わった後はこうして何かしら吐き出しておきたい気分になる作品。
現在進行形でプレイしてる人たちの様子を遠くから(それこその観測者の様に)観ていたい、そんな作品。

 

本作は終盤の伏線回収がとても評価されてるけど、個人的にプレイそのものは序~中盤が一番楽しかった。
決して中盤以降がつまらなかったわけじゃないんだけども。初めてプロジェクトに到達した時の感慨とか、Solanum に会った時の衝撃とか、侵入者の最深部で全てを悟った時の悲しみとか、アンコウを突破してを見つけた時の興奮とか、そういったモノはとても強く心に残っている。ED のエモさも最高だった。が、それに至るまでのプレイとしては、航行記録の穴埋めをしてるだけの感じがあり、結構退屈だった。それに対して序中盤は、全く全体像は掴めてないし操作も覚束なかったのだが、"どこかに行けば何らかの情報がある" という状態が維持されていた為か、探索そのものをとても楽しむことが出来た。まぁ探索 & 謎解きというテーマである以上、進めば進むほどやることが失くなっていくのは当然なんだけども。

この「不自由なほどの自由さ」こそが、私が最も『Outer Wilds』に惹かれた部分だったのかもしれない。

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まぁでも、やっぱりくっっっっそ面白かったです。出会えてよかったし、クリアできてよかった。

 

 

余談

絶対にありえないんだけど、デバッグモードというか、何も気にせず自由に隅々まで探索してぇ、と凄く思った作品でした。デスペナやループは勿論、任意のオブジェクトを任意のタイミングで透過出来たり、アンコウクラゲを無視したり。ちゃんと灰の双子星の地殻を掘り進めていったらプロジェクトの部屋に着くのかどうかとか(オープンワールドだからちゃんとそこにあるはずだけど)。

本当に、隅から隅まで見て回りたくなる、そんなゲームでした。